身代わりの花は甘やかに溶かされる

天宮叶

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番外編(リュカとアデルバード様がイチャついているだけ)

ただキスしてるだけのss

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「……ん、っ」

朝、頬に感じた柔らかな感触に目を覚ますと、優しげに微笑んでいるアデルバード様と目が合って、ほんのりと顔が熱くなった。

驚きすぎて、目は1発で覚めてしまっていて、その代わりにドキドキと自分の胸の鼓動が大きく鼓膜を揺らす。

「おはようリュカ」

「……おはようございますアデルバード様」

「ふふ、寝起きもとても可愛いね」

「……っ、ぁ、ん」

アデルバード様が僕の唇にキスをしてきて、僕はそれを受け止めながら恥ずかしさと気持ちよさに微かに声を漏らした。

「可愛い舌を私に見せて」

「……は、恥ずかしいです……」

そう言いながらも、言われた通りに舌を少しだけ出すと、アデルバード様の指が優しくそこに触れて、弱い所を刺激される。

「ぁ、ひゃっ、ん」

くすぐったいような、なんとも言えない感覚に自然と声が漏れ出て、アデルバード様が指を引き抜くと僕の顎にツーっと銀糸が垂れた。

「愛してるよリュカ」

「……んっ、」

息継ぎもそこそこに、アデルバード様の舌が僕の舌を絡めとって、僕の感じる場所を優しく刺激される。

「ん、好きっ」

「はあっ、可愛いよリュカ」

沢山可愛いって囁かれて、大きな温かい手で頭を撫でられると心地よくて、潤む瞳でアデルバード様を見つめながら、ひたすら与えられる快感に身を委ねた。

アデルバード様大好き。

彼から与えられるキスや体温の全てが愛おしいと思うんだ。

「んっ、もっとキスしてくださいっ」

「いけない子だね」

くちゅりと水音が鳴り響く。

お互いの存在を確かめ合うように、何度も何度も口付けを交わすと、段々と頭の中がぼんやりとしてきて、ふわふわとした気分になってきた。

「そんな顔をしていたら食べられてしまうよ」

「……ぁ、ふぅ……ん、んっ、すきっ。アデルバード様っ」

彼になら食べられてもいい。

そう思いながら、アデルバード様の服にしがみついて自分から求めるように舌を絡めてみた。

そうしたら、彼が微かにクスリと笑ったきがして、次にはキスの激しさが増す。

「っ、愛しています」

長い長いキスの合間に、僕は何度も愛おしい彼に愛を伝えた。
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