婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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初めての城内へ

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ガラガラと走る馬車が止まり馬車の中ではフランシスが乗っていた。
「城内に着きました。フランシス坊っちゃま」
「ああ、ありがとう…暫く待ってくれ」
「わかりました」
屋敷の使用人が城に着いたとフランシスに伝え、フランシスは馬車から降り沢山の街人と騎士達が歩く姿を見て驚いていた。
「……同じ国でも少し離れただけでこんなに違うのか…」
フランシスは騎士学校の寮に戻る前にブラッドに会いに来ていた
「……僕も、学校を卒業したら城で働くのか……」
沢山の街の建物に沢山の店、奥には出店が沢山並ぶのを見てフランシスは笑顔が出ていた。
キョロキョロと周りを見回していた時だった。
トン!
「きゃっ!」
「あ!?すみません、前を見ていませんでした…」
「い、いえ、私も…すみません…失礼しま…」
ドサドサ!
「え~~っ!?」
女性の手から本が滑り落ち慌てて拾う女性にフランシスも一緒に拾ってあげた。
「あ、有り難う御座います」
「いえ、勉強頑張ってください」
「えっ!?あ…有り難う御座います…失礼します…」
何度もフランシスに頭を下げた女性は人混みへと消えて行った。
「……学生か…僕も騎士になる前は教師になりたくて本を持ち歩いていたな……」
フランシスはフォスティヌに勉強を教え良く屋敷を訪れていたのを思い出していた。
ガヤガヤと人々の話し声と店内を紹介する店員の声を聞きながらフランシスは宛もなくブラッドを捜していた。
「こんなに人が多いとブラッドが何処にいるのか…騎士に聞くしかないのか…」
フランシスはブラッド本人に直接聞きたい事があった。
シャロンの事だった。
(本当にブラッドはシャロンとの結婚を望んでいないのか?もしそれが本当ならどんなに嬉しいか……ただ、問題はブラッドに婚約者がいるのか気がかりだ…その事が心配になり直接会って聞きたいと思っていた…)
フランシスはすれ違う騎士に声をかけブラッドが今何処にいるのか尋ねていた。
「巡回騎士のブラッド?」
「はい…確かそう聞きました…」
「おい、お前知っているか?巡回のブラッド」
騎士の隣に同行している騎士に声をかけブラッドを知っているのか聞いていた。
「いや、知らないな…巡回の奴と俺達、護衛騎士は余り会う事がないからな……」
「あ、あの、すみません…護衛騎士の方なんですか?」
「ああ、そうだけど?」
「あの…ぼ、私は、騎士学校に通っている者ですが、護衛騎士を目指しています!」
「おっ、騎士学校に行っているのか?!」
「はい」
「騎士になって護衛まで進むには大変だけど、まあ、頑張って」
「はい、有り難う御座います」
フランシスは護衛騎士二人と別れ少し気分が晴れた気がしてブラッドよりも強くなり、シャロンの両親に自分を認めて貰い幸せな家庭を考えていた。







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