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第2章 地獄編 第1階層 鬼神島〜運命の糸編 まで
第2話 遅咲 春子 (おそざき はるこ)
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地獄編 2遅咲 春子
「ねぇ。もしかして春樹くん? はるきくんだよね? 私だよ、私だよ、鈴木 千聖。小学生の時、6年間同じクラスだったじゃん。」
「あ、もしかして千聖? え? ここの大学に入学したの?」
「そうだよ。まさか大学で再会するなんてねー
なんか運命みたいじゃない?笑笑」
大学1年春。これが大学での千聖とのファーストコンタクトだった。授業を終えて、そろそろ昼ごはんを食べようと食堂に向かってる時だった。もう10年も前のことか……懐かしいな……
「はぁ」目覚めると俺はまたあの気味悪い井戸の底にいた。
「あっ、起きましたか? 生きててよかったです。」
さっきの女が俺の隣にいた。
「あの、私…遅咲 春子 と言います。えっーと」小さな声で彼女は俺にそう言った。
「よろしく遅咲さん。あのあなたは……何者なんですか? さっきのは……そ、その……人とは思えなくて」
「いえ、すいません。突然でごめんなさい。びっくりしますよね」それから彼女は俺に色々と話してくれた。
彼女は前世、無念の死をとげたことで、白い髪の長い幽霊になったらしい。期限になってもあの世に戻らなかったことと、幽霊として人を襲っていたことが罪で地獄に堕ちたとのことだ。あと、前世、術者として活躍した経験があったことから人に乗り移ったり、術を放てるということで、はっきり言って化け物だ。彼女は敵では無さそうだったが俺はとりあえず彼女を怒らせないよう細心の注意を払って接した。
「あの、春樹さん。あなたのことについても少しばかり話してくれませんでしょうか?」
彼女は少し控えめな口調で言った。俺はなんの躊躇いもなく全てのことを包み隠さず話した。
数時間後……
「そんな、ではあなたは自ら志願してここにきたんですか? 1人の女性のために……泣」
彼女はびっくりするぐらい俺の話に同情してくれた。それからも俺たちは話を続け、会話が盛り上がっている間に太陽がその顔を現し始めた。
「じぁあ俺はそろそろ行くよ。助けてくれてありがとう春子さん」
夜が明けたので俺は出発することにした。
「待ってください。地獄はそう甘い場所でありません。きっとあなただけでは1日ももちませんよ。なので、もしよければ……私も一緒にその扉探しの旅に同行できないでしょうか?」
俺は驚いた。だがはっきり言って彼女がいれば安心だ。俺はすぐにokした。
「なぁ、春子さん。そういえばなぜ、君は自分で術を出さずに俺に乗り移ったんだ?」
「実は私、今も幽霊に近い存在なんです。なので自分の姿や形を保つだけで必死で、、、。どうしても術を使うときは他の人の力が必要なのです」彼女は申し訳なさそうに答えた。
「そうでしたか。ならいつでも俺の体を使ってください!!」
「いや、でもそうすると春樹さんの体にものすごい負担がかかるんですよ。それでもいいんですか?」
「ああ! じゃないとこの先やっていけないからな。是非とも春子さんの力を使わせてもらうよ!!」
「分かりました! では改めてまして遅咲 春子です。よ、よろしくお願いします!!」
「うん。こちらこそ、よろしく!!」
こうして俺と春子さんの旅は幕を開けたのだった。
「ねぇ。もしかして春樹くん? はるきくんだよね? 私だよ、私だよ、鈴木 千聖。小学生の時、6年間同じクラスだったじゃん。」
「あ、もしかして千聖? え? ここの大学に入学したの?」
「そうだよ。まさか大学で再会するなんてねー
なんか運命みたいじゃない?笑笑」
大学1年春。これが大学での千聖とのファーストコンタクトだった。授業を終えて、そろそろ昼ごはんを食べようと食堂に向かってる時だった。もう10年も前のことか……懐かしいな……
「はぁ」目覚めると俺はまたあの気味悪い井戸の底にいた。
「あっ、起きましたか? 生きててよかったです。」
さっきの女が俺の隣にいた。
「あの、私…遅咲 春子 と言います。えっーと」小さな声で彼女は俺にそう言った。
「よろしく遅咲さん。あのあなたは……何者なんですか? さっきのは……そ、その……人とは思えなくて」
「いえ、すいません。突然でごめんなさい。びっくりしますよね」それから彼女は俺に色々と話してくれた。
彼女は前世、無念の死をとげたことで、白い髪の長い幽霊になったらしい。期限になってもあの世に戻らなかったことと、幽霊として人を襲っていたことが罪で地獄に堕ちたとのことだ。あと、前世、術者として活躍した経験があったことから人に乗り移ったり、術を放てるということで、はっきり言って化け物だ。彼女は敵では無さそうだったが俺はとりあえず彼女を怒らせないよう細心の注意を払って接した。
「あの、春樹さん。あなたのことについても少しばかり話してくれませんでしょうか?」
彼女は少し控えめな口調で言った。俺はなんの躊躇いもなく全てのことを包み隠さず話した。
数時間後……
「そんな、ではあなたは自ら志願してここにきたんですか? 1人の女性のために……泣」
彼女はびっくりするぐらい俺の話に同情してくれた。それからも俺たちは話を続け、会話が盛り上がっている間に太陽がその顔を現し始めた。
「じぁあ俺はそろそろ行くよ。助けてくれてありがとう春子さん」
夜が明けたので俺は出発することにした。
「待ってください。地獄はそう甘い場所でありません。きっとあなただけでは1日ももちませんよ。なので、もしよければ……私も一緒にその扉探しの旅に同行できないでしょうか?」
俺は驚いた。だがはっきり言って彼女がいれば安心だ。俺はすぐにokした。
「なぁ、春子さん。そういえばなぜ、君は自分で術を出さずに俺に乗り移ったんだ?」
「実は私、今も幽霊に近い存在なんです。なので自分の姿や形を保つだけで必死で、、、。どうしても術を使うときは他の人の力が必要なのです」彼女は申し訳なさそうに答えた。
「そうでしたか。ならいつでも俺の体を使ってください!!」
「いや、でもそうすると春樹さんの体にものすごい負担がかかるんですよ。それでもいいんですか?」
「ああ! じゃないとこの先やっていけないからな。是非とも春子さんの力を使わせてもらうよ!!」
「分かりました! では改めてまして遅咲 春子です。よ、よろしくお願いします!!」
「うん。こちらこそ、よろしく!!」
こうして俺と春子さんの旅は幕を開けたのだった。
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