プティカリーノ

うしお

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23、インターバル

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「間宮さん、少し水分を取りましょうか。たくさん汗もかいているし、喉が渇いてきたでしょう?」

三田村くんに声をかけられて、そちらの方に意識を向ける。
頭は動かせないが、小さなカートを押した三田村くんが、椅子の横に立っているのが視界に入った。
ついさっきまで、回転していたマッサージ機のことに集中していたせいで、離れていた三田村くんが戻ってきたのに気付けなかったようだ。
いまもまだ、挿入されたマッサージ機を咥えたそこが、じくじくと疼き続けているのを感じている。
動きが止まったからといって、そう簡単に忘れられるようなものではない。
意識の半分くらいは、腹の奥のことをかんがえている。

「ぁ……ぁり、ぁと……っ」

叫びすぎて、すっかりへろへろになってしまった俺を、三田村くんが甲斐甲斐しく世話してくれる。
身動きの取れない俺に、ストローつきのスポーツドリンクを差し出したり、体を拘束しているベルトの締め付けている場所や手足の先を触りながら確認したりと忙しい。
さっきまでの鬼コーチぶりが、まるで嘘のように穏やかだ。
まあ、その鬼コーチとしての三田村くんも、厳しいのは行動だけで、かけられる言葉が優しいのはいつもと変わらなかったけれど。
思っていたよりも喉が渇いていたらしく、ほどよく冷えたスポーツドリンクはとても美味しく感じた。
ついつい、たっぷりと飲んでしまう。
三田村くんに、ボトルを持たせたままだったのが申し訳ない。

「もう大丈夫ですか?」

「……んっ、んんっ、あー、うん。ありがとう、三田村くん。気付かなかったけど、すごく喉が渇いていたみたいだ。ずっと持ってもらって、ごめんね」

「いえ、大丈夫ですよ。間宮さんが自分で持てないようにしているのは僕ですし、それにずいぶんと軽くしてもらいましたからね。最後の方は、楽すぎるくらいでしたよ」

ストローから唇を離せば、すかさず口元をタオルで拭いてくれて、やはり三田村くんは優しく俺を気遣ってくれる。
まあ、相変わらず拘束されているし、ペニスにはマッサージ機が深く刺さったままなのだけれど。
それでも普通に会話ができるというだけで、なんだかほっとしてしまうのは何故なのだろう。
トレーニング中の三田村くんは、まるで人が変わってしまったように、俺にトレーニングをさせようとしてきたが、いまの三田村くんは本当に穏やかで話が通じそうだ。
いや、トレーニングに対して厳しいのは、いつものことだった。
三田村くんが、トレーナーとしてついてくれた時に、途中で怠けたりしないよう厳しくして欲しいと俺がお願いしたからだ。
そうか、三田村くんは、今回だけのことではなく、以前から俺のお願いを叶えてくれようとしていたんだな。
真面目で仕事熱心な三田村くんらしい。
それにしても、他愛ない会話は本当に癒される。
いまなら、トレーニングを変更できるんじゃないかと思えてしまった。

「それに、僕、すごく嬉しかったんです。間宮さんが、自分からこうして欲しいってリクエストしてくれたこと。僕のこと、信じて任せてくれるんだなって思いました。だから、僕を信じてくれる間宮さんのために、僕のできることは何でもしてあげたいって思ってるんですよ。僕、ちゃんとお役に立ててますか?」

「そうだったんだね。ありがとう、三田村くん。すごく助けてもらっているよ」

「よかった」

だが、俺がそれを切り出す前に、何だか断りづらい雰囲気になってしまった。
にこにこと嬉しそうに笑う三田村くんに対して、もうやめて欲しいとは言いにくい。

「そろそろ、再開した方がいいですか? 間宮さんのそこは、もう待ちきれないみたいですよ。これ以上待たせるのは、可哀想かもしれませんね」

そこ、と視線で示された場所を、ちらりと鏡で確認した。
台の上に固定された俺のペニスは、マッサージ機を咥えた穴から、とろとろと透明な蜜のようなものを垂らしている。
それが先走りだと気付くまで、それほど時間はかからなかった。
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