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婚約と養子
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別の日にフェリクス様から聞かされたことだけれど、僕と婚約することに王様はずっと反対していたらしい。
公爵子息とはいえ、僕は男で子を残すことが出来ないから。
そのこともあって、フェリクス様はテオを養子に迎え入れることを決めたのだという。
ずっと平民として暮らしていたとはいえ伯爵家の子息であることに変わりはなく、貴重な闇の魔力持ちの彼を養子にすれば跡取り問題は起きないと言う考えからだった。
王のお爺様である先々代の王様はテオと同じで養子として迎え入れられた子だったらしく、彼もまた希少な魔力を宿していたそうだ。
そういった歴史があるため、王様もテオを養子に迎え入れることに反対はしないだろうとフェリクス様は言っていた。
テオが屋敷に来る当日、僕は彼を出迎えるために屋敷の入口で彼が来るのを今か今かと待っていた。
ガラガラと車輪のなる音が聴こえてきて、伯爵家の紋章の付いた馬車が視界に入る。
ゆっくりと屋敷の前で止まった馬車の扉が開くと、中からテオだけが出てきて、その姿を見て驚きに目を見開いた。
彼の手に魔力封じの手錠が付けられていたからだ。
慌ててテオに近づいて、どうにか外せないかと試みてみる。その間彼はされるがまま、ボーッと虚ろな目で宙を見つめていた。
「すぐに外してあげるからねっ」
ガチャガチャといじってみるけれど、鍵穴も見当たらずどうしたらいいのか分からない。
僕が手錠を外そうとしている間に、伯爵家の馬車は逃げるように出発してしまい、御者に問いただすことも出来なかった。
「……いいよ」
馬車が見えなくなった頃、テオが小さく僕に向かってそう呟いて、なぜだかそれがとても悲しく感じてしまう。
「フェリクス様が外し方を知っているかもしれないから、嫌だろうけれどとりあえずそのまま屋敷の中に入ろう」
「……俺、ここに売られて来たんだろ。奴隷になるのか?」
「……え……なんでそんなこと……」
スラムで会った時とは違い、元気も覇気もない彼を見つめながら、一体伯爵家でどんな生活をさせられていたのかと怒りが湧いてきた。
「大丈夫。ここにはテオを傷つける人は居ないから。僕のこと覚えてるかな。スラム街で会ったよね」
視線を合わせて話しかければ、彼はやっと僕に視線を合わせてくれた。
「……母ちゃん」
そうして、彼の瞳から1つ涙が零れ落ちたんだ。
公爵子息とはいえ、僕は男で子を残すことが出来ないから。
そのこともあって、フェリクス様はテオを養子に迎え入れることを決めたのだという。
ずっと平民として暮らしていたとはいえ伯爵家の子息であることに変わりはなく、貴重な闇の魔力持ちの彼を養子にすれば跡取り問題は起きないと言う考えからだった。
王のお爺様である先々代の王様はテオと同じで養子として迎え入れられた子だったらしく、彼もまた希少な魔力を宿していたそうだ。
そういった歴史があるため、王様もテオを養子に迎え入れることに反対はしないだろうとフェリクス様は言っていた。
テオが屋敷に来る当日、僕は彼を出迎えるために屋敷の入口で彼が来るのを今か今かと待っていた。
ガラガラと車輪のなる音が聴こえてきて、伯爵家の紋章の付いた馬車が視界に入る。
ゆっくりと屋敷の前で止まった馬車の扉が開くと、中からテオだけが出てきて、その姿を見て驚きに目を見開いた。
彼の手に魔力封じの手錠が付けられていたからだ。
慌ててテオに近づいて、どうにか外せないかと試みてみる。その間彼はされるがまま、ボーッと虚ろな目で宙を見つめていた。
「すぐに外してあげるからねっ」
ガチャガチャといじってみるけれど、鍵穴も見当たらずどうしたらいいのか分からない。
僕が手錠を外そうとしている間に、伯爵家の馬車は逃げるように出発してしまい、御者に問いただすことも出来なかった。
「……いいよ」
馬車が見えなくなった頃、テオが小さく僕に向かってそう呟いて、なぜだかそれがとても悲しく感じてしまう。
「フェリクス様が外し方を知っているかもしれないから、嫌だろうけれどとりあえずそのまま屋敷の中に入ろう」
「……俺、ここに売られて来たんだろ。奴隷になるのか?」
「……え……なんでそんなこと……」
スラムで会った時とは違い、元気も覇気もない彼を見つめながら、一体伯爵家でどんな生活をさせられていたのかと怒りが湧いてきた。
「大丈夫。ここにはテオを傷つける人は居ないから。僕のこと覚えてるかな。スラム街で会ったよね」
視線を合わせて話しかければ、彼はやっと僕に視線を合わせてくれた。
「……母ちゃん」
そうして、彼の瞳から1つ涙が零れ落ちたんだ。
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