ミゲルの物語、前世療法で見た数奇な人生~キリスト教の歴史の闇と光~

レイナ・ペトロニーラ

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第1章 修道院での子供時代

1、幼い頃の記憶

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私はおそらく1歳になる前に多額の寄付金と一緒に修道院に預けられた。私の育った修道院は広大な敷地を持ち、修道士の生活する宿舎や礼拝堂だけでなく女子修道院、孤児院、乳児院、そして病院なども同じ敷地内にあった。葡萄畑と麦畑が広がり、ワインやパンを作り保存するための倉庫があり、糸杉の林を歩いて行くと墓地にたどり着いた。広い敷地の中では馬やロバ、羊やヤギなどの家畜を飼い世話をする使用人もいた。私は5歳になるまで修道院の敷地から外に出ることはなかった。その中が世界のすべてであった。私が幼い頃に主に生活したのは乳児院であったが、修道院長のカルロス先生は何度も私に会いに来たそうだ。もちろん私にはその頃の記憶はない。

「ミゲルは元気にしているか?」
「もちろんです、カルロス修道院長。最近は走ることもできるようになり、言葉を少し話します」
「もう言葉も話せるのか。私の思った通り賢い子だ」
「今連れて来ますね」

幼い私は世話をしてくれる修道女に手を引かれて修道院長の前に連れて来られた。当時王や貴族の子は男児でも女児の衣装を着せられていた。女児の方が生き延びる確率が高かったからである。私もまた孤児院で育つ子とは思えないほど煌びやかな飾りのついた女児の衣装を着せられていた。

「カ・ル・ロ・ツ・テン・テー」
「おお、私の名前を言えるようになったのか、なんて賢い子だ」

カルロス先生は満面の笑みを浮かべて私を抱き上げた。早くから言葉を話せたのも修道女が必死に教えたからであろう。修道院に預けられた子がみな同じように大切に扱われるわけではない。ほとんどの子は食べ物も少なく、幼い頃から畑仕事や家畜の世話を担い、ある程度の年齢になれば農家などに働き手として引き取られて行く。私が王侯貴族の子のように豪華な衣装を着せられて大切に育てられたのは寄付金のおかげであった。わけありの子は後に認知され元の家に引き取られることもある。修道院からすれば大切な収入源であった。

もちろん幼い私はそのような事情を知ることはなく、カルロス修道院長が会いに来てくれるのが楽しみであった。そして5歳になる頃にはカルロス先生のいる修道士の宿舎で生活することが多くなった。そこではもちろん煌びやかな女児の衣装ではなく地味な修道士の僧衣を着せられたが、私は毎日カルロス先生と一緒にいるのがうれしくてしょうがなかった。先生に習ってラテン語もすぐに覚え、ミサの言葉を一緒に唱えた。私には修道院の敷地の中とカルロス先生が世界のすべてであった。
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