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しおりを挟むルトと夕飯を済ませ、ひと風呂浴びたラシャドは、寝台で横になる白い裸体に覆いかぶさった。蛇どもと応戦したシャツはもとより、寝間着さえ脱ぎ捨てて真上からルトを見下ろす。身を固くするルトは、青白い顔をして与える口づけを受け入れていた。
数日前ならば、口づけを交わすだけでこれほど怯えなかった。ルトを孕み腹として扱っていた初めの頃ならまだしも、紫苑殿に移ってからは、ルトもそれなりに気を緩めていたはずだ。
それなのに膝枕をしているときも、不意に身体が触れ合ったときも、ルトは目に見えて身体を強張らせるようになった。軽口はもとより会話も少なくなり、こちらの気配を伺って、ただ息をひそめている。
その度にラシャドは苛立ってしまう。ルトを凌辱した獣人どもと一緒にするなと、怒りをぶつけてしまいたくなる。何より少しずつ気をゆるしていたルトが、また恐怖に染まる瞳で自分を見てくるのが嫌だった。
所詮はルトにとってラシャドは、手酷く凌辱した獣人どもと同じ存在にすぎないと、ルトの身体が物語るのだ。
ルトへの想いをどんなに自覚しても無意味だ。ともに過ごす日々の出来事に、決して消えぬ想いを深め、幾重に積み重ねても、胸の内に残るのは空虚だけ。
ルトを孕み腹として扱い、孕ませ、慰みものにしている。そして、これからも愚かな行為を重ねるだろう。ルトの拒絶を知りながら。
最低だなと自分でも思う。震える小さな身体を全力で守ってやりたいと思う反面、自分だけの消えぬ証を、この身体にも刻みたくなる。一度触れてしまったら、湧き出る感情は二度と抑えられない。
グレンがルトに触れないのは、触れたら歯止めがきかなくなると知っているからだろうか。それともルトを孕み腹として扱う獣人どもと、同等に成り下がりたくないからか。触れようと思えばいつでも触れられるのに。
怯えるルトの吐息を絡めとりながら、角度を変えて何度も口づけを交わす。ゆっくり唇を降ろし、顔を背ける細い首筋を吸った。ルトはぎゅっと目をつむり、怯えを瞼の裏に隠した。
「う、ゃ……っ」
腕の中に閉じこめた身体が細かく震える。ラシャドは一度顔をあげ、ルトの膨らんだ腹に手のひらを添えた。
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