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ルーベンス家の婚約披露宴④
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フォスティヌは、フランシスとシャロンに祝いの言葉を言えた事に胸を撫で下ろし、隣にいるブラッドに笑顔を見せていた。
フォスティヌからの祝いの言葉を素直に受け取る事ができずにいたフランシスは、自分の目の前でブラッドに笑顔を向けるフォスティヌに、不愉快な気分になっていた。
「挨拶も終わった事だし俺達は帰ろう……」
「フォスティヌと二人で話がしたいんだ…」
「え?」
ブラッドが帰ると声を出した時、フランシスがフォスティヌと話がしたいと割り込んできた。
「俺が二人にすると思うのか」
ブラッドはフランシスを睨むように声を上げた。
「…婚約者でもない君に指図は……ぇ…!?」
フランシスはブラッドと話の途中、フォスティヌの左指を見て驚く顔を見せていた。
「……な、何故…指輪を…?」
「……あ…」
フランシスが真っ青な顔をして指輪を見ていた。
「あら…本当に婚約したの?ブラッド君」
「ああ、近い内に披露宴をする事になっている」
「まあ、おめでとう!まさか、ブラッド君が婚約するなんて思わなかったわ」
シャロンは、フォスティヌの指輪を見て「ふ~ん」と笑みを見せクスッと声に出していた。
「宝石が小さいわね…本当に婚約指輪なの?ふふふ」
「フォスティヌが決めた指輪だ。文句を言われる理由がないが」
ブラッドは不機嫌な顔でシャロンを見ていた。その様子を見ていたフォスティヌはブラッドの顔を見上げていた。
(女性でも関係なく怒るんだ……)
「そんな恐い顔しないでよ!指輪ぐらい、ねぇ~っ、フラン」
「……」
「フラン?」
「え?…ああ、シャロン…」
「気分でも悪いの?」
「いや、大丈夫だよ……」
「フラン、わたくし達の婚約指輪は何処かしら?」
「え?!」
フランシスはまさか婚約指輪を聞いてくるとは思わなかった。
「……あ、まだ…用意はしていないんだ……」
「え……婚約指輪が、まだ用意していないの?」
「…ごめん、最近忙しいのもあって……」
フランシスは気まずそうにシャロンに謝っていた。
「今日は、わたくし達の大事な婚約披露宴なのよ!それなのに婚約指輪が無いなんて…ブラッド君はフォスティヌさんに贈っているのに……」
「ブラッドは関係ないだろう?婚約披露宴も僕に内緒で…」
「……ぅ…」
シャロンは涙を溜めフランシス達から離れ走って行った。
「……」
「追いかけた方がいいだろう?お前の婚約者だ…指輪は後からでも一緒に買いに行けばいい…」
「っ……」
フランシスは、シャロンの後を追いかけ近くで聞いていた女性達がヒソヒソと話していた。
「まぁ…婚約指輪をまだお買いになっていないなんて…」
「急遽開きました披露宴ですもの、フランシス様も戸惑いますわ」
フランシスは、庭園の周りを探したがシャロンを見つける事ができず屋敷の中へと入った。
「…はぁ…どうしてこんな事に…フォスティヌと話もできない…」
フランシスはブッブッと小言を言いシャロンの部屋の前に止まった。
コンコン!
「…シャロン、僕だ……中にいるのかい?」
フランシスは扉を開け窓際に立つシャロンがいた。
「……シャロン…」
「……」
シャロンの後ろに立ったフランシスは、ギュッとシャロンの体を抱きしめ首筋にキスをすると、ピクッとシャロンの体が動き、フランシスは声をかけた。
「……シャロン、ごめん…婚約指輪を買いに行こうとしたんだ…でも、君と一緒に行きたいと思って…本当にごめん…」
「……わたくしもごめんなさい…フォスティヌさんの指輪を見ましたら、フランが用意していると思っていたの……」
「……」
フランシスは後ろから抱きしめていた腕を放し、シャロンを前に向かせると唇を重ね、しばらくの間フランシスとシャロンの不在の披露宴となった。
フォスティヌからの祝いの言葉を素直に受け取る事ができずにいたフランシスは、自分の目の前でブラッドに笑顔を向けるフォスティヌに、不愉快な気分になっていた。
「挨拶も終わった事だし俺達は帰ろう……」
「フォスティヌと二人で話がしたいんだ…」
「え?」
ブラッドが帰ると声を出した時、フランシスがフォスティヌと話がしたいと割り込んできた。
「俺が二人にすると思うのか」
ブラッドはフランシスを睨むように声を上げた。
「…婚約者でもない君に指図は……ぇ…!?」
フランシスはブラッドと話の途中、フォスティヌの左指を見て驚く顔を見せていた。
「……な、何故…指輪を…?」
「……あ…」
フランシスが真っ青な顔をして指輪を見ていた。
「あら…本当に婚約したの?ブラッド君」
「ああ、近い内に披露宴をする事になっている」
「まあ、おめでとう!まさか、ブラッド君が婚約するなんて思わなかったわ」
シャロンは、フォスティヌの指輪を見て「ふ~ん」と笑みを見せクスッと声に出していた。
「宝石が小さいわね…本当に婚約指輪なの?ふふふ」
「フォスティヌが決めた指輪だ。文句を言われる理由がないが」
ブラッドは不機嫌な顔でシャロンを見ていた。その様子を見ていたフォスティヌはブラッドの顔を見上げていた。
(女性でも関係なく怒るんだ……)
「そんな恐い顔しないでよ!指輪ぐらい、ねぇ~っ、フラン」
「……」
「フラン?」
「え?…ああ、シャロン…」
「気分でも悪いの?」
「いや、大丈夫だよ……」
「フラン、わたくし達の婚約指輪は何処かしら?」
「え?!」
フランシスはまさか婚約指輪を聞いてくるとは思わなかった。
「……あ、まだ…用意はしていないんだ……」
「え……婚約指輪が、まだ用意していないの?」
「…ごめん、最近忙しいのもあって……」
フランシスは気まずそうにシャロンに謝っていた。
「今日は、わたくし達の大事な婚約披露宴なのよ!それなのに婚約指輪が無いなんて…ブラッド君はフォスティヌさんに贈っているのに……」
「ブラッドは関係ないだろう?婚約披露宴も僕に内緒で…」
「……ぅ…」
シャロンは涙を溜めフランシス達から離れ走って行った。
「……」
「追いかけた方がいいだろう?お前の婚約者だ…指輪は後からでも一緒に買いに行けばいい…」
「っ……」
フランシスは、シャロンの後を追いかけ近くで聞いていた女性達がヒソヒソと話していた。
「まぁ…婚約指輪をまだお買いになっていないなんて…」
「急遽開きました披露宴ですもの、フランシス様も戸惑いますわ」
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「…はぁ…どうしてこんな事に…フォスティヌと話もできない…」
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コンコン!
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「……シャロン…」
「……」
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「……シャロン、ごめん…婚約指輪を買いに行こうとしたんだ…でも、君と一緒に行きたいと思って…本当にごめん…」
「……わたくしもごめんなさい…フォスティヌさんの指輪を見ましたら、フランが用意していると思っていたの……」
「……」
フランシスは後ろから抱きしめていた腕を放し、シャロンを前に向かせると唇を重ね、しばらくの間フランシスとシャロンの不在の披露宴となった。
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