マニーフェイク・フレンズ

天宮叶

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それって……

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俺の答えを聞いた月見さんがゆっくり顔を近づけてきて俺はそれをすんなりと受け入れる。

唇同士が重なるとひんやりした彼の体温を感じて、この人はいつも冷たいなって的はずれなことを思った。

お互いに舌を絡めあって求め合うその行為はまるで遠距離していた恋人が久しぶりに会って燃え上がっているようなそんな熱を含んでいて、一時のその熱に俺は酔いしれた。

「もう運転出来ないや」

俺から唇を離した月見さんはそう言って薄ら笑っていて、明らかに確信犯なのに俺はそれが嬉しくてたまらなくなる。

「明日俺休みなんすけど…」

「奇遇だね。俺も休みなんだ」

こんな偶然あるんだ…。

嬉しくなって俺は自分から月見さんを誘うように軽くキスをした。

「家行きましょう」

どちらともなく車から降りてエレベーターに乗り込む。

長いエレベーター内で時間が勿体ないって言うみたいにまたキスをする。

「これなら高所恐怖症の月見さんも怖くないですね」

「…高所恐怖症なんかじゃないってば」

強がる月見さんに噛み付くみたいにキスされて俺もそれに応える。いつも苦手な浮遊感が今は現実味を無くすのに一役買っていて月見さんとのこの行為を1層燃え上がらせた。

雪崩込むように部屋に入った俺達はリビングのソファーの上に転がってひたすらお互いの口を貪り合った。

月見さんの欲を含んだ瞳に見つめられて身体の奥が疼く様な感覚に俺の中心はとっくに立ち上がっていて、それは月見さんも同じなのか、ごりごりとわざと彼がそれを擦り付けて来る。

「月見さん、欲しい…」

唇が離れた瞬間に強請るように自分の欲を口に出すと月見さんが動きを止めて俺の頬にまた手を添えた。

唇がくっつく数センチの距離まで顔を近づけた月見さんはなら教えてって楽しそうに俺に言ってくる。

「さっきの彼とはもう寝たの?」

つーっと腹を撫でられてそのくすぐったさに体を揺らす。

「…寝てない…」

早く月見さんと繋がりたいのに、なんでそんなこと聞いてくるのかも分からなくて切なくなる。

「俺ってめちゃくちゃ独占欲強いんだよ」

知ってた?って首を傾げた月見さんが、さっき相澤さんが腕を回していた俺の腰を撫でてきて俺はそんな月見さんの言動に心臓の鼓動が早くなっていくのを感じていた。
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