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婚約解消の日
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フォスティヌは肩が隠れるまで伸ばしていた髪を切り、肩にかからないくらいの髪を切って両親に見せていた。
「お父様、似合いますか?」
「…あ、ああ…カールを巻いているのか?」
「ううん私、もともとくせ毛だったから…何もしなくてもカールを巻いたようになるのを忘れていたわ」
「そうだったわね…赤ちゃんの頃からくせ毛だったからみんなから『天使』と呼ばれていたわね…」
「えっ、そうなの?」
「そうだな…まだ赤ん坊の頃は髪の色が金色に見えたものだが、成長と同じように髪の色が茶色になっていったな…」
「今は、こんなに可愛い娘に育ってくれて…悲しい事も辛い事も沢山あっても、あなたを心から愛してくれる彼と幸せになる日が近づいているわ…フォスティヌ今度は、あなたが幸せになる番なのよ」
「…お母様……」
テーブルの向かい側に座る母親を見てフォスティヌは目に涙を溜め笑顔を見せていた。
「……お父様、私と兄様の婚約解消の通知は届いているの?」
「!!」
フォスティヌの方から聞いてくるとは思っていなかった父親は少し驚いていた。
「……まだ、役所からの知らせはない…お前が学園にいる頃には届いているだろう」
「…帰った時…見てもいい?」
「……ああ…」
フォスティヌは朝食を終えると学園へ向かった。
フランシスの屋敷の前に一台の馬車が止まりフランシスが馬車から降り、宿の馬番にお金を渡していた。
「今日は助かった…また、頼む事があると思う…これは、お礼の分だ…」
フランシスは送り代金の他に金貨を渡していた。
「ありがとうございます。お泊まりで困った時は言ってください」
「ああ…」
馬車を見送ったフランシスは屋敷の中に入ると廊下の窓から外を見る父親に気付き、自分が帰って来たのも分からないのか…じっと外を見てはため息を吐く父親の姿を見ていた。
「ん!……フランシス?お前、学校はどうした?」
騎士寮に戻ったと思っていた父親はフランシスがいる事に驚いていた。
「……休みを貰ったんだ…昨日、稽古があまりよくなくて…」
「……」
父親はフランシスを見たあと何も言わず外を見ていた。
フランシスとシャロンとの関係を知って以来、両親との会話が減っていた。
「…父さん、寮から通うのをやめて…屋敷から通いたいと思うんだ…」
「……お前の好きにしたらいい…だが、急にどうした?…寮が学校に近いと言っていただろう」
「…シャロンが…屋敷から通って欲しいと言って…」
フランシスは気まずそうに父親に話をしていた。
「……理由はなんだ?」
「え…理由?」
「お前に寮からではなく、屋敷から通う理由があるだろう」
「……寮は外出の時間が決まっているから…それで…」
「そんなくだらない理由で寮を離れるのか?!」
「……っ」
フランシスは父親から目を逸らし、首を横に振る父親はため息を吐いていた。
「……変わったな…」
「父さん?……」
「お前の好きにするといい……」
「……」
父親はフランシスの傍を放れようと足を向けた時フランシスが声をかけた。
「あ…と、父さん……配達人はまだ…」
「……配達人が来るのが待ち遠しいだろうが、まだ来ていない…書類が届いたらすぐお前に渡そう」
「僕は…待ってはいな……」
ガラガラと馬車の音が聞こえ、フランシスと父親は窓を見るとシャロンが馬車から降りる姿が見えた。
「……シャロン…」
「あの娘もじっと待っ事ができないようだ…」
「……」
父親はフランシスに話終えると側を離れて行った。
「お父様、似合いますか?」
「…あ、ああ…カールを巻いているのか?」
「ううん私、もともとくせ毛だったから…何もしなくてもカールを巻いたようになるのを忘れていたわ」
「そうだったわね…赤ちゃんの頃からくせ毛だったからみんなから『天使』と呼ばれていたわね…」
「えっ、そうなの?」
「そうだな…まだ赤ん坊の頃は髪の色が金色に見えたものだが、成長と同じように髪の色が茶色になっていったな…」
「今は、こんなに可愛い娘に育ってくれて…悲しい事も辛い事も沢山あっても、あなたを心から愛してくれる彼と幸せになる日が近づいているわ…フォスティヌ今度は、あなたが幸せになる番なのよ」
「…お母様……」
テーブルの向かい側に座る母親を見てフォスティヌは目に涙を溜め笑顔を見せていた。
「……お父様、私と兄様の婚約解消の通知は届いているの?」
「!!」
フォスティヌの方から聞いてくるとは思っていなかった父親は少し驚いていた。
「……まだ、役所からの知らせはない…お前が学園にいる頃には届いているだろう」
「…帰った時…見てもいい?」
「……ああ…」
フォスティヌは朝食を終えると学園へ向かった。
フランシスの屋敷の前に一台の馬車が止まりフランシスが馬車から降り、宿の馬番にお金を渡していた。
「今日は助かった…また、頼む事があると思う…これは、お礼の分だ…」
フランシスは送り代金の他に金貨を渡していた。
「ありがとうございます。お泊まりで困った時は言ってください」
「ああ…」
馬車を見送ったフランシスは屋敷の中に入ると廊下の窓から外を見る父親に気付き、自分が帰って来たのも分からないのか…じっと外を見てはため息を吐く父親の姿を見ていた。
「ん!……フランシス?お前、学校はどうした?」
騎士寮に戻ったと思っていた父親はフランシスがいる事に驚いていた。
「……休みを貰ったんだ…昨日、稽古があまりよくなくて…」
「……」
父親はフランシスを見たあと何も言わず外を見ていた。
フランシスとシャロンとの関係を知って以来、両親との会話が減っていた。
「…父さん、寮から通うのをやめて…屋敷から通いたいと思うんだ…」
「……お前の好きにしたらいい…だが、急にどうした?…寮が学校に近いと言っていただろう」
「…シャロンが…屋敷から通って欲しいと言って…」
フランシスは気まずそうに父親に話をしていた。
「……理由はなんだ?」
「え…理由?」
「お前に寮からではなく、屋敷から通う理由があるだろう」
「……寮は外出の時間が決まっているから…それで…」
「そんなくだらない理由で寮を離れるのか?!」
「……っ」
フランシスは父親から目を逸らし、首を横に振る父親はため息を吐いていた。
「……変わったな…」
「父さん?……」
「お前の好きにするといい……」
「……」
父親はフランシスの傍を放れようと足を向けた時フランシスが声をかけた。
「あ…と、父さん……配達人はまだ…」
「……配達人が来るのが待ち遠しいだろうが、まだ来ていない…書類が届いたらすぐお前に渡そう」
「僕は…待ってはいな……」
ガラガラと馬車の音が聞こえ、フランシスと父親は窓を見るとシャロンが馬車から降りる姿が見えた。
「……シャロン…」
「あの娘もじっと待っ事ができないようだ…」
「……」
父親はフランシスに話終えると側を離れて行った。
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