命运～Ω妃は二人のαに盲愛される～

宮廷編

4

戸が荒々しく叩かれる音で目が覚める。支度をして納屋を出た。まだ、空が明るみ始めたばかりだというのに、昨日の女官が立っていて仕事をしろと急かされる。

「まだ皆眠っているのでは？」
「口答えするな！」
 
叱責されて、口を閉ざす。水を汲んでくるように言われて、言う通りに水汲みを始めた。数え切れないほど大量の大釜の数に目眩がしそうになる。
井戸から桶で水を運び、並べられた大釜を満たしていく。すっかり辺りが明るくなった頃に、ようやくすべての水をつぎ終えた。仕事が終わったことを伝えると、不要になっから水を捨ててこいと言われて驚く。

口答えも出来ないため、渋々水を用水路へと流していく。
水を捨て終わると、山のようにある衣類を洗濯するように指示される。すべての仕事が終わる頃には、外は暗くなり始めていた。

それからも、同じように大量の仕事を押し付けられ、納屋で眠る日が続いた。どうやら僕は珠蘭様に嫌がらせをされているようだ。燈蕾様が頼んだのかもしれない。
燈蕾様は、静龍様に近づく僕のことが気に食わないのだろう……。

けれど、飲まず食わずだった奴隷時代を思い出せば、苦だとは思わない。それよりも気になるのは、静龍様のことだった。もう、三日も彼に会えていない。
こっそり納屋を抜け出そうと、窓から外を伺う。納屋の扉の前には必ず見張りがいて、僕を外に出す気はないようだ。

朝早くから一日中仕事漬けにされ、夜は見張りが付いているとなると、龍龍様に会う機会はないだろう。
ため息を吐き出すと、いつものように隅に腰掛けて目を閉じた。