けだものどもの孕み腹

ソウ

文字の大きさ
上 下
184 / 367

16-(8)※

しおりを挟む

 ルトと夕飯を済ませ、ひと風呂浴びたラシャドは、寝台で横になる白い裸体に覆いかぶさった。蛇どもと応戦したシャツはもとより、寝間着さえ脱ぎ捨てて真上からルトを見下ろす。身を固くするルトは、青白い顔をして与える口づけを受け入れていた。

 数日前ならば、口づけを交わすだけでこれほど怯えなかった。ルトを孕み腹として扱っていた初めの頃ならまだしも、紫苑殿に移ってからは、ルトもそれなりに気を緩めていたはずだ。

 それなのに膝枕をしているときも、不意に身体が触れ合ったときも、ルトは目に見えて身体を強張らせるようになった。軽口はもとより会話も少なくなり、こちらの気配を伺って、ただ息をひそめている。

 その度にラシャドは苛立ってしまう。ルトを凌辱した獣人どもと一緒にするなと、怒りをぶつけてしまいたくなる。何より少しずつ気をゆるしていたルトが、また恐怖に染まる瞳で自分を見てくるのが嫌だった。

 所詮はルトにとってラシャドは、手酷く凌辱した獣人どもと同じ存在にすぎないと、ルトの身体が物語るのだ。

 ルトへの想いをどんなに自覚しても無意味だ。ともに過ごす日々の出来事に、決して消えぬ想いを深め、幾重に積み重ねても、胸の内に残るのは空虚だけ。

 ルトを孕み腹として扱い、孕ませ、慰みものにしている。そして、これからも愚かな行為を重ねるだろう。ルトの拒絶を知りながら。

 最低だなと自分でも思う。震える小さな身体を全力で守ってやりたいと思う反面、自分だけの消えぬ証を、この身体にも刻みたくなる。一度触れてしまったら、湧き出る感情は二度と抑えられない。

 グレンがルトに触れないのは、触れたら歯止めがきかなくなると知っているからだろうか。それともルトを孕み腹として扱う獣人どもと、同等に成り下がりたくないからか。触れようと思えばいつでも触れられるのに。

 怯えるルトの吐息を絡めとりながら、角度を変えて何度も口づけを交わす。ゆっくり唇を降ろし、顔を背ける細い首筋を吸った。ルトはぎゅっと目をつむり、怯えを瞼の裏に隠した。

「う、ゃ……っ」

 腕の中に閉じこめた身体が細かく震える。ラシャドは一度顔をあげ、ルトの膨らんだ腹に手のひらを添えた。



しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

助けの来ない状況で少年は壊れるまで嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...