売りをしていたらオネェな不良に怒られました

天宮叶

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「いつもありがとうね」

手に持った一万円札の束を数えながら口元に笑みを形作る。

「今日も可愛かったよ。またよろしくね」
「僕もまたパパに会えるの楽しみにしてるよ」

わざとらしい甘ったるい声で返せば、満足そうに頷き返された。
スーツ姿の少しダンディーなおじさんは、僕の頭を撫でてから先にホテルを出ていく。その後ろ姿が消えるのを確認してから、札束をベッドに投げ捨ててため息をこぼす。
これは所謂、援助交際というやつだ。身体を売る仕事を始めたのは、高校に入ってすぐのこと。

女癖の悪かったお父さんと離婚したお母さんは、シングルマザーとして必死に僕を育ててくれた。でも、病気になり体を壊してからは働くこともできなくなり、代わりに僕が日々の生活費や病院代を稼いでいる。
初めは健全なアルバイトで生計を立てようとしてみたが、高校生バイトの時給なんてたかがしれていた。生活は苦しくなる一方。そんなとき、夜道で援交目的のおじさんに声をかけられて、金を出すという言葉に釣られたのが全ての始まりだった。

昔から女みたいだと馬鹿にされていた容姿は役に立つ。身体を触られることに抵抗を感じていたのは初めの数回だけ。快楽に身を委ねれば、すべてが終わっている頃には気持ちよさだけが満たしてくれていると知った今は、他人に触られる嫌悪感なんてとうに忘れてしまっていた。

汚いお金だと思う。拾い上げたお札を封筒へと入れる。愛用している財布は、僕が高校入学を迎えたとき、お母さんが奮発して買ってくれたものだ。だから、身体を売って稼いだお金は絶対に財布には入れない。
お母さんの想いを汚してしまっているように感じるからだ。

ホテルを出ると、辺りはやけに薄暗い。もう夜中の二時を回ってしまっている。今日も学校があるから、急いで帰ってシャワーを浴びなければいけない。
お母さんを起こさないように、そろりと家に入る。
身体を清めると、髪も乾かさないまま布団へと潜り込んだ。


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