けだものどもの孕み腹

ソウ

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 虎の獣人は簡潔に言い放つと後ろ手を振る。それを機に、後ろで控えた九人の獣人の剛腕が、次々と子どもたちに伸びた。

「な、に……? い…、いやぁだぁ……っ」

 一列目の誰かが悲鳴じみた声を出す。少年特有の、完全に声変わりが終わっていない高めの声だ。少年の声を皮切りに、他の子どもたちがバラバラと足掻き始めた。

 右に左に――行き場のない足を動かすが、いまだ縄で繋がっている。獣人たちは一本の縄を掴み、力任せに引っ張ると、少年たちは芋づる式に獣人へと引き寄せられた。

 ルトの背中に誰かが激しくぶつかる感触がした。幾人もの悲鳴が入り乱れる。ルトの、意識が冷静さを保っていられたのは、おそらくここまでだっただろう。

 それから――、地獄の、はじまりだった。

「ひ、ひぃっ」

 並んだ順番に服を剥ぎ取られた、などど、生易しいものではない。あれほど頑丈だった縄は一本の髪の毛のように引きちぎられ、自国で着せられた上等な服も何もかもが裂かれていく。ぼろぼろに破かれた服の切れ端が、散乱して飛び散る。

 まさか、うそだ。ルトは恐慌とした。あり得ない。獣人が人間に……こんな、年端もゆかぬ子どもに欲情するなどと。

 自分たちはここで獣人たちの慰みものにされるのか。信じられない、信じたくない。冷や汗をかいたルトの思考は、しかし生ぬるい認識でしかなかったと、すぐに思い知らされた。

 ルトたちに求められたこと。それは慰みもの以上に、劣悪なモノだった。





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