婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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ルーベンス家の婚約披露宴⑤

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シャロンの部屋で求め合う二人の姿があった。
フランシスはシャロンを宥める為に愛し、シャロンは久しぶりな為フランシスに求め続け、披露宴はフランシスとシャロンの不在となっていた。
フランシスとシャロンがいない披露宴は、ブラッドとフォスティヌは楽しんでいた。
「ほらっ、フォスティヌ口を空けて」
「ええっ!?ま、まだ食べています…」
フォスティヌは、お皿に食べ物を乗せ食べているところをブラッドが笑顔でフォスティヌの口元へ向けていた。
「わ、私ばかり食べているのでブラッドさんも食べてください」
フォスティヌは、真っ赤な顔でブラッドに声をかけ「そうか?」と言ったブラッドは、唐揚げに指を向けフォスティヌに声をかけていた。
「唐揚げを取ってくれ」
「はい…」
フォークに刺した唐揚げを取り、ブラッドにあげようとしていたフォスティヌに「パクッ」と目の前で口にしたブラッドに固まっていた。
「うん、旨いな」
「うっ……!?」
真っ赤な顔で下を向くフォスティヌにブラッドは笑みを見せ、フォスティヌは積極的なブラッドに戸惑っていた。
(ううっ…何これ~っ)
「帰ろうと思ったが、せっかく料理があるからな食べた後からでも帰ればいい」
「はい…ブラッドさん、シャロンさんと兄様がまだ来ていませんけど…大丈夫でしょうか…」
フォスティヌは周りを見渡しまだ披露宴に来ていない二人を心配していた。
「気にする事はない、披露宴に来ていないなら今頃二人でいるだろう」
「…そうですね」
フォスティヌは気まずくなった時のフランシスを知っていた…抱きしめて優しく声をかけ、宥めてくれるフランシスをフォスティヌは思い出していた。
披露宴は、フランシスとシャロンがいない事に気付いていない女性達は、ブラッドとフォスティヌが気になっていた。
「見ました?先ほどブラッド様が食べ物を向けていましたのを…」
「ええ、見ましたわ…まさか、ブラッド様も婚約していたなんて思いませんでしたわ…」
「わたくし、今日の披露宴でブラッド様がいらしていたのでお近づきになれると思っていたのに…婚約者を連れていたなんて…食事が喉に通りませんわ」
「わたくしも、先ほどから食欲がなくて…はぁ…あら、このタルト美味しそうですわね。一口いただこうかしら…」
「こちらの、ケーキも美味しくてよ」
貴族の女性達は、食べ物が喉に通らない程ショックを受けたと話しているのを聞いた近くにいた貴族の男性達は、手に取って食べる女性達を見て茫然としていた。
その頃、フランシスとシャロンはまだ部屋にいた。
「フラン…良かったわ…」
「満足してくれたかな?」
「ええ…とても…」
フランシスはシャロンの肩に腕を回し額にキスをした。
「今夜、泊まって欲しいわ」
「…ごめん、まだ忙しいんだ」
「はぁ…残念だわ…でも、これからはいつでもわたくしの屋敷で泊まる事ができるわ」
シャロンは、フランシスに笑顔を向け一緒に過ごす事ができると喜んでいた。
「…シャロン、お願いがあるんだ」
「なぁに?」
「フォスティヌと話したいんだ…これから会う事もないから…ブラッドを連れ出して欲しいんだ…駄目かな…」
フランシスはシャロンにお願いをしていた。
「そうよね…会う事もあまりないと思うから…良いわよ。ブラッド君と一緒にいるわ」
「ありがとうシャロン、愛しているよ」
「ふふっ、大袈裟ね…」
フランシスは、シャロンに熱い口付けを交わし、二人は披露宴へと向かった。









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