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42、どうして記憶があるんだろう
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俺はいま、一匹のいもむしだった。
そう、いつか蝶々になることを夢見て、サナギに籠ったいもむしなのだ。
だから、羽化するまでどうか俺を放っておいてください。
……ここにいるのは、いもむしなんです。
数寄屋悠一じゃないんですぅぅ。
だから、放っておいてよぉぉ。
「数寄屋くん、怒っているのかね? 勝手なことをしてすまなかったと思っている。どうか、謝罪をさせてくれないだろうか。君の体のことも心配だし、その、薬も用意してある。出来れば、シャワーを浴びて、すっきりした方が良いと思うのだが、どうだろうか?」
どこかで聞いたことがあるような声の人が、俺のまわりをおろおろしながらうろついている気もするが、いもむしな俺には関係ない。
そうまったく、関係な……いわけないんだよなぁぁぁぁっ!
御前崎教授に、思いきり中出しされたせいか、さっきからお腹が痛くなってきてるし、がんがんちんこを突っ込まれたアナルは、腫れてるみたいで熱っぽい。
変な格好をいっぱいさせられたせいで、体中がばきばきに痛いし、特に腰なんかずきんずきんしてる。
俺が今日、目を覚まして最初にしたことは、綺麗にベッドメイクされていたシーツをひっぺがして自分の体に巻き付けることだった。
どこだかわからなかったけど、そこには自分しかいなかったから、遠慮なくやらせてもらった。
そんなわけで、シーツの中に閉じこもって現実逃避しているというのに、その現実がすぐ真横にいてさっきからしきりに話しかけてきている。
「どうか、出てきて顔を見せてくれないだろうか?」
そんな風に優しく言ってもらったところで、俺はどんな顔で教授に会えばいいんだよ!
頭のよくない俺にだってなぁ、記憶力ってもんはあるんだぞっ!
どこの世界に、職場の上司にちんこを突っ込まれて脱処女したその日に、アナルセックスでいっぱいイかせてなんておねだりかまして、次の日に、ご本人と平気な顔でご対面出来ちゃうやつがいると思うんだよぉおおっ!
そんなん無理に決まってるだろ!
勘弁してくれぇええっ!
なんて、一生懸命気を逸らそうとしても、お腹の中がぐるぐるっと強烈な痛みを訴えてきてる事実はなくなってくれない。
正直、本当に限界だった。
「数寄屋くん、本当にすまない。君の気持ちも確かめないまま、あのような行為に及んでしまったが、私は本気で君のことを、」
「トイレっ、トイレ、いきます!」
俺は、シーツ製のいもむし姿でベッドから飛び降りると、教授がいると思われる方に向かって叫んだ。
「今すぐ、トイレに行かせてください!」
「わかった。任せたまえ」
思いの外、頼もしい返事が返ってきたかと思うと、肩にぽんと手を置かれた。
手を引いてもらおうとのばした手が、宙を切る。
「うぇっ……!」
体がいきなりふわんと浮かんで、まぬけな声が口から出た。
イメージとしては、手でも引いてもらって、トイレに誘導してもらうつもりだったのだが、イケメンな教授はなんといもむしな俺をそのままひょいとお姫様だっこで持ち上げたのだ。
突然の浮遊感に驚いているうちに、教授は俺をだっこしたままひょいひょいっと移動していく。
すぐに、がちゃっとドアの開く音がしたかと思うと、俺はトイレの中に降ろされていた。
「君の名誉のためにも、私は少し離れて待機するので、用が済み次第出てきてくれたまえ。出てきたら、風呂場でもベッドでも、食卓にでも連れていくので何でも言って欲しい。では、一旦、失礼するよ」
いもむしなままの俺はぽかんとしながら、ドアが閉まる音を聞いた。
それから、急いでさなぎのごときシーツからもぞもぞっと抜け出て、自分史上最悪のトイレタイムに突入したのだった。
トイレからようやく出られるようになった時、俺はめちゃくちゃげっそりしていた。
本来、出す側に立つ人間として、天国のようなイメージを持っていた中出しというものが、出される側にとって、地獄の入口になりかねないものなのだということを知ってしまったせいだ。
まさか、こんなことになるものだとは思っていなかった。
二度とやらせるものか、と心に誓う。
絶対に、もうやらせない。
そんな決意も新たに、シーツを体に巻き付けて歩いていたら、目を閉じて壁にもたれている教授を見つけた。
廊下の端にある窓から、朝日がきらきらと差し込んでいる。
くっ、逆光だからだろうか、イケオジがいつもよりもさらに輝いて見えるぜ。
「……ああ。数寄屋くん、もう大丈夫なのかね?」
見ている俺の気配を感じたのか、静かに目を開いた教授は、声をかけながらゆっくりと俺に近付いてくる。
なんだか、俺よりも教授の方がげっそりしているんじゃないだろうか。
少しやつれたような笑顔を見せる教授なんて、違和感しかない。
いつもの高圧的な態度はどこにいってしまったんだろう?
とんでもない勘違いで、俺のアナル処女を奪った責任でも感じているんだろうか。
「よければ、浴室に案内したいのだが、体調の方はどうかね? 濡らしたタオルで全身を拭かせてはもらったが、着替える前にさっぱりしておきたいだろう?」
目が覚めた時、記憶の中にある俺はどろどろだったけれど、そのままじゃなかったから、何らかの後始末はしてくれたんだろうと思っていた。
けど、教授が俺の全身を拭いたっていうのかよ。
面倒なことは全部、人にやらせるものだと思っているようなこの人が、自分で?
びっくりしすぎた俺は、とりあえずシャワーを浴びてリセットすることにした。
考えたって、わからないことはわからないのだ。
そう、いつか蝶々になることを夢見て、サナギに籠ったいもむしなのだ。
だから、羽化するまでどうか俺を放っておいてください。
……ここにいるのは、いもむしなんです。
数寄屋悠一じゃないんですぅぅ。
だから、放っておいてよぉぉ。
「数寄屋くん、怒っているのかね? 勝手なことをしてすまなかったと思っている。どうか、謝罪をさせてくれないだろうか。君の体のことも心配だし、その、薬も用意してある。出来れば、シャワーを浴びて、すっきりした方が良いと思うのだが、どうだろうか?」
どこかで聞いたことがあるような声の人が、俺のまわりをおろおろしながらうろついている気もするが、いもむしな俺には関係ない。
そうまったく、関係な……いわけないんだよなぁぁぁぁっ!
御前崎教授に、思いきり中出しされたせいか、さっきからお腹が痛くなってきてるし、がんがんちんこを突っ込まれたアナルは、腫れてるみたいで熱っぽい。
変な格好をいっぱいさせられたせいで、体中がばきばきに痛いし、特に腰なんかずきんずきんしてる。
俺が今日、目を覚まして最初にしたことは、綺麗にベッドメイクされていたシーツをひっぺがして自分の体に巻き付けることだった。
どこだかわからなかったけど、そこには自分しかいなかったから、遠慮なくやらせてもらった。
そんなわけで、シーツの中に閉じこもって現実逃避しているというのに、その現実がすぐ真横にいてさっきからしきりに話しかけてきている。
「どうか、出てきて顔を見せてくれないだろうか?」
そんな風に優しく言ってもらったところで、俺はどんな顔で教授に会えばいいんだよ!
頭のよくない俺にだってなぁ、記憶力ってもんはあるんだぞっ!
どこの世界に、職場の上司にちんこを突っ込まれて脱処女したその日に、アナルセックスでいっぱいイかせてなんておねだりかまして、次の日に、ご本人と平気な顔でご対面出来ちゃうやつがいると思うんだよぉおおっ!
そんなん無理に決まってるだろ!
勘弁してくれぇええっ!
なんて、一生懸命気を逸らそうとしても、お腹の中がぐるぐるっと強烈な痛みを訴えてきてる事実はなくなってくれない。
正直、本当に限界だった。
「数寄屋くん、本当にすまない。君の気持ちも確かめないまま、あのような行為に及んでしまったが、私は本気で君のことを、」
「トイレっ、トイレ、いきます!」
俺は、シーツ製のいもむし姿でベッドから飛び降りると、教授がいると思われる方に向かって叫んだ。
「今すぐ、トイレに行かせてください!」
「わかった。任せたまえ」
思いの外、頼もしい返事が返ってきたかと思うと、肩にぽんと手を置かれた。
手を引いてもらおうとのばした手が、宙を切る。
「うぇっ……!」
体がいきなりふわんと浮かんで、まぬけな声が口から出た。
イメージとしては、手でも引いてもらって、トイレに誘導してもらうつもりだったのだが、イケメンな教授はなんといもむしな俺をそのままひょいとお姫様だっこで持ち上げたのだ。
突然の浮遊感に驚いているうちに、教授は俺をだっこしたままひょいひょいっと移動していく。
すぐに、がちゃっとドアの開く音がしたかと思うと、俺はトイレの中に降ろされていた。
「君の名誉のためにも、私は少し離れて待機するので、用が済み次第出てきてくれたまえ。出てきたら、風呂場でもベッドでも、食卓にでも連れていくので何でも言って欲しい。では、一旦、失礼するよ」
いもむしなままの俺はぽかんとしながら、ドアが閉まる音を聞いた。
それから、急いでさなぎのごときシーツからもぞもぞっと抜け出て、自分史上最悪のトイレタイムに突入したのだった。
トイレからようやく出られるようになった時、俺はめちゃくちゃげっそりしていた。
本来、出す側に立つ人間として、天国のようなイメージを持っていた中出しというものが、出される側にとって、地獄の入口になりかねないものなのだということを知ってしまったせいだ。
まさか、こんなことになるものだとは思っていなかった。
二度とやらせるものか、と心に誓う。
絶対に、もうやらせない。
そんな決意も新たに、シーツを体に巻き付けて歩いていたら、目を閉じて壁にもたれている教授を見つけた。
廊下の端にある窓から、朝日がきらきらと差し込んでいる。
くっ、逆光だからだろうか、イケオジがいつもよりもさらに輝いて見えるぜ。
「……ああ。数寄屋くん、もう大丈夫なのかね?」
見ている俺の気配を感じたのか、静かに目を開いた教授は、声をかけながらゆっくりと俺に近付いてくる。
なんだか、俺よりも教授の方がげっそりしているんじゃないだろうか。
少しやつれたような笑顔を見せる教授なんて、違和感しかない。
いつもの高圧的な態度はどこにいってしまったんだろう?
とんでもない勘違いで、俺のアナル処女を奪った責任でも感じているんだろうか。
「よければ、浴室に案内したいのだが、体調の方はどうかね? 濡らしたタオルで全身を拭かせてはもらったが、着替える前にさっぱりしておきたいだろう?」
目が覚めた時、記憶の中にある俺はどろどろだったけれど、そのままじゃなかったから、何らかの後始末はしてくれたんだろうと思っていた。
けど、教授が俺の全身を拭いたっていうのかよ。
面倒なことは全部、人にやらせるものだと思っているようなこの人が、自分で?
びっくりしすぎた俺は、とりあえずシャワーを浴びてリセットすることにした。
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