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第十六章
第七十話 決戦 ヤイン
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「ラウンラ! ラウンラ!」
ルークスにはロボットが大量に攻め込んできており、巨大結界を破壊せんとしていた。
「ロウコ様! 後は私にお任せください!」
「あ、ありがとう……。」
結界には交代制で回復呪文がかけ続けられている。ロウコの番は今漸く終わったようだ。
「はぁ……ケンギ君たち、大丈夫かしら。あの上で戦っているのよね。」
ロボットが大量に押し寄せる夜空を見ながら、ロウコはケンギたちの身を案じていた。
キンテイがケンギたちの方へ行くと、ヒイデとヤインが激しく争っていた。しかし、ケンギの姿が見当たらない。
「ケンギ君、一体どこに……?」
キンテイは周りを見渡す。すると、壁にもたれかかっているケンギを見つけた。駆け寄ると、相当酷い怪我を負っていた。
「ケンギ君、大丈夫か? 今、薬草を使ってやる。」
「うぅ……ミヤの方は大丈夫なんですか……?」
「あいつはもう俺が殺した。だから大丈夫だ。とにかく今は俺たちだけでも戦えるから、怪我が癒えるまで安静にしているんだぞ。」
「ありがとうございます……。」
「さて、今から俺もあいつと戦うとするか。」
キンテイはヒイデたちの方へ向かった。
「くっ! 俺があいつの分までやらなくちゃいけないんだ……!」
「フハハ! 小僧一人にしては良く頑張っているな! しかし、その程度の力では我には敵わんぞ!」
「くそっ! えいっ! えいっ!」
ヒイデはヤインから距離をとり、手裏剣を投げ続けていた。そこにキンテイは加勢した。キンテイの大剣とヤインの刀がぶつかり合い、激しい金属音を鳴らす。
「お前の方も来たってことは、ミヤは殺されてしまったんだな。」
「あぁ。殺した。彼女の首飾りに紙が入ってた。あの絵に描かれてる少年、君だろ。」
「……そうだ。あれは、僕だ。」
「話し合いで解決する気はないか? 君のこと、色々知りたいんだ。」
「言っただろう、争いをやめるつもりはないと。必ずやお前らを倒し、闇の結晶を手に入れてやる。」
「交渉決裂だな。じゃあこっちも本気でいかせてもらおう。ヒイデ、手裏剣投げを再開しろ!」
「わかった! 今ちょうど手裏剣を補填したところだ!」
手裏剣を投げるヒイデと近接戦闘のキンテイ。黄金のコンビが少しずつだがヤインを追い詰めていく……はずだった。
「トリャア! 【貫通斬】!」
「ぐぅ! ばかな。剣を通り越して俺を斬り裂いたとでも言うのか……。」
「いくら装備で身を守ろうとしても、この貫通斬の前には全て無力だ! ハーハッハ! 後ろの小僧も打ち落としてやる! マッド!」
「へん、あんな呪文、また燃やして跳ね返してやればなんの問題も……ぐっ!?」
しかし、ヒイデがナイフを使って跳ね返そうとするも、ナイフをすり抜けてヒイデの核に当たってしまった。
「あ、あぁぁぁ! くそぉぉぉぉ!」
余りの痛みに、ヒイデはその場に倒れこんでしまった。
「ヒイデ! 大丈夫か!」
ヒイデの元へ駆け寄ろうとするキンテイ。しかし、ヤインに回り込まれてしまった。
「フハハ! 今お前が向くのは、こっちじゃないぞ!」
「く、くそ……あのままじゃヒイデが死んじまう……。」
「それよりさぁ、我らで決着をつけないか? あんな小僧がいたんじゃ、邪魔でしょうがないからな。」
キンテイがヤインの後ろをみると、ケンギがヒイデに薬草を使っていた。その様子を見届け、キンテイは決着を受けることにした。
「いいだろう。かかってくるがいい。」
「ヒイデ、大丈夫か?」
怪我が治ったケンギは、ヤインから隠れながらヒイデの元へたどり着いた。マッドを受けて溶けているヒイデの核に薬草をつける。
「ケンギ、ありがとな……うぅぐ!」
ヒイデの核の傷口に薬草がしみる。ドロドロに溶けきりかけていた核は、薬草の力で少しずつ溶ける速度が落ちていった。
「じゃあヒイデ、俺はもう一度あいつと戦ってくるから、ここで休んでるんだぞ。」
「いやケンギ、待ってくれ。俺の核が回復したら、火をつけてくれないか? あの技なら、あいつを倒せるかもしれない。」
「薬草の数が少ないから一回だけしか打てないぞ。その一撃だけで仕留められるか?」
「あぁ。必ずやってみせるさ。」
「わかった。それじゃあ、ここで待ってるよ。」
ケンギはヒイデが回復するのをそばで待ち続けた。
「ふぅー、ふぅー……中々やるではないか。俺をここまで追い詰めるとは……。」
「フフフ、あと一発で死ぬかな?」
キンテイは貫通斬を何度も食らい、疲れ果てていた。核には未だ到達していないが、いつ核を破壊されてもおかしくない状況であった。
「さぁ! トドメを刺してやろう!」
(くっ、もはやこれまでか……。)
ヤインが貫通斬を放とうとしたそのとき、突如巨大な火球が出現した。
「な、なんだあの火球は!?」
「ヒイデ、いよいよ回復したか……。」
火球の中心には、ヒイデがいた。火属性最強の技を打とうとしている。
「神風か……その程度、軽く受けてやる!」
「この技を食らって助かった奴は今まで一人たりともいない! お前を焼き尽くしてやる!」
ヒイデはヤインへ突撃した。
「うおぉぉぉぉ! くらえぇー!」
「グヌゥ! け、剣が溶けてゆく……。」
火球を受け止める剣が、熱でドロドロに溶ける。あとはヤイン自身の身体で受けるしかない。
「我は火傷ごときでは死なぬぞ! かかってくるがいい!」
ついに火球はヤインの身体にぶち当たった。お互いの雄叫びが、闇王官邸の中に響き渡る。
「「うぉぉぉぉ!!」」
ヒイデとヤインの衝突後、辺りはまばゆい光に包まれた。
ルークスにはロボットが大量に攻め込んできており、巨大結界を破壊せんとしていた。
「ロウコ様! 後は私にお任せください!」
「あ、ありがとう……。」
結界には交代制で回復呪文がかけ続けられている。ロウコの番は今漸く終わったようだ。
「はぁ……ケンギ君たち、大丈夫かしら。あの上で戦っているのよね。」
ロボットが大量に押し寄せる夜空を見ながら、ロウコはケンギたちの身を案じていた。
キンテイがケンギたちの方へ行くと、ヒイデとヤインが激しく争っていた。しかし、ケンギの姿が見当たらない。
「ケンギ君、一体どこに……?」
キンテイは周りを見渡す。すると、壁にもたれかかっているケンギを見つけた。駆け寄ると、相当酷い怪我を負っていた。
「ケンギ君、大丈夫か? 今、薬草を使ってやる。」
「うぅ……ミヤの方は大丈夫なんですか……?」
「あいつはもう俺が殺した。だから大丈夫だ。とにかく今は俺たちだけでも戦えるから、怪我が癒えるまで安静にしているんだぞ。」
「ありがとうございます……。」
「さて、今から俺もあいつと戦うとするか。」
キンテイはヒイデたちの方へ向かった。
「くっ! 俺があいつの分までやらなくちゃいけないんだ……!」
「フハハ! 小僧一人にしては良く頑張っているな! しかし、その程度の力では我には敵わんぞ!」
「くそっ! えいっ! えいっ!」
ヒイデはヤインから距離をとり、手裏剣を投げ続けていた。そこにキンテイは加勢した。キンテイの大剣とヤインの刀がぶつかり合い、激しい金属音を鳴らす。
「お前の方も来たってことは、ミヤは殺されてしまったんだな。」
「あぁ。殺した。彼女の首飾りに紙が入ってた。あの絵に描かれてる少年、君だろ。」
「……そうだ。あれは、僕だ。」
「話し合いで解決する気はないか? 君のこと、色々知りたいんだ。」
「言っただろう、争いをやめるつもりはないと。必ずやお前らを倒し、闇の結晶を手に入れてやる。」
「交渉決裂だな。じゃあこっちも本気でいかせてもらおう。ヒイデ、手裏剣投げを再開しろ!」
「わかった! 今ちょうど手裏剣を補填したところだ!」
手裏剣を投げるヒイデと近接戦闘のキンテイ。黄金のコンビが少しずつだがヤインを追い詰めていく……はずだった。
「トリャア! 【貫通斬】!」
「ぐぅ! ばかな。剣を通り越して俺を斬り裂いたとでも言うのか……。」
「いくら装備で身を守ろうとしても、この貫通斬の前には全て無力だ! ハーハッハ! 後ろの小僧も打ち落としてやる! マッド!」
「へん、あんな呪文、また燃やして跳ね返してやればなんの問題も……ぐっ!?」
しかし、ヒイデがナイフを使って跳ね返そうとするも、ナイフをすり抜けてヒイデの核に当たってしまった。
「あ、あぁぁぁ! くそぉぉぉぉ!」
余りの痛みに、ヒイデはその場に倒れこんでしまった。
「ヒイデ! 大丈夫か!」
ヒイデの元へ駆け寄ろうとするキンテイ。しかし、ヤインに回り込まれてしまった。
「フハハ! 今お前が向くのは、こっちじゃないぞ!」
「く、くそ……あのままじゃヒイデが死んじまう……。」
「それよりさぁ、我らで決着をつけないか? あんな小僧がいたんじゃ、邪魔でしょうがないからな。」
キンテイがヤインの後ろをみると、ケンギがヒイデに薬草を使っていた。その様子を見届け、キンテイは決着を受けることにした。
「いいだろう。かかってくるがいい。」
「ヒイデ、大丈夫か?」
怪我が治ったケンギは、ヤインから隠れながらヒイデの元へたどり着いた。マッドを受けて溶けているヒイデの核に薬草をつける。
「ケンギ、ありがとな……うぅぐ!」
ヒイデの核の傷口に薬草がしみる。ドロドロに溶けきりかけていた核は、薬草の力で少しずつ溶ける速度が落ちていった。
「じゃあヒイデ、俺はもう一度あいつと戦ってくるから、ここで休んでるんだぞ。」
「いやケンギ、待ってくれ。俺の核が回復したら、火をつけてくれないか? あの技なら、あいつを倒せるかもしれない。」
「薬草の数が少ないから一回だけしか打てないぞ。その一撃だけで仕留められるか?」
「あぁ。必ずやってみせるさ。」
「わかった。それじゃあ、ここで待ってるよ。」
ケンギはヒイデが回復するのをそばで待ち続けた。
「ふぅー、ふぅー……中々やるではないか。俺をここまで追い詰めるとは……。」
「フフフ、あと一発で死ぬかな?」
キンテイは貫通斬を何度も食らい、疲れ果てていた。核には未だ到達していないが、いつ核を破壊されてもおかしくない状況であった。
「さぁ! トドメを刺してやろう!」
(くっ、もはやこれまでか……。)
ヤインが貫通斬を放とうとしたそのとき、突如巨大な火球が出現した。
「な、なんだあの火球は!?」
「ヒイデ、いよいよ回復したか……。」
火球の中心には、ヒイデがいた。火属性最強の技を打とうとしている。
「神風か……その程度、軽く受けてやる!」
「この技を食らって助かった奴は今まで一人たりともいない! お前を焼き尽くしてやる!」
ヒイデはヤインへ突撃した。
「うおぉぉぉぉ! くらえぇー!」
「グヌゥ! け、剣が溶けてゆく……。」
火球を受け止める剣が、熱でドロドロに溶ける。あとはヤイン自身の身体で受けるしかない。
「我は火傷ごときでは死なぬぞ! かかってくるがいい!」
ついに火球はヤインの身体にぶち当たった。お互いの雄叫びが、闇王官邸の中に響き渡る。
「「うぉぉぉぉ!!」」
ヒイデとヤインの衝突後、辺りはまばゆい光に包まれた。
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