婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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婚約解消の日②

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フランシスの屋敷に来たシャロンは早く婚約解消の書類が見たくて笑顔が止まらなかった。
「おはよう、フランシスはどこかしら?」
「え!お、おはようございます…坊っちゃまは…」
突然屋敷へ来たシャロンにメイドは驚きフランシスを探していた
「……シャロン……」
「!ああっ、フラン!!会いたかったわ」
玄関の側まで来ていたフランシスにシャロンは駆け寄り、フランシスを抱きしめ唇を重ねていた。
掃除をしていた数名のメイド達が、驚きとヒソヒソ話をするメイドに気づいたフランシスは、重ねていた唇を放しシャロンに声をかけた。
「…シャロン、みんなが見ているよ…」
「ふふっ、ごめんなさい。わたくしの屋敷では、みんなの視線を気にしないでキスをしていたのに…ふふふ…あらっ?フラン、香水を代えたの?」
「え…」
シャロンは、抱きしめていたフランシスの体から放れ顔を近付けフランシスの体の匂いを嗅いでいた。
「…ああっ、多分…騎士寮の石鹸が代わったんだと思うんだ…気になる?」
フランシスはシャロンに笑顔を見せて誤魔化していた。
宿の石鹸でフランシスは体を洗っていた匂いだとわかった。
「気にはしていないわ。でも、わたくしはフランと同じ石鹸が良いわ…わたくしの屋敷でいつも使っている石鹸の匂い」
フランシスの体に顔を埋めるシャロンをフランシスは抱きしめ、シャロンは三日ぶりのフランシスの体に頬を染めていた。
「……今日はどうしたんだ?」
「ふふっ、わかっているでしょう?婚約解消の書類を一緒に見たいと思って来たの!」
ピクッとフランシスの体が動き笑顔が消えた…。
「書類は届いたの?」
「……いや、まだなんだ…」
顔を見上げたシャロンにフランシスも笑みを見せていた。
フランシスとシャロンの元にメイドが気まず顔でフランシスに声をかけた。
「……あの…坊っちゃま、旦那様がお話はご自分のお部屋でお願いしますと申されていますけど……」
「……ああ、わかった…」
「早く行きましょうフラン」
シャロンはフランシスの腕を組み一緒に階段を歩く二人を父親は見ていた。
「……言付てありがとう、持ち場へ戻るように…」
「…はい、旦那様」
メイドは父親に頭を下げパタパタと廊下を走り持ち場へと向かった。
「……お父さん、彼女が屋敷へ来ました理由は…」
「…フランシスに会いに来たのもあるが…婚約解消の書類を見に来たようだ…」
「……書類をフランシスと見るなんて…ああ…フォスティヌに…あの子に会いたいわ…」
母親は目に涙を溜め父親は傍に寄り声をかけていた。
「……落ち着いた日に会いに行こう…」
父親は母親を宥め部屋へと入って行った。





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