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ルイロシュクの街
ルイロシュクの街 1
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「ん? なんだ、これ。……檻、に、豚?」
渡された札を確認して、いつもと違う文字に首を傾げる。
色輪付きの店が多いルイロシュクの街には、これまでにも何度か来ているのだが、『檻』と『豚』という札を出す店は初めて見た。
『壁』と『穴』と意味は変わらないのだろうが、どういう意味なのだろうか。
「ああ。アンタ、この店使うは、初めてか? それ、びっくりすんだろ」
隣に座っていた太ったオヤジに話しかけられ、思わず声をひそめて聞いてしまう。
カウンターに座っているということは、このオヤジも色輪の利用者だということだろう。
『穴』になりに来た俺とは違って、『穴』を買いに来た方なのだろうが。
「え、ああ……これ、どういう意味なんだ?」
オヤジの持つ『豚』の隣に、『檻』を上にして札を並べる。
「そのままさ。ここじゃ、『豚』は『檻』に入れておくもんなんだ」
とんとん、と指先で札の文字を叩いたオヤジが、『檻』といって指で輪を作り、『豚』といってそこに指をピストンしてみせながら、いやらしく笑う。
『豚』が『穴』で、『檻』が『壁』ということだろう。
文字が違うだけで、意味はあまり変わらないことがわかった。
「なんで、この店は他と違うんだ? 同じ黒輪だろ?」
「この辺は、色輪の店が多いだろ。例え黒でも、普通じゃやってけないってんでな、マスターが工夫してんだよ」
「確かに。どこにしようか、悩むほどあったな」
「だろ? ほら、あそこ見てみろ。あそこに、札が三枚かかってんだろ?」
言われて見たのは、マスターの後ろにかかった額縁のようなもの。
いくつかの釘が打ち込まれていて、そこに『豚』とかかれた札が三枚かけられていた。
額縁のようなものの上には、それがタイトルであるかのように、入荷中とかかれた板が打ち付けられている。
その隣にある『出荷予定』の額縁のようなものには、何もかかっていなかった。
「『豚』の札が三枚と、入荷中?」
「そそ。つまりな、いま下に行きゃ、エロ豚三匹から選び放題ってことだ」
「選び放題?」
「『檻』にいる『豚』は、発情期のやつらばっかだからよ。トロマンに、ちんぽ喰わされたくてウズウズしてんだな。階段降りたら、すぐ『檻』なんだけど、『豚』の方から寄ってくんだぜ? よってたかってちんぽ舐めにくるからな、客は並んだくちまんこで遊んだり、トロマンに突っ込んだりして、最後は気に入った『豚』に、直接種付けすんだよ」
ぞわぞわっと悪寒のようなものが、背筋をかけあがった。
話を聞いただけでも、さすがは黒輪だと思わされた。
安泰だと思っていた壁穴屋にも、どうやら集客努力が必要らしい。
ノービルの街のようなしっかりとした個室タイプ以外にも、薄いカーテンや衝立のようなもので仕切っただけの大部屋タイプや、ベッドの中に埋め込まれる家具タイプなんていうのがあるのは知っていた。
個人的には、個室タイプは、突っ込んでもらえるちんぽに集中して遊びたい時に行くところで、大部屋タイプは、ちんぽを突っ込まれている声を聞かれてるって羞恥心を楽しみに行くところという感じで使い分けている。
ちなみに、家具タイプというのは、全く身動きの取れない状態で、完全にちんぽの扱き穴として使われにいくところらしい。
まだ行ってみたことはないが、いつかは行ってみたいと思っているところだ。
前回は、完全個室で思いっきり楽しんだので、今日は大部屋タイプでも、と思っていたのだが、予想以上の面白い演出がされているところだったらしい。
『檻』に『豚』か。
そんなの、行かないわけにはいかないよなぁ。
エールをちびちびやりながら、店の中にいるやつらを物色する。
隣の太ったオヤジを筆頭に、どいつもこいつも真っ昼間からエロ話で盛り上がる脂ぎったエロ中年ばかりだった。
この店の客層こそ、店が繁盛しない理由なんじゃないかと思いたくなる。
少なくとも、若くて持ちのいい硬ちんぽ狙いのやつなら、絶対に選ばないだろう。
そういう意味では、この路線を取ったのは正しい判断だと思う。
客層にぴったり合ったものでなければ、生き残るのは難しいだろう。
「……ここにいるのは、もう普通の穴遊びじゃ満足出来ないようなやつらで、毎日ここに遊びに来てる。だからな、おれも含め、みんな『豚』を可愛がるのは得意なんだ」
「へぇ……」
「今いる三匹も、下の『檻』に入ってもう何日も経ってるんだが、どうもまだ出る気はないみたいだな」
「そんなことまでわかるのか?」
「わかるさ。『豚』がここから出る時は、出荷される時だからよ。あっちの札を、移動するんだ。そしたら、その夜はみんなで『豚』との別れを惜しむんだよ」
「みんな?」
「その日、ここにいるやつら全員さ」
俺は、静かに札を握り締めた。
小さな酒場の中には、このオヤジも入をれて九人の男がいる。
筋肉質ですらっとした若いやつなんて、一人もいない。
みんながみんないかにもな中年で、ちんぽもまともに洗ってなさそうなやつばかりだ。
「で、アンタは、どっちにすんだ? もし、四匹目の『豚』になろうってんなら、歓迎会を開いてやるぜ。特別に、みんなで、たっぷり可愛がってやるよ」
渡された札を確認して、いつもと違う文字に首を傾げる。
色輪付きの店が多いルイロシュクの街には、これまでにも何度か来ているのだが、『檻』と『豚』という札を出す店は初めて見た。
『壁』と『穴』と意味は変わらないのだろうが、どういう意味なのだろうか。
「ああ。アンタ、この店使うは、初めてか? それ、びっくりすんだろ」
隣に座っていた太ったオヤジに話しかけられ、思わず声をひそめて聞いてしまう。
カウンターに座っているということは、このオヤジも色輪の利用者だということだろう。
『穴』になりに来た俺とは違って、『穴』を買いに来た方なのだろうが。
「え、ああ……これ、どういう意味なんだ?」
オヤジの持つ『豚』の隣に、『檻』を上にして札を並べる。
「そのままさ。ここじゃ、『豚』は『檻』に入れておくもんなんだ」
とんとん、と指先で札の文字を叩いたオヤジが、『檻』といって指で輪を作り、『豚』といってそこに指をピストンしてみせながら、いやらしく笑う。
『豚』が『穴』で、『檻』が『壁』ということだろう。
文字が違うだけで、意味はあまり変わらないことがわかった。
「なんで、この店は他と違うんだ? 同じ黒輪だろ?」
「この辺は、色輪の店が多いだろ。例え黒でも、普通じゃやってけないってんでな、マスターが工夫してんだよ」
「確かに。どこにしようか、悩むほどあったな」
「だろ? ほら、あそこ見てみろ。あそこに、札が三枚かかってんだろ?」
言われて見たのは、マスターの後ろにかかった額縁のようなもの。
いくつかの釘が打ち込まれていて、そこに『豚』とかかれた札が三枚かけられていた。
額縁のようなものの上には、それがタイトルであるかのように、入荷中とかかれた板が打ち付けられている。
その隣にある『出荷予定』の額縁のようなものには、何もかかっていなかった。
「『豚』の札が三枚と、入荷中?」
「そそ。つまりな、いま下に行きゃ、エロ豚三匹から選び放題ってことだ」
「選び放題?」
「『檻』にいる『豚』は、発情期のやつらばっかだからよ。トロマンに、ちんぽ喰わされたくてウズウズしてんだな。階段降りたら、すぐ『檻』なんだけど、『豚』の方から寄ってくんだぜ? よってたかってちんぽ舐めにくるからな、客は並んだくちまんこで遊んだり、トロマンに突っ込んだりして、最後は気に入った『豚』に、直接種付けすんだよ」
ぞわぞわっと悪寒のようなものが、背筋をかけあがった。
話を聞いただけでも、さすがは黒輪だと思わされた。
安泰だと思っていた壁穴屋にも、どうやら集客努力が必要らしい。
ノービルの街のようなしっかりとした個室タイプ以外にも、薄いカーテンや衝立のようなもので仕切っただけの大部屋タイプや、ベッドの中に埋め込まれる家具タイプなんていうのがあるのは知っていた。
個人的には、個室タイプは、突っ込んでもらえるちんぽに集中して遊びたい時に行くところで、大部屋タイプは、ちんぽを突っ込まれている声を聞かれてるって羞恥心を楽しみに行くところという感じで使い分けている。
ちなみに、家具タイプというのは、全く身動きの取れない状態で、完全にちんぽの扱き穴として使われにいくところらしい。
まだ行ってみたことはないが、いつかは行ってみたいと思っているところだ。
前回は、完全個室で思いっきり楽しんだので、今日は大部屋タイプでも、と思っていたのだが、予想以上の面白い演出がされているところだったらしい。
『檻』に『豚』か。
そんなの、行かないわけにはいかないよなぁ。
エールをちびちびやりながら、店の中にいるやつらを物色する。
隣の太ったオヤジを筆頭に、どいつもこいつも真っ昼間からエロ話で盛り上がる脂ぎったエロ中年ばかりだった。
この店の客層こそ、店が繁盛しない理由なんじゃないかと思いたくなる。
少なくとも、若くて持ちのいい硬ちんぽ狙いのやつなら、絶対に選ばないだろう。
そういう意味では、この路線を取ったのは正しい判断だと思う。
客層にぴったり合ったものでなければ、生き残るのは難しいだろう。
「……ここにいるのは、もう普通の穴遊びじゃ満足出来ないようなやつらで、毎日ここに遊びに来てる。だからな、おれも含め、みんな『豚』を可愛がるのは得意なんだ」
「へぇ……」
「今いる三匹も、下の『檻』に入ってもう何日も経ってるんだが、どうもまだ出る気はないみたいだな」
「そんなことまでわかるのか?」
「わかるさ。『豚』がここから出る時は、出荷される時だからよ。あっちの札を、移動するんだ。そしたら、その夜はみんなで『豚』との別れを惜しむんだよ」
「みんな?」
「その日、ここにいるやつら全員さ」
俺は、静かに札を握り締めた。
小さな酒場の中には、このオヤジも入をれて九人の男がいる。
筋肉質ですらっとした若いやつなんて、一人もいない。
みんながみんないかにもな中年で、ちんぽもまともに洗ってなさそうなやつばかりだ。
「で、アンタは、どっちにすんだ? もし、四匹目の『豚』になろうってんなら、歓迎会を開いてやるぜ。特別に、みんなで、たっぷり可愛がってやるよ」
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