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第十二章
第四十九話 モクテイ
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モクテイが現れたというコルの国に向かうケンギたち。彼らが向かう側から、そこそこの数の人がこちら側に歩いてくる。先頭を歩いていたのは、エージとショウジであった。
「エージ、ショウジ? お前らなんで引き返してるんだ?」
「金ランクじゃないからって門前払いを食らったよ。ま、それだけ強い相手ってことなんだろうなぁ。」
実際モクテイは強い。ケンギは知っている。これといった対策も未だ思いついていない。
「……必ず生きて帰れよ、ケンギ。」
「ケンギさん、お気をつけて。」
「二人ともありがとう。俺、頑張るよ。」
ケンギが道の端に立つと、銀銅ランク集団は大酒場へと戻っていった。集団が離れると、ケンギとロウコは走った。
アハクの南に位置するコルの国への道は、基本的には安全である。誰もいない道を、ケンギたちは快調に進む。しかし、ケンギの頭は復讐の二文字でほとんどを埋めつくされていた。
(お父さん、お母さん。今度こそ俺はあいつを倒すからね!)
ケンギは固い決意を抱き、走る。ロウコは後ろから追いかける。その勢いはもはや並大抵のことでは衰えない。
ケンギたちは漸くコルに着いた。金ランクの証を見せ、コルの中へ入ると、大柄な女性オーガに声をかけられた。
「おお! 君たちがトールの言ってた子たちだね! あたしはコルの国の女王パルドよ! よろしくね!」
「……。」
「よろしくお願いします。」
ケンギはモクテイへの復讐のことばかり考えて、周りの音が聞こえていないようだ。代わりにロウコが受け答えをする。
「トールじいさんもここへ来てるんですか?」
「今ちょうどモクテイと戦っているわ。そろそろあたしがやる番かな。」
ちょうどそこからは、モクテイと戦うトールが見えた。
「キキキ! 旅人代表が聞いて呆れるな! これだけ時間を費やして、俺に傷さえつけられない雑魚が!」
「ぐっ、すまないパルド。代わってくれ……。」
「全く。ご老体なんだから、少しは自分を大切にしな。」
パルドと呼ばれた女性は、モクテイのいる場所へ向かおうとした。しかし、ケンギがとてつもない速さでパルドを追い越しモクテイの目の前までたどり着いた。
「トールさん、俺が行きます!」
声が遅れてやってきた。パルドは驚いていた。
「なっ、なんて速さなの……。」
ラウンラをトールにかけていたロウコが口を開く。
「それくらい、彼はモクテイに恨みがあるんです。」
「ケンギ……恨みに取り憑かれてはならぬぞ……。」
トールはケンギの状態を心配していた。
「キキ、漸く来たか。待ちわびたぞ! ケンギー!」
「俺の方こそ待ってたぞ! 早くお前を切り刻んで地獄より遥かに恐ろしい痛みを与えてやりたくて、ウズウズしていた!」
二度目の対峙、お互いに武者震いをする。先手を取ったのは、ケンギであった。
「前のようにはならない! 食らえ!」
ケンギの剣が火を吹く。
「キキキ、その剣は効かぬぞ!」
「前までと同じならな! 今回はそう簡単には耐えられまい!」
ケンギはモクテイの目玉を斬りつけた。モクテイは、痛みにもがき苦しむ。
「ギァァァァ! おのれぇぇ!」
「いくらお前と言えど、目までは硬くなかったようだな!」
モクテイは怒り狂い、ケンギの四肢を根で拘束した。
「くっ! こんな拘束、指ライターで……。」
ケンギが指ライターで根を焼こうとしたそのときだった。
「簡単には拘束を剥がさせないぞ! フン!」
根がもう一本伸び、ケンギの胸部を貫く。
「ぐはっ!」
胸部を貫いた根が、何度も何度も突き刺される。
「オラ! オラ! 俺の目に傷をつけたこと、後悔させてやる!」
「ぐはっ! がはっ!」
「痛いだろう、痛いだろう! そのまま殺してやるよ!」
「ああ、ケンギ君……!」
ケンギの胸部に穴があいたところで、ケンギは地面へ降ろされた。痛みにもだえるケンギに、モクテイはジリジリと近づいていく。
「キキキキキ! これでお前も終わりだ、ケンギ!」
モクテイの右手が槍のような形になり、ケンギの核めがけて接近してくる。ケンギは死を覚悟した。
「フゥン!」
そのとき、何者かが槍を受け止めた。
「なっ!? お前は……!」
「フゥ、飛んできたら間に合ったぜ。ケンギ君、よく頑張った! 後は俺に任せろ!」
「あ、ありがとう、キンテイ……。」
助けに来たのはキンテイであった。気絶したケンギがパルドたちの所へ運ばれた。
「キンテイ! お前、俺を裏切るのか!? あのときそのガキからお前を助けてやったのは、この俺だぞ!」
「すまないなモクテイ。それは俺じゃない。俺の悪しき心さ。」
「もはや敵か。残念だ。せめて殺してやるのがいいだろう。」
「悪いな。この勝負で死ぬのはお前だ。」
キンテイは巨大な剣を手に持った。
「エージ、ショウジ? お前らなんで引き返してるんだ?」
「金ランクじゃないからって門前払いを食らったよ。ま、それだけ強い相手ってことなんだろうなぁ。」
実際モクテイは強い。ケンギは知っている。これといった対策も未だ思いついていない。
「……必ず生きて帰れよ、ケンギ。」
「ケンギさん、お気をつけて。」
「二人ともありがとう。俺、頑張るよ。」
ケンギが道の端に立つと、銀銅ランク集団は大酒場へと戻っていった。集団が離れると、ケンギとロウコは走った。
アハクの南に位置するコルの国への道は、基本的には安全である。誰もいない道を、ケンギたちは快調に進む。しかし、ケンギの頭は復讐の二文字でほとんどを埋めつくされていた。
(お父さん、お母さん。今度こそ俺はあいつを倒すからね!)
ケンギは固い決意を抱き、走る。ロウコは後ろから追いかける。その勢いはもはや並大抵のことでは衰えない。
ケンギたちは漸くコルに着いた。金ランクの証を見せ、コルの中へ入ると、大柄な女性オーガに声をかけられた。
「おお! 君たちがトールの言ってた子たちだね! あたしはコルの国の女王パルドよ! よろしくね!」
「……。」
「よろしくお願いします。」
ケンギはモクテイへの復讐のことばかり考えて、周りの音が聞こえていないようだ。代わりにロウコが受け答えをする。
「トールじいさんもここへ来てるんですか?」
「今ちょうどモクテイと戦っているわ。そろそろあたしがやる番かな。」
ちょうどそこからは、モクテイと戦うトールが見えた。
「キキキ! 旅人代表が聞いて呆れるな! これだけ時間を費やして、俺に傷さえつけられない雑魚が!」
「ぐっ、すまないパルド。代わってくれ……。」
「全く。ご老体なんだから、少しは自分を大切にしな。」
パルドと呼ばれた女性は、モクテイのいる場所へ向かおうとした。しかし、ケンギがとてつもない速さでパルドを追い越しモクテイの目の前までたどり着いた。
「トールさん、俺が行きます!」
声が遅れてやってきた。パルドは驚いていた。
「なっ、なんて速さなの……。」
ラウンラをトールにかけていたロウコが口を開く。
「それくらい、彼はモクテイに恨みがあるんです。」
「ケンギ……恨みに取り憑かれてはならぬぞ……。」
トールはケンギの状態を心配していた。
「キキ、漸く来たか。待ちわびたぞ! ケンギー!」
「俺の方こそ待ってたぞ! 早くお前を切り刻んで地獄より遥かに恐ろしい痛みを与えてやりたくて、ウズウズしていた!」
二度目の対峙、お互いに武者震いをする。先手を取ったのは、ケンギであった。
「前のようにはならない! 食らえ!」
ケンギの剣が火を吹く。
「キキキ、その剣は効かぬぞ!」
「前までと同じならな! 今回はそう簡単には耐えられまい!」
ケンギはモクテイの目玉を斬りつけた。モクテイは、痛みにもがき苦しむ。
「ギァァァァ! おのれぇぇ!」
「いくらお前と言えど、目までは硬くなかったようだな!」
モクテイは怒り狂い、ケンギの四肢を根で拘束した。
「くっ! こんな拘束、指ライターで……。」
ケンギが指ライターで根を焼こうとしたそのときだった。
「簡単には拘束を剥がさせないぞ! フン!」
根がもう一本伸び、ケンギの胸部を貫く。
「ぐはっ!」
胸部を貫いた根が、何度も何度も突き刺される。
「オラ! オラ! 俺の目に傷をつけたこと、後悔させてやる!」
「ぐはっ! がはっ!」
「痛いだろう、痛いだろう! そのまま殺してやるよ!」
「ああ、ケンギ君……!」
ケンギの胸部に穴があいたところで、ケンギは地面へ降ろされた。痛みにもだえるケンギに、モクテイはジリジリと近づいていく。
「キキキキキ! これでお前も終わりだ、ケンギ!」
モクテイの右手が槍のような形になり、ケンギの核めがけて接近してくる。ケンギは死を覚悟した。
「フゥン!」
そのとき、何者かが槍を受け止めた。
「なっ!? お前は……!」
「フゥ、飛んできたら間に合ったぜ。ケンギ君、よく頑張った! 後は俺に任せろ!」
「あ、ありがとう、キンテイ……。」
助けに来たのはキンテイであった。気絶したケンギがパルドたちの所へ運ばれた。
「キンテイ! お前、俺を裏切るのか!? あのときそのガキからお前を助けてやったのは、この俺だぞ!」
「すまないなモクテイ。それは俺じゃない。俺の悪しき心さ。」
「もはや敵か。残念だ。せめて殺してやるのがいいだろう。」
「悪いな。この勝負で死ぬのはお前だ。」
キンテイは巨大な剣を手に持った。
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