婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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ブラッドの初めて…②《キス攻め》

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お姫様抱っこになって顔を隠しているフォスティヌにブラッドは笑みを見せカップル達の側を通っていた。
「いいな~っ、私もお姫様抱っこして~っ!」
「は?やだよ、恥ずかしい…」
「ええ~っ?なんでよ!?してくれても良いじゃない」
「落として文句言わないならしてやる」
「……止めとく、腕力なさそうだもん」
「うっ、彼氏にそれ言うか?」
騒ぐカップル達の前を通りすぎたブラッドとフォスティヌは、沢山の木々が立ち並ぶ場所へと来た。
「この辺りで良いだろう…」
ブラッドはフォスティヌを降ろし、木に背中を向け腰を降ろすとフォスティヌを呼んだ。
「草が絨毯の代わりになって座りやすいぞ」
「あ…はい…」
モジモジと気まずいフォスティヌは、ブラッドの隣に座ろうとした時、草の上に黒のジャケットが置いているのに気がついた。
「…先輩、ジャケットが……」
「ああ、その上に座ると良い。草の上だとドレスが汚れるからな」
「~~~」
(…女性の扱いが知らないと言っている人がこんな気遣いするの?)
頬を染めて、ジャケットの上に座ったフォスティヌは、さっきまで着ていた温もりが素足に伝わりモジモジとして落ち着かなかった。
「手洗いか?」
「!?ち、違います」
「はははは、悪い、悪い」
「っ…」
湖の近くには恋人達が手を繋ぎ歩く姿と、砂の上に座るカップルは寄り添い時々キスをする姿に、老夫婦が手を繋いで歩く姿をフォスティヌはブラッドと一緒に見ていた。
会話がなくても隣にいるだけで安心するんだと思ったフォスティヌは、湖の側を行き交う人達を見ていた。
「……フォスティヌといろんな所へ行きたいと思っていた」
「え!?」
「巡回の任務に就き、いろんな場所へ行くといつもフォスティヌの事を思い出していた…ここへ連れて行くと喜ぶだろうとか、ここの店は可愛いのが沢山あるから喜ぶだろうとか…思いながら歩いていた……もし、フランシスに会ったらこの場所へフォスティヌを連れて行くと良いだろうと話そうとも考えていた…」
「……」
「フランシスと別れたと聞いた時は驚いたが…本心では喜んでいた…酷いと思われても俺は君の手を掴み放さないと誓った…」
「…ブラッド…先輩…」
ブラッドはフォスティヌを見て手を重ねていた。
「…今でも夢を見ているようだ……」
ブラッドはフォスティヌの顔に近付き唇を重ねた。
フランシスとは違うキスに、まるで壊れ物に触れるかのように優しいキスだった。
「フォスティヌ…」
「ぅ…!?」
耳元で囁く低い声で自分の名前を呼ぶブラッドに戸惑い続けていた。
「……あと少し良いか…」
「え…あ…んん……」
唇を放しては重ねるブラッドに、まるでフォスティヌの息継ぎを待っているかのようにキスをするブラッドにフォスティヌは、頭の中が真っ白になり、薄く開いた瞼から見えるブラッドの顔に頬を染めていた。
ブラッドのキスで放心状態になっているフォスティヌにブラッドのキスは止まらなかった。
クチュ…と水の音が口の中から聞こえたフォスティヌはブラッドの舌が口の中に入り、濡れた舌をから回せ閉ざされた唇から唾液が流れるほどブラッドのキスは激しくなっていた。
今まで、我慢していた分フォスティヌに触れて理性が抑えられなくなっていた。
「……フォスティヌ…」
「…あ……はぁ…ごほっ、ごほっ……え…!?」
ヌルッ…と口元が濡れているのに気がついたフォスティヌは、何があったのか覚えていないほど意識が朦朧としていたようだ。
「え?え?……私…」
「……悪い……やり過ぎた…」
ブラッドは苦笑いをしてフォスティヌの口元を指で拭き取っていた。
フォスティヌはブラッドから聞いて顔から火が出るほど真っ赤になっていた。






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