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仲違いの先
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フェリクス様の案内でオスマン様の部屋へと向かう。
ラルとオスマン様が一緒に居たことを説明したら2人はオスマン様の部屋にいるかもしれないからってフェリクス様が教えてくれたからだ。
「……あの」
「どうしたの?」
「……手を……繋いでも、いいですか?」
「ふふ、勿論だよ」
優しく僕の手を取ってくれたフェリクス様はゆっくりと前へと進み出した。僕はそんな彼について行きながら、彼が傍に居てくれるから大丈夫だって、何度も心の中で自分に言い聞かせた。
案内されて着いた部屋の扉の前に立って、1度大きく深呼吸をすると、扉を数回手の甲で鳴らす。
「……ラル、僕だよ」
ゴクリと唾を飲んで扉に向かって話しかけると、中から足音が近づいてくるのが聴こえてきた。
そうしてゆっくり扉が開くと顔を出したのはオスマン様だった。
「何の用だ。……兄上?」
「オスマン、コーラル嬢は居るかな?」
「……入ってくれ」
フェリクス様を通さない訳にはいかなかったのか、すんなりと中に入れてくれたことに胸を撫で下ろした。
備え付けてあるソファーに腰掛けていたラルが僕達に視線を向けて、大きくて綺麗な瞳を微かに揺らす。
「ラル、話をしに来たんだ」
「……話ならさっき会った時にしたはずよ」
「……ラルが僕を助けてくれたんでしょう?」
「っ……なんのこと?」
僕から顔を逸らしたラルの肩が微かに震えているのが確認できて、僕は本当に今まで何も見えていなかったのだと分からされた気がした。
何時だってラルは僕に寄り添ってくれていて、それは今も昔も変わらないんだ。
僕は自分のことばかりで、他の人の気持ちなんて全部無視をしていた。それは大切な双子の妹であっても例外じゃない。
「ラル、僕のこと嫌い?」
もう一度あの質問を投げかけてみる。
僕とラルは何時だってお互いのことが手に取るようにわかっていた。
でも、僕達は違う人間だから、言葉にしなければ分からないこともあるんだって理解ったんだ。
「……私は……貴方のこと……」
「僕はラルのことが大好きだよ。ラルが僕のためにしてくれていたことの全部を知ったわけじゃないけれど、ラルが僕を助けてくれたことや、フェリクス様と出会わせてくれたこと、全部全部嬉しいんだ。それに、もう嫌なんだよ。ラルと言い合いしたりするのは嫌なんだ」
「……っ、だって……私は隣にいたのに貴方を守れなかったわ……」
「……ずっと僕のせいで苦しんでいたんだね」
「貴方のせいなんかじゃない!私は自分が許せないの……。あの日、何も出来なかった自分が心底憎いの……。だから、エスメラルダの隣には居られないのよ」
ポロポロと涙を流すラルを見て、いても立ってもいられなくなった。
僕はラルの目の前に行くと、彼女をぎゅっと強く抱きしめて、大好きだよって囁いた。
「ラルは僕のことを助けてくれたよ。火傷を負った日から一人ぼっちになってしまった僕に唯一話しかけてくれたのはラルだった。公爵家で唯一ラルだけは僕に手を差し伸べてくれたよね。僕はね、それだけで沢山沢山救われていたんだ」
「……っ、ルダ……っ、私っ、ごめんなさいっ」
「……僕の方こそごめんね……。それから、ありがとう」
お互い涙を流して抱きしめ合って、久しぶりに感じるお互いの体温に安堵する。
これから少しづつラルと話をしていこう。
10年間のこと。これから先のこと。
沢山話をして、そうしてまた昔のように大切な家族に戻れたらいいな。
ラルとオスマン様が一緒に居たことを説明したら2人はオスマン様の部屋にいるかもしれないからってフェリクス様が教えてくれたからだ。
「……あの」
「どうしたの?」
「……手を……繋いでも、いいですか?」
「ふふ、勿論だよ」
優しく僕の手を取ってくれたフェリクス様はゆっくりと前へと進み出した。僕はそんな彼について行きながら、彼が傍に居てくれるから大丈夫だって、何度も心の中で自分に言い聞かせた。
案内されて着いた部屋の扉の前に立って、1度大きく深呼吸をすると、扉を数回手の甲で鳴らす。
「……ラル、僕だよ」
ゴクリと唾を飲んで扉に向かって話しかけると、中から足音が近づいてくるのが聴こえてきた。
そうしてゆっくり扉が開くと顔を出したのはオスマン様だった。
「何の用だ。……兄上?」
「オスマン、コーラル嬢は居るかな?」
「……入ってくれ」
フェリクス様を通さない訳にはいかなかったのか、すんなりと中に入れてくれたことに胸を撫で下ろした。
備え付けてあるソファーに腰掛けていたラルが僕達に視線を向けて、大きくて綺麗な瞳を微かに揺らす。
「ラル、話をしに来たんだ」
「……話ならさっき会った時にしたはずよ」
「……ラルが僕を助けてくれたんでしょう?」
「っ……なんのこと?」
僕から顔を逸らしたラルの肩が微かに震えているのが確認できて、僕は本当に今まで何も見えていなかったのだと分からされた気がした。
何時だってラルは僕に寄り添ってくれていて、それは今も昔も変わらないんだ。
僕は自分のことばかりで、他の人の気持ちなんて全部無視をしていた。それは大切な双子の妹であっても例外じゃない。
「ラル、僕のこと嫌い?」
もう一度あの質問を投げかけてみる。
僕とラルは何時だってお互いのことが手に取るようにわかっていた。
でも、僕達は違う人間だから、言葉にしなければ分からないこともあるんだって理解ったんだ。
「……私は……貴方のこと……」
「僕はラルのことが大好きだよ。ラルが僕のためにしてくれていたことの全部を知ったわけじゃないけれど、ラルが僕を助けてくれたことや、フェリクス様と出会わせてくれたこと、全部全部嬉しいんだ。それに、もう嫌なんだよ。ラルと言い合いしたりするのは嫌なんだ」
「……っ、だって……私は隣にいたのに貴方を守れなかったわ……」
「……ずっと僕のせいで苦しんでいたんだね」
「貴方のせいなんかじゃない!私は自分が許せないの……。あの日、何も出来なかった自分が心底憎いの……。だから、エスメラルダの隣には居られないのよ」
ポロポロと涙を流すラルを見て、いても立ってもいられなくなった。
僕はラルの目の前に行くと、彼女をぎゅっと強く抱きしめて、大好きだよって囁いた。
「ラルは僕のことを助けてくれたよ。火傷を負った日から一人ぼっちになってしまった僕に唯一話しかけてくれたのはラルだった。公爵家で唯一ラルだけは僕に手を差し伸べてくれたよね。僕はね、それだけで沢山沢山救われていたんだ」
「……っ、ルダ……っ、私っ、ごめんなさいっ」
「……僕の方こそごめんね……。それから、ありがとう」
お互い涙を流して抱きしめ合って、久しぶりに感じるお互いの体温に安堵する。
これから少しづつラルと話をしていこう。
10年間のこと。これから先のこと。
沢山話をして、そうしてまた昔のように大切な家族に戻れたらいいな。
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