婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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フランシスの嘘③

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「俺の婚約者を放してくれないか?」
「!?」
フランシスとフォスティヌが座るベンチの側にはブラッドが険しい顔で立っていた。
「……ブ、ブラッド?!何故…」
「何をそんなに驚いている?今日お前と会うのは俺だっただろう?」
「っ…」
ブラッドはフランシスを見たあとフォスティヌの方を見て手を差し伸べた。
「フォスティヌ…」
「…ブラッド…先輩…」
フォスティヌはフランシスの手をギュッと握りしめ、座っていたベンチからはなれブラッドの傍に寄っていた。
フランシスは、フォスティヌが自分の元を放れてブラッドの傍にいる姿を見て茫然としていた。
「大丈夫か?」
「はい……」
ブラッドがフォスティヌに手を差し伸べている姿を見ていたフランシスは体が震えていた。
「……いつから…そんなに親しくしてるんだ……フォスティヌの事を話したのも数日前だったのに……」
フランシスは睨むようにブラッドを見て声に出し、フォスティヌは初めて見るフランシスの顔に驚いていた。
「いつからと言われても…お前が隣街で彼女を一人にした時声をかけたんだ」
「隣街…」
「学園にいる頃からお前達の事は知っていた。だから、彼女の顔も覚えていた…一年ぶりに彼女を見たのは、俺が巡回の任務で街の見回りをしていた時に彼女に会って、一人でベンチに座っいる所を俺が声をかけたんだ」
「……」
「……まさか、ルーベンスとお前が付き合っていたとは…俺はフォスティヌから直接お前と婚約破棄になったと聞かされた」
「え?フォスティヌがブラッドに……?」
「お前の婚約破棄を聞かされた日に彼女はメイドと一緒に隣街に来ていたんだ」
「!?」
フランシスはフォスティヌの方を見てフォスティヌは黙ったまま下を向いていたが、顔を上げてフランシスの方を向いた。
「……兄様から婚約破棄を言われて帰る途中、兄様と初めて行った隣街へ行きたかったの…つらい思い出の場所なのに何故か行きたいって思って…そしたら、またブラッド先輩から声をかけられたの…『フランシスはどうしたんだ?』『また、一人なのか?』って言われて…そしたら先輩の顔を見たら気が抜けておもいっきり泣いてしまったの……もう、兄様は私の事を想っていないんだって……」
「!僕は今でもフォスティヌを想っているんだ…大切だから…君を苦しめて傷つけてしまって後悔している…だから、僕とまた…」
「俺が言ったのを覚えていないのか?」
ブラッドはため息を吐いてフランシスに尋ねていた。
「何を…」
「フォスティヌは俺の婚約者だとお前に言ったはずだ」
「!?」
フランシスは、ブラッドからフォスティヌが婚約者だと聞かされたフランシスは真っ青な顔になり肩を落としていた。








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