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モヤモヤとするのは…
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フォスティヌを見送ったフランシスは馬車が見えなくなるまで見ていた。
「これで、ブラッド君が彼女を食事会の日に連れて来ましたら、わたくし達は婚約者としてお父様に認めて貰えるわ。愛しているわ!フラン」
「……」
玄関の外でフランシスにキスをするシャロンに屋敷のメイド達に使用人達は驚き二人の姿を見ていた。
「何をしている!仕事に戻れ!」
「は、はい」
メイドに使用人達はフランシスの父親から言われ慌てたように各自持ち場へと向かった。
フランシスの父親はフランシスとシャロンの前に来るとシャロンに声をかけた。
「……屋敷の者がいる前では止めてくれないか?まだ、君はフランシスの婚約者ではない」
「……」
フランシスの父親から注意されたシャロンは頭を下げ謝る姿を見せていた。
「失礼しました。お義父様、これから気をつけますわ。婚約破棄の書類が三日後と伺っていますので、手続きが終わりましたらわたくしの屋敷で婚約発表をいたします。フランシス様を通じましてお知らせいたします。父が待っていますのでわたくしは失礼いたします。」
「……」
父親はシャロンに何も言わず黙って聞いていた。
「フラン、三日後屋敷で待っているわ」
「……」
フランシスに軽く口付けをしたシャロンはメイドと一緒に屋敷へと帰って行った。
フランシスはシャロンが帰っても黙ったまま外をじっと見ていた
「はあ……」
父親がため息を吐くと母親が傍へと歩いて来た。
「……お父さん、彼女は……」
「…今、帰ったところだ…フランシスの婚約破棄が知れ渡るのも時間の問題だ…屋敷のメイドや使用人が知ってしまった…」
「…そんな……」
「遅かれ早かれ…書類の手続きを終わらせないと……」
両親が話している時、フランシスは一人のメイドに気付き走り出しメイドを引き止めていた。
「フォ…フォスティヌが持って来たクッキーは何処にあるんだ?」
「えっ!?ぼ、坊っちゃま?しょ…処分しましたが……」
「な!?処分だと?」
「…はい…坊っちゃまとお連れのお嬢様に確認をいたしまして生ゴミとして捨てましたが…」
「……っ」
フランシスはフォスティヌが持ってきたクッキーが捨てたと聞き肩を落とす姿を見たメイドが、何かを思い出してフランシスに話をした。
「……あの、お嬢様が持って来ました編み籠とクッキーが入っていました袋と紐は厨房にあると思いますが……」
「!!」
フランシスはメイドの話を聞き厨房へと向かった。
その頃、厨房では料理人とメイド達がフランシスとシャロンの話をしていた。
「しかし、酷いもんだな…まさか、坊っちゃんが嬢ちゃんを捨てるとは……」
「でも、連れていた女は美人だったな~っ、さすがフランシス坊っちゃま顔が良いと女も良いよな~」
「褒めてどうすんのよ!これだから男は美人に弱いんだから」
「さっきは驚いたわ。私達がいるのを知って坊っちゃまにキスするなんて…あ~ヤダヤダ!」
「……」
フランシスは、厨房の側に立ち止まり使用人達の話し声を黙って聞くと厨房の中へ入り皆驚いてフランシスを見ていた。
「……フォスティヌの編み籠はあるのか?」
「えっ!?お嬢様の……ああ!有ります、有ります」
メイドの一人が棚から編み籠を取り出しフランシスに渡していた。
「……あの…坊っちゃま、クッキーの方は……」
「…ああ、僕が捨てるように言ったから…籠は持って行くよ」
「……」
厨房を出たフランシスはフォスティヌが持って来た籠を持ち部屋へと入っていった。
テーブルの上に籠を置いたフランシスはソファーに座り編み籠をじっと眺めていた。
籠の中からクッキーが入っていた袋を手に取り甘い香りだけが残っていた。
「……ピンクが好きだな…」
ピンクの紐を籠から取り出したフランシスはクスッと笑みを見せていた。フランシスは久しぶりに見たフォスティヌを怒らせ泣きたいのを我慢する姿を初めて見たのだった。
「これで、ブラッド君が彼女を食事会の日に連れて来ましたら、わたくし達は婚約者としてお父様に認めて貰えるわ。愛しているわ!フラン」
「……」
玄関の外でフランシスにキスをするシャロンに屋敷のメイド達に使用人達は驚き二人の姿を見ていた。
「何をしている!仕事に戻れ!」
「は、はい」
メイドに使用人達はフランシスの父親から言われ慌てたように各自持ち場へと向かった。
フランシスの父親はフランシスとシャロンの前に来るとシャロンに声をかけた。
「……屋敷の者がいる前では止めてくれないか?まだ、君はフランシスの婚約者ではない」
「……」
フランシスの父親から注意されたシャロンは頭を下げ謝る姿を見せていた。
「失礼しました。お義父様、これから気をつけますわ。婚約破棄の書類が三日後と伺っていますので、手続きが終わりましたらわたくしの屋敷で婚約発表をいたします。フランシス様を通じましてお知らせいたします。父が待っていますのでわたくしは失礼いたします。」
「……」
父親はシャロンに何も言わず黙って聞いていた。
「フラン、三日後屋敷で待っているわ」
「……」
フランシスに軽く口付けをしたシャロンはメイドと一緒に屋敷へと帰って行った。
フランシスはシャロンが帰っても黙ったまま外をじっと見ていた
「はあ……」
父親がため息を吐くと母親が傍へと歩いて来た。
「……お父さん、彼女は……」
「…今、帰ったところだ…フランシスの婚約破棄が知れ渡るのも時間の問題だ…屋敷のメイドや使用人が知ってしまった…」
「…そんな……」
「遅かれ早かれ…書類の手続きを終わらせないと……」
両親が話している時、フランシスは一人のメイドに気付き走り出しメイドを引き止めていた。
「フォ…フォスティヌが持って来たクッキーは何処にあるんだ?」
「えっ!?ぼ、坊っちゃま?しょ…処分しましたが……」
「な!?処分だと?」
「…はい…坊っちゃまとお連れのお嬢様に確認をいたしまして生ゴミとして捨てましたが…」
「……っ」
フランシスはフォスティヌが持ってきたクッキーが捨てたと聞き肩を落とす姿を見たメイドが、何かを思い出してフランシスに話をした。
「……あの、お嬢様が持って来ました編み籠とクッキーが入っていました袋と紐は厨房にあると思いますが……」
「!!」
フランシスはメイドの話を聞き厨房へと向かった。
その頃、厨房では料理人とメイド達がフランシスとシャロンの話をしていた。
「しかし、酷いもんだな…まさか、坊っちゃんが嬢ちゃんを捨てるとは……」
「でも、連れていた女は美人だったな~っ、さすがフランシス坊っちゃま顔が良いと女も良いよな~」
「褒めてどうすんのよ!これだから男は美人に弱いんだから」
「さっきは驚いたわ。私達がいるのを知って坊っちゃまにキスするなんて…あ~ヤダヤダ!」
「……」
フランシスは、厨房の側に立ち止まり使用人達の話し声を黙って聞くと厨房の中へ入り皆驚いてフランシスを見ていた。
「……フォスティヌの編み籠はあるのか?」
「えっ!?お嬢様の……ああ!有ります、有ります」
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「……あの…坊っちゃま、クッキーの方は……」
「…ああ、僕が捨てるように言ったから…籠は持って行くよ」
「……」
厨房を出たフランシスはフォスティヌが持って来た籠を持ち部屋へと入っていった。
テーブルの上に籠を置いたフランシスはソファーに座り編み籠をじっと眺めていた。
籠の中からクッキーが入っていた袋を手に取り甘い香りだけが残っていた。
「……ピンクが好きだな…」
ピンクの紐を籠から取り出したフランシスはクスッと笑みを見せていた。フランシスは久しぶりに見たフォスティヌを怒らせ泣きたいのを我慢する姿を初めて見たのだった。
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