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その笑顔を見ると…②
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「学校は楽しいかい?フォスティヌ」
「楽しいんだけれど、勉強がちょっと難しいかなって…へへへ」
ペロッと舌を出すフォスティヌにフランシスの両親は「ハハハ、そうかい」と笑いながら声を出し、フォスティヌの両親達は苦笑いを見せ周りは笑顔が耐えなかった。
「でも、おじ様とおば様も一緒だったから少し驚いたわ」
「え…ああ、この前の用事があって来たんだよ」
「おじ様、珍しくお父様に会わないで帰った日ね?」
「ああ、そうなんだ…それと、フォスティヌに謝りに来たんだ」
「私に?」
首を傾げるフォスティヌにフランシスの父親は重い口を開いた。
「実は…フランシスの事なんだが……」
「兄様?兄様がどうかしたの?」
「……実は……」
じっと見るフォスティヌにフランシスの父親は『婚約破棄』を言い出せずにいた。
「……こ、この前…フランシスがフォスティヌを一人で帰らせたと聞き驚いてフランシスと喧嘩をしたんだ……」
「あ……」
フォスティヌは、初めてのデートで途中一人で過ごしていた街の噴水広場を思い出し、沈んでいた。
「すまなかったフォスティヌ…一人で心細い思いをさせてしまった…フランシスからは何か言っていたかな?」
「……ううん…何も…兄様と会えない日が多いのもあるけど…隣街へ行った日以来会っていないから……」
フォスティヌの両親そしてフランシスの両親達は何も言えずため息が聞こえただけだった。
「……何故、帰りが遅かったんだ?私はフランシスと帰りまで一緒だったと思っていたんだ…ケヴィンからお前を先に帰らせたと聞いた時は血の気が引く思いだった…」
「そうよ…フォスティヌ、まさかあなたが一人でいたなんて…」
母親は目に涙を溜め、さっきまでフランシスの話を思い出し悔し涙で胸がいっぱいだった。
「…ごめんなさい…お母様、お父様…おじ様におば様…兄様と別れて帰るのがもったいないと思って噴水広場のベンチで座っていたの…初めてのデートでもあったからなんだか名残惜しくなって…」
「…フォスティヌ……」
「本当は…兄様が戻って来てくれるかも…と思って待っていたのもあるけど…一人ではなかったよ」
!?
両親達はフォスティヌが一人ではないと聞きお互い顔を見合せていた。
「……一人ではなかったとはどういう事だ?友達と会ったのか?」
「ううん、学園の先輩と夕方は一緒だったの」
「…学園の先輩とは…誰なんだ?私達も知っているのか?」
「多分知らないと思うんだけど…兄様と同期なのその人」
「フランシスと同期?!」
「…では、そのフランシスと同期と一緒にいたと言うのか?」
「うん…私が一人でベンチに座っていたのを見て怒ったように言ってくるの『どうして、一人でいるんだ?』『フランシスはどうした?』と言って、なんだか私が怒られたみたいに思ったの」
「……」
両親達は『え?』と驚いている顔をしてフォスティヌの話を聞いていた。
「私がまだ帰ろうとしないから、一緒にベンチに座ってお話ししていたの…それから、出店でホットドッグとジュースを奢ってくれたのとても美味しかった!帰りは『気をつけて帰るように』って兄様の所の使用人に何度も同じ事を言っているから可笑しくって……だから私、屋敷へ着いてお父様とお母様に『一人でいたの』ってお話しするのを忘れていたの…」
「……」
笑顔でブラッドの話をするフォスティヌに両親達は時々笑顔を見せては頷いていた。
「楽しいんだけれど、勉強がちょっと難しいかなって…へへへ」
ペロッと舌を出すフォスティヌにフランシスの両親は「ハハハ、そうかい」と笑いながら声を出し、フォスティヌの両親達は苦笑いを見せ周りは笑顔が耐えなかった。
「でも、おじ様とおば様も一緒だったから少し驚いたわ」
「え…ああ、この前の用事があって来たんだよ」
「おじ様、珍しくお父様に会わないで帰った日ね?」
「ああ、そうなんだ…それと、フォスティヌに謝りに来たんだ」
「私に?」
首を傾げるフォスティヌにフランシスの父親は重い口を開いた。
「実は…フランシスの事なんだが……」
「兄様?兄様がどうかしたの?」
「……実は……」
じっと見るフォスティヌにフランシスの父親は『婚約破棄』を言い出せずにいた。
「……こ、この前…フランシスがフォスティヌを一人で帰らせたと聞き驚いてフランシスと喧嘩をしたんだ……」
「あ……」
フォスティヌは、初めてのデートで途中一人で過ごしていた街の噴水広場を思い出し、沈んでいた。
「すまなかったフォスティヌ…一人で心細い思いをさせてしまった…フランシスからは何か言っていたかな?」
「……ううん…何も…兄様と会えない日が多いのもあるけど…隣街へ行った日以来会っていないから……」
フォスティヌの両親そしてフランシスの両親達は何も言えずため息が聞こえただけだった。
「……何故、帰りが遅かったんだ?私はフランシスと帰りまで一緒だったと思っていたんだ…ケヴィンからお前を先に帰らせたと聞いた時は血の気が引く思いだった…」
「そうよ…フォスティヌ、まさかあなたが一人でいたなんて…」
母親は目に涙を溜め、さっきまでフランシスの話を思い出し悔し涙で胸がいっぱいだった。
「…ごめんなさい…お母様、お父様…おじ様におば様…兄様と別れて帰るのがもったいないと思って噴水広場のベンチで座っていたの…初めてのデートでもあったからなんだか名残惜しくなって…」
「…フォスティヌ……」
「本当は…兄様が戻って来てくれるかも…と思って待っていたのもあるけど…一人ではなかったよ」
!?
両親達はフォスティヌが一人ではないと聞きお互い顔を見合せていた。
「……一人ではなかったとはどういう事だ?友達と会ったのか?」
「ううん、学園の先輩と夕方は一緒だったの」
「…学園の先輩とは…誰なんだ?私達も知っているのか?」
「多分知らないと思うんだけど…兄様と同期なのその人」
「フランシスと同期?!」
「…では、そのフランシスと同期と一緒にいたと言うのか?」
「うん…私が一人でベンチに座っていたのを見て怒ったように言ってくるの『どうして、一人でいるんだ?』『フランシスはどうした?』と言って、なんだか私が怒られたみたいに思ったの」
「……」
両親達は『え?』と驚いている顔をしてフォスティヌの話を聞いていた。
「私がまだ帰ろうとしないから、一緒にベンチに座ってお話ししていたの…それから、出店でホットドッグとジュースを奢ってくれたのとても美味しかった!帰りは『気をつけて帰るように』って兄様の所の使用人に何度も同じ事を言っているから可笑しくって……だから私、屋敷へ着いてお父様とお母様に『一人でいたの』ってお話しするのを忘れていたの…」
「……」
笑顔でブラッドの話をするフォスティヌに両親達は時々笑顔を見せては頷いていた。
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