使い魔スライムと俺

うしお

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97、隠れる先はもちろんこの場所

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「……確かに、隠れるように、と私が助言した。だが、何故、そこに入ろうとしているのかね?」

【最善の場所ではないが、ここが一番ましな場所なのだよ。それに、ここならば絶対に人目にはつかないだろうし、ましてや、使い魔をこのように隠すとは思うまい。そういう意味でも、やはりここが最良の場所だと言えるだろう】

眉間にしわを寄せ、こめかみに青筋を立てる御前崎教授と、それを見上げながらもスラックスの裾からゆっくり中に入ってくるスライムの教授。
相手は不定形なスライムだから、俺がどれだけ必死にスラックスの裾を押さえ込んでいても、簡単に中へと侵入されてしまう。

「ゃ、あっ、まっ、まって……ぇっ」

【大丈夫だよ、ユウ。余計なことはしないさ。服の中に隠れさせてもらうだけだからね】

肌の上をぬるりと這い上がってくるスライムに、すっかり快感を覚えさせられてしまった俺の体はぞくぞくと震えて止まらない。
いつだって、こんな風に這い上がってきたスライムに、ちんこもアナルもぐちゃぐちゃになるまで犯されてきたのだ。
思い出さずにはいられない。
もう二度と、俺は何も知らなかった頃には戻れないだろう。
足首からふくらはぎを経て膝裏を越え、太ももを撫でるようにすべり上がってくるスライムに、いつものように犯されたいと期待する体が震える。

「んっ、んんぅ……ぁ、ンッ」

足の付け根をくるりと撫でるように、スライムが絡みついてくる。
ぞわりとするような快感に、思わず喘いでしまいそうになった。
慌てて口を塞いだが、少し遅かったような気がする。
いまのは気持ちよかった。
口の中に、唾液がじゅわりと滲みだしている。
これからどうなるのだろう、と焦れる喉がごくりと鳴った。
スライムは、いつの間にか俺の体にするりと巻きついていた。
腰から下と鼠径部の上までが、スライムにしっかりと覆われている。
まるで、ぴっちりとしたボクサーパンツを穿いているかのような感覚だ。
いつの間にか、スライムが俺の尻をしっかりと包み込んでいた。
以前、ちんこが敏感になりすぎた時に提案されたスライムパンツ状態だ。
却下したはずなのに、どうしていまこんなことになっているのだろうか。
だが、パンツの中でスライムがパンツになったことで、ひとつだけいいことがあった。
見下ろしたスラックスのシルエットは、なにごともなかったかのようにつるりとしている。
しかし、俺のちんこは、とっくに勃起していた。
スライムが、足をのぼってきている最中から、ずっと。
もちろん、アナルだって、さっきからひくひくと疼いてたまらない。
それなのに、スライムパンツのおかげで目立たないようになっているのだ。

「ぁ……っ、ぁ……ん、んぅ……っ」

もちろん、悪いこともある。
ただ触れているだけのスライムがもどかしくて、腰がゆらゆらと勝手に揺れてしまうのだ。
あれだけ期待させられたのだから当然とも言える。
きっと、もっとしっかり隠れるためなどと理由をつけ、俺の中に隠れるのだと思っていた。
ちんこから入り込んで膀胱の中に隠れたり、アナルから入り込んで結腸の奥に隠れたりするのだろうと。
けれど、体に巻きついているだけのスライムは俺の中に入ってくることはなかった。
本当にパンツになってしまったかのように大人しく、まるで動かない。
自分だけが、快楽の虜になって、いやらしいことを考えていたのかと思うと恥ずかしい。
だが、俺はそれ以上に、まるで生殺しのようないまの状態に耐えられなくなってきていた。
なにもしてくれないなら、と焦れた手が、スラックスから勃起したちんこに目標を変えたところで、頭の上からばさりと暗闇が降ってくる。

「ぅわっ!」

驚いてはね避けようとした手を押さえ込まれ、暗闇ごと抱き締められた。
ふんわりと香るのは、御前崎教授が愛用しているコロンの香りだろうか。
恐らく御前崎教授のジャケットだろうそれに包まれながら、たくましい教授の腕の中にいることに気がつく。
これはこれで落ち着かない。
なんだか、そわそわしてしまう。

「君が、昼間からカーセックスを楽しみたいというのであれば私はいくらでも付き合うが、もしそういうつもりでないのなら、これ以上は慎んで欲しい」

耳元でひそりと囁かれた言葉の意味がわかると、自分がいまどこで何をしようとしていたのかにも気づいてしまって顔が熱くなる。
俺は、大学の駐車場でオナニーしそうになっていたのだ。

「へぁっ、カーセッ、カーセックスなんてっ! そ、そそそそんなつもりは」

「わかっている。そのようなつもりはないのだろう? ただ、少しだけ配慮して欲しいという私の我が儘なだけだ。あまり私を煽らないでくれ」

全身を包むコロンの香りと何かを堪えるかのような御前崎教授の声が、俺の鼓動を加速させた。
ジャケット越しでもわかるたくましい体が、年齢を感じさせないほどに若々しく、あらゆる気力に満ちているということを、俺の体が誰よりもよく知っているからだ。
鼻腔をくすぐるほのかな香りに快感を混ぜ合わせ、隅々まで刷り込まれた体が、内側から蕩けていきそうになる。

「あ、煽るつもりは……」

「ああ、そうだな、そうだろうとも。……わかっている、わかっているよ。ああ、よかった……落ち着いてくれたようだね」

そんなつもりではない、と口では言うくせに、勝手にすがりつこうとしていた指先が、すがりつく相手を失って宙を切る。
取り払われたジャケットが、ほのかな香りと暗闇を連れて離れていく。

「もう、大丈夫なようだね」

久しぶりに感じる外の世界の眩しさに、思わず目を閉じれば、何かが唇の上を掠めるように通りすぎた。
固く、乾いた感触だった。
ゆっくりと目を開きながら、視界の隅を掠めていった指先を見て残念に思ってしまう。

唇じゃなかったのか、と。
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