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34、好きです宣言
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目の前に置かれたバリューボックスを応接用のテーブルに移動して、俺はすぐさまコーヒーの準備をしに行く。
中身は、豪華なサンドイッチバスケットだった。
ローストビーフやスモークサーモンとチーズ、定番のベーコンレタストマトや照り焼きチキンに、ちょっと珍しい分厚い玉子焼きが挟まった玉子サンドなどなど。
ボックスの中身は味も種類も豊富だし、かなりのボリュームだ。
応接用のソファーに座っていた教授にお皿を差し出すと、自分の好みにあったものをいくつか選んで取っていく。
それが終わると、教授はまだまだ中身がたっぷり残ったボックスを、俺に向かって押し出した。
「君も好きなものを食べたまえ。私よりも若いのだから、たくさん食べられるだろう」
ちょっと気になっていたお店のものだったので、すごく得をした気分だ。
ランチボックスでも、結構高くて自分ではチャレンジ出来なかったんだよな。
いつも教授が食べてるのを見て、美味しそうだなーって思ってたんだよなぁ。
数を揃えるためなのか、御前崎教授があまり好きではないものも入っていたので、それは全部引き受けた。
俺はこれ、好きだけどね。
普段の食事傾向から、絶対に教授はこれを食べないってわかっているから、俺は遠慮なく食べられる。
こんな美味い昼飯を食えるとは、本当に最近ついてるなぁ。
ほくほくしながらサンドイッチをぱくついていると、教授の方から話しかけてきた。
教授の話は、世間話というには、ちょっと首を傾げたくなるような内容だった。
最近どうだ、という定番の質問から、恋人は出来たのか、なんてちょっとびっくりするような質問まで。
まるで、ドラマで見かける心配性のお父さんのような質問だ。
もしくは、束縛強めの彼氏っぽい?
俺がもし女の子だったら、セクハラで訴えられそうなことまで平気で聞いてくる。
良かったですね、俺が男で、と心の中だけで思っておく。
まあ、別に隠すことでもないし、俺は正直に、調子はいいけど恋人はいませんって答えた。
もちろん、使い魔なら出来ましたよ、とも言わない。
スライムと契約した、なんてことは、わざわざ人に言うようなことじゃないからだ。
それに、スライムは恋人ではないのだから嘘ではない。
まあ、普通に暮らしてたら、スライムと契約したか?なんて質問は絶対に出てこないだろうから安心だけれど。
少しほっとしたようにため息をついていたから、もしかして、俺が恋人でも作って、ここをやめると思ったのかな?
本気で結婚を考えるなら、うちの給料は安い方だし、そのせいで転職する人が多い世界だもんな。
「あの、俺、好きなんで、やめませんから」
そんな心配はいりませんよと、にこにこして仕事大好きアピールをしておく。
結構地味だけど、ここの仕事はやりがいがあってすごく楽しい。
ここにいれば、見知らぬ世界の言葉にいつでも触れられるし、知らない言葉の意味を探すのもすごく楽しい。
だから、給料が安くてもやめられないんだよな。
この分野に関して、ここより進んでいる研究室は他にはないだろうし、最小人数だから人間関係も教授だけ気にしてればいいから楽でいい。
ちょっとパワハラはきついけど、最近の教授はそれもないし。
なかなかいい環境になっているのだ。
俺が、にこにこしながら次のサンドイッチを手に取ってぱくついていたら、御前崎教授が下を向いてぷるぷると震えはじめた。
え、ヤバい、気が付かないうちに何かやらかして怒らせた?
ぱっとテーブルの上を見た俺は、教授のコーヒーカップがいつの間にか空になってることに気が付いた。
「すぐに、おかわりをお持ちします」
ダッシュでコーヒーをいれに走った俺は、うつむいたままの御前崎教授の耳が真っ赤になっていたなんてことには、気が付かなかったのだった。
中身は、豪華なサンドイッチバスケットだった。
ローストビーフやスモークサーモンとチーズ、定番のベーコンレタストマトや照り焼きチキンに、ちょっと珍しい分厚い玉子焼きが挟まった玉子サンドなどなど。
ボックスの中身は味も種類も豊富だし、かなりのボリュームだ。
応接用のソファーに座っていた教授にお皿を差し出すと、自分の好みにあったものをいくつか選んで取っていく。
それが終わると、教授はまだまだ中身がたっぷり残ったボックスを、俺に向かって押し出した。
「君も好きなものを食べたまえ。私よりも若いのだから、たくさん食べられるだろう」
ちょっと気になっていたお店のものだったので、すごく得をした気分だ。
ランチボックスでも、結構高くて自分ではチャレンジ出来なかったんだよな。
いつも教授が食べてるのを見て、美味しそうだなーって思ってたんだよなぁ。
数を揃えるためなのか、御前崎教授があまり好きではないものも入っていたので、それは全部引き受けた。
俺はこれ、好きだけどね。
普段の食事傾向から、絶対に教授はこれを食べないってわかっているから、俺は遠慮なく食べられる。
こんな美味い昼飯を食えるとは、本当に最近ついてるなぁ。
ほくほくしながらサンドイッチをぱくついていると、教授の方から話しかけてきた。
教授の話は、世間話というには、ちょっと首を傾げたくなるような内容だった。
最近どうだ、という定番の質問から、恋人は出来たのか、なんてちょっとびっくりするような質問まで。
まるで、ドラマで見かける心配性のお父さんのような質問だ。
もしくは、束縛強めの彼氏っぽい?
俺がもし女の子だったら、セクハラで訴えられそうなことまで平気で聞いてくる。
良かったですね、俺が男で、と心の中だけで思っておく。
まあ、別に隠すことでもないし、俺は正直に、調子はいいけど恋人はいませんって答えた。
もちろん、使い魔なら出来ましたよ、とも言わない。
スライムと契約した、なんてことは、わざわざ人に言うようなことじゃないからだ。
それに、スライムは恋人ではないのだから嘘ではない。
まあ、普通に暮らしてたら、スライムと契約したか?なんて質問は絶対に出てこないだろうから安心だけれど。
少しほっとしたようにため息をついていたから、もしかして、俺が恋人でも作って、ここをやめると思ったのかな?
本気で結婚を考えるなら、うちの給料は安い方だし、そのせいで転職する人が多い世界だもんな。
「あの、俺、好きなんで、やめませんから」
そんな心配はいりませんよと、にこにこして仕事大好きアピールをしておく。
結構地味だけど、ここの仕事はやりがいがあってすごく楽しい。
ここにいれば、見知らぬ世界の言葉にいつでも触れられるし、知らない言葉の意味を探すのもすごく楽しい。
だから、給料が安くてもやめられないんだよな。
この分野に関して、ここより進んでいる研究室は他にはないだろうし、最小人数だから人間関係も教授だけ気にしてればいいから楽でいい。
ちょっとパワハラはきついけど、最近の教授はそれもないし。
なかなかいい環境になっているのだ。
俺が、にこにこしながら次のサンドイッチを手に取ってぱくついていたら、御前崎教授が下を向いてぷるぷると震えはじめた。
え、ヤバい、気が付かないうちに何かやらかして怒らせた?
ぱっとテーブルの上を見た俺は、教授のコーヒーカップがいつの間にか空になってることに気が付いた。
「すぐに、おかわりをお持ちします」
ダッシュでコーヒーをいれに走った俺は、うつむいたままの御前崎教授の耳が真っ赤になっていたなんてことには、気が付かなかったのだった。
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