緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜

後悔と選択

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パーティーの当日、身支度を整えるためドレッシングルームへと向かうとフェリクス様から贈り物が届いていて驚いてしまった。

美しいモスグリーン色のコートとブラウスの胸元にはフリルたっぷりの胸飾り。ウエストコートはブラウンになっていて、細やかな金の刺繍が施されている。

それに合わせるようにロングパンツとブーツが用意されており、思わず感嘆の声を上げた。

「気に入って貰えるといいのだけれど」

「僕のために用意してくださったんですか？すごく嬉しいです！！」

頬が緩むのが止められなくて、衣装とフェリクス様を交互に見ながらお礼を伝えた。

そうしたらフェリクス様はほっとした表情を浮かべながら、良かったって返事を返してくれた。

早速、準備のためにフェリクス様は一旦部屋から出ることになって、僕はメイドさんに着替えを手伝って貰う。

生地の柔らかな感触を楽しみながら着替えを終えて、ヘアセット等も終えると衣装に合わせて用意されていた仮面を付けて自身へと気合を入れる。

屋敷の入口へと向かうと既にフェリクス様が僕のことを待ってくれていて、彼のエスコートで馬車に乗り込むとゆっくりと馬車が動き始めた。

王城で行われる今回のパーティーはかなり盛大に行われる予定で、公爵家から子爵家までほとんどの貴族が参加することになっている。

主役はフェリクス様。それから、僕だ。

そのことに不安と恐怖を覚えて、会場へと近づくにつれて緊張でお腹がキリキリと痛んでくる。

「緊張しているの？」

僕の様子の変化に気がついたフェリクス様が僕の顔を覗き込んできて、それに素直に頷くと、フェリクス様が腰を浮かして僕の隣へと移動してきた。

「ルダなら大丈夫だよ」

フェリクス様が僕の手を取って落ち着かせるように撫でてくれる。

そんな彼に微笑みを返しながら、フェリクス様が居てくれればきっと大丈夫だって思った。