104 / 105
104、待ちわびた帰還
しおりを挟む
「ただいま、戻ったよ……おや? 数寄屋くんは、どこかに出かけてしまったのか?」
ドアの開く音が聞こえた。
送り出したときとは逆に、今度は帰還を知らせる声が聞こえてくるが、いまの俺にはそれに応えることができない。
「ああ……戻れば彼に出迎えてもらえると思っていたが、まさか不在にしているとはな。……とても残念だ……」
小さな溜め息とともに、御前崎教授の残念そうな声が聞こえる。
静かな研究室に、御前崎教授が自席に戻ろうとしているだろう足音が響きはじめた。
最初は小さく、それから少しずつ大きくなっていくそれに、椅子の上ですべてをさらけ出したまま発情している体の疼きが高まっていく。
御前崎教授の席は、俺のものよりも奥に位置している。
俺の席の前を通らなくては、自席に戻ることができないのだ。
全身が蕩けてしまって、スライムのなすがままになっている俺の側で、その足音がぴたりと止まった。
小さく聞こえていた御前崎教授の声さえも、一緒に止まる。
用意した衝立は、俺の席を包み込んで隠してくれてはいるが、それは窓を含めた背後からの話であって、当然のことながら前から見れば丸見えなのだ。
「……………………は?」
たっぷり沈黙した教授の口から、ただその一音だけがすべり落ちた。
それから、少し駆け足のようにばたばたと離れていく教授の足音が続く。
それは、いつも余裕のある足取りで歩く御前崎教授の足音とは思えないほど、荒々しく乱れたものだった。
開かれたばかりの研究室の鍵が、再びしっかりと施錠される音が響いた。
それだけで、体がぞくりと震える。
再び聞こえはじめた足音は少し足早で、どんどん力強くなっていく。
そして、それは衝立のすぐそばでぴたりと止まる。
今度は席の横側、衝立によって隠されている方からの接近だった。
すぐそこにいるはずの御前崎教授を感じることさえできないほどの沈黙が、静かな研究室の中に降り積もっていく。
どくどくと早くなる鼓動だけが、俺の時間が止まってしまったわけではないことを知らせてくれる。
【……どうした。中が気にならないのかね?】
長い沈黙をぶち破ったのは、スライムの教授だった。
俺の体を開いたまま、いつものように御前崎教授に話しかけている。
それだけで、体温が急激に上がってしまったような気がした。
「……ん、ぅ……っ」
この衝立の向こうに御前崎教授がいるのだと認識しただけで、体が蕩けそうになる。
神聖な職場である研究室の中で、無防備にさらけだされた肌がようやく空気に触れていることを思い出したのか、全身がぞわぞわと粟立っていく。
俺はなんてことをしてしまったのだろうと後悔する気持ちと、禁忌を犯してしまっているという背徳感が、身動きのできない俺を責め立てる。
どれだけ意識しないようにと思っていても、御前崎教授がそこに存在するというだけでいろいろな気持ちがこみ上げてきてしまう。
中に入り込んだスライムをきゅうっと締めつける穴が、くちゅりと湿度の高い音を立てるのと同時に、俺の机を取り囲んでいた衝立が動いた。
「これは、どういう状況かね? 返答次第によっては、いますぐ業者を呼んでスライム退治を行わなくてはならなくなる。くれぐれも正確に、私が納得できるような理由を聞かせてもらおうか」
御前崎教授は、躊躇うこともなく床に膝をついた。
口を両手で塞いだまま、スライムに絡め取られた俺の腕にそっと触れる。
触れられたところから体が蕩けていきそうだ。
【これは、正当な要求だよ。主人であるユウは、使い魔である私に対価を与える義務がある。このところ、不足していた分の対価をまとめて請求させてもらっているに過ぎない。まさか、我々の結んだ契約に何の関係もない貴殿が、口出しをするようなことはないだろうね?】
体の奥でスライムの触手から、とろりとした粘液がにじみ出てくるのを感じた。
濡らされたところから、体がどんどん熱を帯びていく。
イきたくてたまらなくて、全身がちんこを求めてじりじりと疼きはじめる。
「……そう、なのかね? このスライムの言う通りなのか? これは、君も望んでいることだと……?」
たっぷりと焦らされて、蕩けきった体が絶頂という解放を求めていた。
御前崎教授の手が頬に触れ、優しく撫でる。
それだけで、狂いそうなほどの快感が俺の体を貫いた。
ドアの開く音が聞こえた。
送り出したときとは逆に、今度は帰還を知らせる声が聞こえてくるが、いまの俺にはそれに応えることができない。
「ああ……戻れば彼に出迎えてもらえると思っていたが、まさか不在にしているとはな。……とても残念だ……」
小さな溜め息とともに、御前崎教授の残念そうな声が聞こえる。
静かな研究室に、御前崎教授が自席に戻ろうとしているだろう足音が響きはじめた。
最初は小さく、それから少しずつ大きくなっていくそれに、椅子の上ですべてをさらけ出したまま発情している体の疼きが高まっていく。
御前崎教授の席は、俺のものよりも奥に位置している。
俺の席の前を通らなくては、自席に戻ることができないのだ。
全身が蕩けてしまって、スライムのなすがままになっている俺の側で、その足音がぴたりと止まった。
小さく聞こえていた御前崎教授の声さえも、一緒に止まる。
用意した衝立は、俺の席を包み込んで隠してくれてはいるが、それは窓を含めた背後からの話であって、当然のことながら前から見れば丸見えなのだ。
「……………………は?」
たっぷり沈黙した教授の口から、ただその一音だけがすべり落ちた。
それから、少し駆け足のようにばたばたと離れていく教授の足音が続く。
それは、いつも余裕のある足取りで歩く御前崎教授の足音とは思えないほど、荒々しく乱れたものだった。
開かれたばかりの研究室の鍵が、再びしっかりと施錠される音が響いた。
それだけで、体がぞくりと震える。
再び聞こえはじめた足音は少し足早で、どんどん力強くなっていく。
そして、それは衝立のすぐそばでぴたりと止まる。
今度は席の横側、衝立によって隠されている方からの接近だった。
すぐそこにいるはずの御前崎教授を感じることさえできないほどの沈黙が、静かな研究室の中に降り積もっていく。
どくどくと早くなる鼓動だけが、俺の時間が止まってしまったわけではないことを知らせてくれる。
【……どうした。中が気にならないのかね?】
長い沈黙をぶち破ったのは、スライムの教授だった。
俺の体を開いたまま、いつものように御前崎教授に話しかけている。
それだけで、体温が急激に上がってしまったような気がした。
「……ん、ぅ……っ」
この衝立の向こうに御前崎教授がいるのだと認識しただけで、体が蕩けそうになる。
神聖な職場である研究室の中で、無防備にさらけだされた肌がようやく空気に触れていることを思い出したのか、全身がぞわぞわと粟立っていく。
俺はなんてことをしてしまったのだろうと後悔する気持ちと、禁忌を犯してしまっているという背徳感が、身動きのできない俺を責め立てる。
どれだけ意識しないようにと思っていても、御前崎教授がそこに存在するというだけでいろいろな気持ちがこみ上げてきてしまう。
中に入り込んだスライムをきゅうっと締めつける穴が、くちゅりと湿度の高い音を立てるのと同時に、俺の机を取り囲んでいた衝立が動いた。
「これは、どういう状況かね? 返答次第によっては、いますぐ業者を呼んでスライム退治を行わなくてはならなくなる。くれぐれも正確に、私が納得できるような理由を聞かせてもらおうか」
御前崎教授は、躊躇うこともなく床に膝をついた。
口を両手で塞いだまま、スライムに絡め取られた俺の腕にそっと触れる。
触れられたところから体が蕩けていきそうだ。
【これは、正当な要求だよ。主人であるユウは、使い魔である私に対価を与える義務がある。このところ、不足していた分の対価をまとめて請求させてもらっているに過ぎない。まさか、我々の結んだ契約に何の関係もない貴殿が、口出しをするようなことはないだろうね?】
体の奥でスライムの触手から、とろりとした粘液がにじみ出てくるのを感じた。
濡らされたところから、体がどんどん熱を帯びていく。
イきたくてたまらなくて、全身がちんこを求めてじりじりと疼きはじめる。
「……そう、なのかね? このスライムの言う通りなのか? これは、君も望んでいることだと……?」
たっぷりと焦らされて、蕩けきった体が絶頂という解放を求めていた。
御前崎教授の手が頬に触れ、優しく撫でる。
それだけで、狂いそうなほどの快感が俺の体を貫いた。
13
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる