婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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フォスティヌのお客様④

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ブラッドは客室へ通され両親は自分達も一緒にいていいのかソワソワしていた。
「迷惑でなければ…私達も一緒にいてもいいかな?」
フォスティヌの父親は自分より少し高いブラッドを見上げ声をかけていた。
「はい、大丈夫です」
「そうか!もし、邪魔だったら言ってくれ」
「夕食は?まだでしたら、用意しますよ?」
「ありがとうございます…食べてきました」
「ブラッド君は、ワインは呑むかな?」
「いえ、自分はまだ未成年ですので」
「真面目だな…私は未成年の時は、親に隠れて呑んでいたものだが」
「お父さんと一緒にしないでください」
「何?!ケヴィンも一緒に呑んだぞ」
「はい、はい、ブラッド君、紅茶は好きかしら?お菓子はどうかしら?」
「紅茶は好きです特にミルクを入れて飲むのが好きです。」
「意外だな…」
「よく言われます」
「フォスティヌも紅茶にミルクを入れて飲んでいるのよ」
「そうなのか?」
ブラッドは何も話さないフォスティヌを見下ろし、「ミルクは美味しいよな」と声に出し笑顔を見せていた。
「……変です…」
「変?」
「ん?」
「どうしたの?」
「今日のお父様とお母様は変です。何故、みんな立ち話をしているの??」
「あ…」
「ははは、確かに…」
「まぁ…ふふふ」
客室は笑い声が響きみんなソファーに座った。
「いやぁ、すまなかったブラッド君。立ち話で申し訳ない」
「いえ」
「会話が弾んでしまったわ」
両親は申し訳ないと言ってブラッドに謝っていた。
部屋の中にメイド達が、紅茶と籠に入ったお菓子をテーブルの上に置き部屋を出た。
「ちょっと、ちょっと!」
客室の部屋を出たメイド三人が小声で話し始めていた。
「誰?お嬢様の隣に座っている人は?」
「もしかして…お嬢様の新しい彼氏?!」
「まさか~っ、お嬢様にはフランシス様がいるでしょ?」
「そうよ…今日なんて、フランシス様の呼び出しで喜んで屋敷へ向かわれたでしょ」
「…じゃあ、誰?」
「さあ…」
「誰かしら?」
メイド三人はフォスティヌとフランシスが婚約破棄をした事を知らずにいた。
会話が落ち着き、フォスティヌはブラッドに話の続きを聞きたいと隣に座るブラッドに話しかけた。
「……あの…先輩、兄様の彼女の話を聞きたいのですが…」
「!?何、フランシスの彼女だと?」
父親の顔が笑顔から険しい顔へと変わりフォスティヌの方へ顔を向けた。
「何を言い出すの?ブラッド君に…フランシスの彼女の話をするなんて……」
「フランシスの名を聞くだけでも嫌だが…あいつの息子でもある…」
目を閉じてため息を父親は吐いていた。
「……何故、その話をブラッド君にするんだ?」
父親はフォスティヌの顔を見て問いかけ、フォスティヌは膝の上に置いていた両手を握りしめ声に出した。
「……兄様が…私と婚約破棄をした後に…彼女の替わりに嫁いで欲しいと兄様から言われたの……」
「…は?何を言っているのか…分かるように話しなさい」
「はぁ…」フランシスの名前を出しただけで自分の目の前でシャロンと一緒に婚約破棄を告げたフランシスにフォスティヌは胸が苦しくなり、隣で見ていたブラッドはフォスティヌに声をかけた。
「……大丈夫か?」
「え…」
「俺が変わりに話してもいいか?」
「!?でも…」
「一応俺にも関係あるからな」
「…ブラッド君…何か知っているのか?」
「はい…実は……」
ブラッドは、フォスティヌの両親にシャロンの両親の話に自分も関わってしまった事、フランシスとシャロン、そしてフォスティヌの婚約破棄など、フランシスから聞いた話を両親に話し、ブラッドの話を聞いたフォスティヌの両親は呆れた顔をしてフランシスの名前を何度も出していた。









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