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似てない双子

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いつも通り図書館に行くと備え付けのテーブル席にセレーネが座っているのが見えて足を止めた。

彼は本を読むでもなくぼーっと窓の外を眺めていて、まるでその姿が1枚の絵のようにも見えて見惚れてしまう。

誘うように彼の香りが俺の方に漂ってきて、この匂いが分かるのが俺だけならいいのにと思ってしまった。

手を繋いで帰った夜、エイデンと2人きりになった彼はどんな会話をしたのだろうか。

邪魔になると思って直ぐに帰ったけれど、俺が帰ったことを寂しいと少しでも思ってくれたかな?

そんなことを思って、でも声をかけるのは戸惑われて、俺はいつも通り委員専用のカウンター席に腰掛けて生徒が本を借りに来るのを待つ。

「精が出ますね~」

声をかけられて顔を上げると目の前に見知った顔が立っていて眉をしかめた。

「……ノアか。何の用だ」

「暇だから遊びに来ちゃったっ」

「オリビアは?」

「ビアは騎士訓練中だよ~」

「お前はいいのか?」

「僕は騎士にはならないからね」

オリビアの双子の弟のノアはそう言ってヘラヘラと笑みを浮かべるとカウンター席の卓上に座って俺が持っていた本を覗きこんできた。

「おい、ここに座るな」

「そんなの読んで楽しい?」

「話を聞け」

「だって座るところないから~」

「あっちにテーブル席があるからそこに行けばいいだろう」

「えー!アルと話したいもーん」

ぶーって頬を膨らませるノアに俺は溜息を吐き出す。

こいつの相手は疲れる。

「あれ?アル居たんだ!」

柔らかくて明るい声が聞こえてきてそちらを見るとセレーネがこちらへと歩いてきているのが目に入って少しだけ慌てた。

ノアと会わせるのはあまり良くない気がしたからだ。

「声かけてくれたら良かったのに~」

にこにこと笑うセレーネに、気づかなくてって答える。手を繋いだことを気にしているのは俺だけなんだろうか……。

少しだけ気まずい気がした。

「セレーネ=ミラー……」

何故かノアがセレーネのことを睨みながら名前を呟いて、それにセレーネがそうだよ?って笑顔で返事を返した。

ノアが1層きつくセレーネを睨みつけて、俺はそれを見て、やっぱりかって思う。

ノアは何故か俺の周りにいる人間を嫌う傾向にある。

オリビアは双子だから大丈夫だけど、少し話しただけのご令嬢にすら敵意むき出しだからいつも困ってしまっていた。

オリビアが俺の好きな人がセレーネだと知っていたならノアもセレーネのことを知っているだろうと思っていたが予想通りだったようだ。

「僕帰る」

「ああ、オリビアによろしく言っておいてくれ」

俺の言葉にノアは何も返事を返えさずに背を向けて歩いていってしまう。それに苦笑いを浮かべると、お話したかったのに~ってセレーネが呟いて、それにも苦笑いをこぼした。

「そうだっ、ねえ、聞いてっ」

「どうしたの?」

「エイデンがね」

ああ……また、エイデンか。

セレーネが楽しげにエイデンの話をし始めて、ついそう思った時、ノアがこっちに早足で戻ってきて俺はそれに首を傾げた。
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