恋は熱量

うしお

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20、猛火(1)

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やり直しの口づけで、ジュールはまるで溺れるように啼かされた。
男の胸にすがりつき、みっともなくくふくふと甘えた声をあげているジュールを、男は優しく抱き締めたまま、さらに口づけを深くした。
ジュールの口の中では、常に男の舌が何かを探すように蠢いていて、唇を閉じる余裕も隙も与えてくれない。

「……んっ、んふ……っ、ふぁっ、あっ、は……ふ、ンンッ」

「ん、イイ声だ。やっぱり、上あごの裏が大好きなんだな」

そこは、男との口づけで知ったばかりの場所だった。
ちろちろと舌先でくすぐられたり、歯の付け根から奥に向かってゆったり舐められたりするとたまらなく気持ちいい。
男の舌は、ジュールの気持ちいいところばかりを、泣きたくなるくらい気持ちいい方法で責めてくる。
ふたりはほとんど休む間もなく、口づけを交わし続けていた。
あまりにも長く口づけているからか、唇を重ねる度、男のヒゲがちくちくと当たるのすら、気持ちよくなりはじめていた。

「ふ、ぁ……らい、しゅき……れひゅ……っ、ぁ、ふぁ……っ、きもひ、いぃ……っ」

ジュールが素直に答えれば、男は満足そうに頷いて、頭の後ろにそっと手をまわしてきた。

「それじゃあ、オマケでもう一回、な?」

「んっ、んぅ……っ、ふっ、んぅううぅ……っ」

重ねられた唇から入り込んできた舌が、ジュールの上あごを優しくくすぐった。
再びはじまろうとしている気持ちいい口づけに、期待するジュールの口の中が溢れ出した唾液でたっぷりと濡れる。
男は器用な舌を使ってそれを絡め取ると、そのままジュールの上あごへぬりゅっと塗りつけた。
大きくひろげられた舌が、ジュールの上あごをねっとりと舐めると、ぞわぞわとしたものが背筋を駆け抜けていく。
反射的に反りかけた体がびくりと震えるが、頭の後ろをしっかり押さえつけている男からは逃げられない。
男はきっと、こうなることを知っていたのだ。

「んぅっ、ふぅンッ、ンふぅううッ」

逃げるどころか、さらに深くなった口づけに全身が震えて止まらない。
とどめを刺される寸前の獲物みたいに、びくりびくりと断末魔にも似た痙攣を繰り返しながら、ジュールは男の胸にしがみついていた。
触れた場所から、とっとっとっと駆け足のように軽やかな男の鼓動が伝わってくる。
口づけられてからずっとどきどきしているジュールと、同じくらい早くて力強い。
一緒だ、と思った。
ジュールとの口づけで、この男もどきどきしているのだと。
そのことが嬉しくて、何だかたまらない気持ちになった。
ジュールは、慣れない口づけに翻弄されながらも、自分にも何かできないだろうか、と上あごを責め立てる男の舌に震える舌をそっと触れさせた。
ほんのちょっと、舌を舐めてみようと思っただけだった。
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