使い魔スライムと俺

うしお

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61、手にした幸運(攻め視点)

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【ユウが射精したものは、すべてそこへ流れ込むように繋いである。さすがに、本当に破裂させてしまうつもりはないから、余剰分は美味しくいただかせてもらっているがね】

御前崎の呟きに答えたのは、その指先に絡み付いていたスライムだった。
スライムは、彼の体の中にふたつ、外にひとつと分裂している。
それでいて、ひとつの意思を持って動けるのだから、モンスターというものはとても不思議な存在だと思う。

「便利なものだな、スライムというやつは」

皮肉でも何でもなく、御前崎は事実としてそう思う。
人間には、直接触れることも出来ないような場所に入り込み、遠隔地からでも好きに操れる。
やろうと思えば、暗殺にだって使えそうな技術だ。
このスライムにその意思は全くないだろうが。

【まあ、そうだな。しかし、私をスライムの基準にするのはやめておいた方がいい。私は、少し特殊な方だからね】

「そうだろうな。君は、実に個性的な存在だと思っているよ。色もそうだが、何よりその思考が面白い。だが、マスター至上主義というには、少々過激過ぎるようにも思える」

終わらない射精を繰り返し、痛みと快楽に悶える彼を横目に思うままを口にする。
これを引き起こしたのが、このスライムだと御前崎が知っているからこその発言なのだが、共犯者には不穏な発言に聞こえたのだろう。

【……ユウに、告げ口でもするつもりかね?】

低く響く声には、ぞっとするような響きがあった。

「まさか。その恩恵を受けておきながら、仇で返すつもりはないさ。君には、末永く協力させてもらいたいと思っているからね」

こうして、彼に触れられること。
秘めていた想いを遂げられたこと。
偶然にも、初めて彼を抱いた男となったが、あれはこのスライムが『教授』などと名乗っていなければ起きなかった事故のようなものだ。
その意味でも、御前崎にとって、このスライムは恩人と呼ぶべき存在であった。
それは、いま現在の状況にも繋がっている。

【ユウが望む間は、世話になるだろうさ】

彼の望みに添うこと。
どうやら、それだけを求めるこのスライムは、その目的を果たす過程で彼がどれだけ苦しもうとも躊躇わない過激的な思想の持ち主のようだ。
御前崎は、秘めていた想いを利用された側といえなくもないが、こうなった以上は彼に飽きられないようせいぜい努力するしかないだろう。
想いのないセックスは虚しい?
そんなもの、あとからでも想いは繋げる。
順番など、些細なこと過ぎて、考えたこともない。
人生の猶予があとどれだけあるかもわからないのだから、まずは手にした幸運を逃がさないことから始めるべきだ。
いまは、幻想のようなものでも、事実にしてしまえば問題はない。
きっかけがどんなものだとしても、御前崎にはこの幸運を手放す気はなかった。

幸いなことに、道はある。
これはほんの少し、頭の片隅でちらりと掠めただけの淡い興味から繋がれた縁なのだ。
たった一晩、肌を重ねただけではあるが、御前崎は数寄屋悠一という男がどれほど快楽に弱く、被虐的な素質の持ち主であるかを知るに至った。
前立腺の気持ちよさからアナルセックスを連想し、生身のペニスも気持ち良いのだろうか、とでも思ってしまったに違いない。
使い魔であるスライムに、自分の思考が筒抜けになっているということにも気付かずに。
スライムは、彼がほんの少しだけ心に思ったことを、彼の望みとして受け止めたのか、全力で叶えることにしたのだろう。
そして、その望みを叶えるために必要な『肉棒』として、どうやら御前崎は合格したようだ。
彼のことを一番に考えるスライムが、御前崎を拒まないのがその証拠だろう。
それならば、この先もずっと、合格し続ければいいだけのことだ。
煩わしく思っていた自分の体が、思わぬところで役に立った。
御前崎は、自身の幸運を噛みしめながら、痛みと快楽に悶える彼を優しく見守る。
愛しいものを見つめる瞳で。
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