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なにこれ
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居酒屋を出て2人並んで道を歩く。
相澤さんの手は俺の腰に回されていて、結局楽な方へと逃げた俺は酷い自己嫌悪で胸が苦しくなる。
相澤さんに全く恋愛としての感情は抱いていないのに彼の気持ちを利用しようとしている俺は最低最悪の悪党にでもなった気分だった。
「緊張してる?」
「…少し。なんか、相澤さんとこんな風になると思ってなくて…」
俺の言葉に、俺もだよって同意した相澤さんは居酒屋の時みたいには全然喋らなくてそれが余計に俺の緊張と戸惑いを増加させていく。
なにか話さないと…。
そんな強迫観念に駆られ始めた時、俺たちの正面からゆっくりとこっちの方に歩いてくる見覚えのある人影が目に止まってつい足を止めてしまう。
「星野?」
突然立ち止まった俺に怪訝な顔をした相澤さんは俺の顔を覗き込んでから、俺の視線の先を追って自分もそっちへと視線を向けた。
サラリと夜風に揺られて彼の綺麗な髪が凪いでいる。
それがあまりにも綺麗で、俺はなぜだか泣きたくなった。
「…悟くん?」
数秒遅れて俺達に気づいた月見さんは俺と相澤さんを交互に見てから、俺の腰に回された相澤さんの腕に視線を向けた。
「久しぶりだね。邪魔しちゃったかな」
月見さんの切れ長の瞳が相澤さんをちらりと見て直ぐに視線がこっちへと戻ってくる。
俺はといえば、何故か浮気が恋人にバレたような心境になっていて相澤さんとのことをなんて答えるのが正解なのかを頭をフル回転させて考えていた。
「知り合いか?」
相澤さんがのんきな声で俺に訪ねてきて俺はそれに小さく頷いた。
「友達?」
「…うちの店のお客様です」
どういう関係なのか上手く言葉に出来ない俺は無難に答えてから心の中で早く終わってくれって祈るしかない。
さっきから一言も喋らない月見さんが、じっと俺の事を見つめてくるのにも精神的な疲労を感じて辛い。
「2人は付き合ってるの?」
おもむろにそんなことを言ってきた月見さんの顔にはいつもとは違って作ったような笑みが貼り付けられていて何故か怒っているようにも感じるそれに俺はビクリと肩を揺らした。
相澤さんの手は俺の腰に回されていて、結局楽な方へと逃げた俺は酷い自己嫌悪で胸が苦しくなる。
相澤さんに全く恋愛としての感情は抱いていないのに彼の気持ちを利用しようとしている俺は最低最悪の悪党にでもなった気分だった。
「緊張してる?」
「…少し。なんか、相澤さんとこんな風になると思ってなくて…」
俺の言葉に、俺もだよって同意した相澤さんは居酒屋の時みたいには全然喋らなくてそれが余計に俺の緊張と戸惑いを増加させていく。
なにか話さないと…。
そんな強迫観念に駆られ始めた時、俺たちの正面からゆっくりとこっちの方に歩いてくる見覚えのある人影が目に止まってつい足を止めてしまう。
「星野?」
突然立ち止まった俺に怪訝な顔をした相澤さんは俺の顔を覗き込んでから、俺の視線の先を追って自分もそっちへと視線を向けた。
サラリと夜風に揺られて彼の綺麗な髪が凪いでいる。
それがあまりにも綺麗で、俺はなぜだか泣きたくなった。
「…悟くん?」
数秒遅れて俺達に気づいた月見さんは俺と相澤さんを交互に見てから、俺の腰に回された相澤さんの腕に視線を向けた。
「久しぶりだね。邪魔しちゃったかな」
月見さんの切れ長の瞳が相澤さんをちらりと見て直ぐに視線がこっちへと戻ってくる。
俺はといえば、何故か浮気が恋人にバレたような心境になっていて相澤さんとのことをなんて答えるのが正解なのかを頭をフル回転させて考えていた。
「知り合いか?」
相澤さんがのんきな声で俺に訪ねてきて俺はそれに小さく頷いた。
「友達?」
「…うちの店のお客様です」
どういう関係なのか上手く言葉に出来ない俺は無難に答えてから心の中で早く終わってくれって祈るしかない。
さっきから一言も喋らない月見さんが、じっと俺の事を見つめてくるのにも精神的な疲労を感じて辛い。
「2人は付き合ってるの?」
おもむろにそんなことを言ってきた月見さんの顔にはいつもとは違って作ったような笑みが貼り付けられていて何故か怒っているようにも感じるそれに俺はビクリと肩を揺らした。
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