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03、契約について
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「スライムには、餌として精液、もしくは日に三度の小水など、必ずご主人様の体液を与えること、ね。基本的に掃除が得意な感じか。ふーん、すごいな。ゴミなんかも消化出来ちゃうのか」
説明書には、スライムの基本的な生態について説明する内容が書かれていた。
俺が特に注目したのは、スライムに与えるべき餌とその頻度で、さらに、それを与えたことで得られる対価について書かれた項目だ。
基本的に、専属契約を求めないスライムは汚れを食べることで、そこに溶け込んだ魔素を吸収しながら生活しているらしい。
魔素というのは、俺たちにとっては酸素のようなものであるらしく、それがないとスライムは弱って消えてしまうのだという。
その点では、ゲームのように最弱と言えなくもないが、集団になれば大きなモンスターすら倒してしまうというので、スライムというのはただ弱いだけのモンスターではないようだ。
もちろん、個体として考えれば、弱いという認識で間違いないようなので、森の中なら木のうろや草むらだったり、ダンジョンの天井だったりと、色々なところに隠れ住みながら魔素を吸収して生活しているという。
だから、こちらの世界では魔素の素となる汚水が流れ込んで来る下水処理施設に住み着いているのだろう。
何もしなくても、そこにいれば汚水が集まってくるのだし、来る汚れを食べるだけで生活ができてしまう。
スライムが、下水処理施設に暮らしているのもなるほど、と思われる理由だった。
下水処理施設に住み着いたスライムと人間は、あくまでもお互いに利益があるから共生関係を結んでいるというだけで、特に誰かが専属契約をしているわけではない。
お互いに余計な干渉をせず、結果だけをやりとりしているのだ。
それなら、専属契約を結びたがるスライムはと言えば、ご主人様の体液をもらう代わりに、汚れの吸収やゴミの消化など細々とした掃除を受け持ってくれるそうだ。
トイレの中の掃除も、そばに綺麗な水の入ったバケツを用意しておけば、トイレからバケツに移動して自分の体を綺麗にしてから外に出てくるという。
なんとなく、汚いと思われがちなことも、そうやって配慮をしてくれるとなれば、安心して任せられるだろう。
「毎日《オナホ》として使うなら、無理に餌をやる必要はないってことだな。だけど、俺のところに来たスライムは蛍光ピンクなんだよな。こいつは、スライムの中でも、上位種に分類されるカラースライムだけど、汚水の処理はともかく掃除は苦手、と。まあ、スライムの掃除能力についてはあまり期待してなかったし、別にいいだろ。で、カラースライムの餌は、精液限定ね。まあ、元々このスライムは、オナホにするつもりだったから問題ないな。俺が勃たなくなったら、スライムセンターに返却すること、ね。……まあ、そうなったら、そうなったで、その時考えればいいか」
あとはぱらぱらと説明書を斜め読みして、他に注意することはなさそうなので、冷蔵庫に入れておいた瓶詰めスライムを取り出してくる。
わざわざ冷蔵便でスライムを送ってくるのは、移動中の事故を防ぐためだ。
スライムは、燃費がいいから数日餌をやらなくても大丈夫だが、限界まで餓えると人を襲って無理矢理契約を結ぶこともあるらしい。
そのため、冷蔵して冬眠状態にしてから、スライムは発送されてくる。
封印ラベルにも、スライムの食欲を抑制する魔法のようなものがかけられているらしいが、スライム的にも冷やすのが一番負担が少ないのだとか。
「さて、それじゃあ契約してみるか」
契約するには、まず封印ラベルに、ご主人様の名前を記入する必要がある。
この時、絶対にフルネームを書いてはいけない。
名前は契約の楔となるものだから、ここでフルネームを教えてしまうと、スライム側に主導権が移動してしまうことがあるらしい。
契約を結ぶ相手に、名前を掌握されるのはよくない、とのことだ。
主従が逆になったら、人間は完全にスライムの家畜にされてしまう。
そうならないために、このラベルには下の名前だけ、もしくは自分で決めたご主人様名を記入すること、と説明書に書いてある。
俺は、少し考えて、『U』と記入した。
普通に自分の名前である数寄屋悠一の下の名前、悠一からユウの音を取ることにした。
表記の方は少し捻って、ストレートに頭文字を選ぶのではなく、同じ読みのアルファベットを採用している。
本当の名前にかすりもしていないが、音で聞くなら間違いなく俺とわかるだろう。
少し安易な名前だとは思うが、あまり馴染みの無い名前すぎると反応が出来そうにないので、これでいくことにした。
説明書には、スライムの基本的な生態について説明する内容が書かれていた。
俺が特に注目したのは、スライムに与えるべき餌とその頻度で、さらに、それを与えたことで得られる対価について書かれた項目だ。
基本的に、専属契約を求めないスライムは汚れを食べることで、そこに溶け込んだ魔素を吸収しながら生活しているらしい。
魔素というのは、俺たちにとっては酸素のようなものであるらしく、それがないとスライムは弱って消えてしまうのだという。
その点では、ゲームのように最弱と言えなくもないが、集団になれば大きなモンスターすら倒してしまうというので、スライムというのはただ弱いだけのモンスターではないようだ。
もちろん、個体として考えれば、弱いという認識で間違いないようなので、森の中なら木のうろや草むらだったり、ダンジョンの天井だったりと、色々なところに隠れ住みながら魔素を吸収して生活しているという。
だから、こちらの世界では魔素の素となる汚水が流れ込んで来る下水処理施設に住み着いているのだろう。
何もしなくても、そこにいれば汚水が集まってくるのだし、来る汚れを食べるだけで生活ができてしまう。
スライムが、下水処理施設に暮らしているのもなるほど、と思われる理由だった。
下水処理施設に住み着いたスライムと人間は、あくまでもお互いに利益があるから共生関係を結んでいるというだけで、特に誰かが専属契約をしているわけではない。
お互いに余計な干渉をせず、結果だけをやりとりしているのだ。
それなら、専属契約を結びたがるスライムはと言えば、ご主人様の体液をもらう代わりに、汚れの吸収やゴミの消化など細々とした掃除を受け持ってくれるそうだ。
トイレの中の掃除も、そばに綺麗な水の入ったバケツを用意しておけば、トイレからバケツに移動して自分の体を綺麗にしてから外に出てくるという。
なんとなく、汚いと思われがちなことも、そうやって配慮をしてくれるとなれば、安心して任せられるだろう。
「毎日《オナホ》として使うなら、無理に餌をやる必要はないってことだな。だけど、俺のところに来たスライムは蛍光ピンクなんだよな。こいつは、スライムの中でも、上位種に分類されるカラースライムだけど、汚水の処理はともかく掃除は苦手、と。まあ、スライムの掃除能力についてはあまり期待してなかったし、別にいいだろ。で、カラースライムの餌は、精液限定ね。まあ、元々このスライムは、オナホにするつもりだったから問題ないな。俺が勃たなくなったら、スライムセンターに返却すること、ね。……まあ、そうなったら、そうなったで、その時考えればいいか」
あとはぱらぱらと説明書を斜め読みして、他に注意することはなさそうなので、冷蔵庫に入れておいた瓶詰めスライムを取り出してくる。
わざわざ冷蔵便でスライムを送ってくるのは、移動中の事故を防ぐためだ。
スライムは、燃費がいいから数日餌をやらなくても大丈夫だが、限界まで餓えると人を襲って無理矢理契約を結ぶこともあるらしい。
そのため、冷蔵して冬眠状態にしてから、スライムは発送されてくる。
封印ラベルにも、スライムの食欲を抑制する魔法のようなものがかけられているらしいが、スライム的にも冷やすのが一番負担が少ないのだとか。
「さて、それじゃあ契約してみるか」
契約するには、まず封印ラベルに、ご主人様の名前を記入する必要がある。
この時、絶対にフルネームを書いてはいけない。
名前は契約の楔となるものだから、ここでフルネームを教えてしまうと、スライム側に主導権が移動してしまうことがあるらしい。
契約を結ぶ相手に、名前を掌握されるのはよくない、とのことだ。
主従が逆になったら、人間は完全にスライムの家畜にされてしまう。
そうならないために、このラベルには下の名前だけ、もしくは自分で決めたご主人様名を記入すること、と説明書に書いてある。
俺は、少し考えて、『U』と記入した。
普通に自分の名前である数寄屋悠一の下の名前、悠一からユウの音を取ることにした。
表記の方は少し捻って、ストレートに頭文字を選ぶのではなく、同じ読みのアルファベットを採用している。
本当の名前にかすりもしていないが、音で聞くなら間違いなく俺とわかるだろう。
少し安易な名前だとは思うが、あまり馴染みの無い名前すぎると反応が出来そうにないので、これでいくことにした。
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