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フランシスの屋敷へ②
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「兄様の屋敷へ来るのは久しぶり…」
パティを送りフォスティヌはフランシスの屋敷へ来ていた。
屋敷の中に入ったフォスティヌは、久しぶりに来た屋敷の中をキョロキョロと見回し、階段から下りる足音が聞こえると「兄様?」と声を出そうとすると階段を下りて来たのはフランシスの父親だった。
「やあ、フォスティヌ久しぶりだね。元気にしていたかな?」
「こんにちは、おじ様。」
フォスティヌは笑顔を見せフランシスの父親も笑顔を向けていた。
「会わないうちにまた、可愛くなったな」
「ふふっありがとう、おじ様。」
「学校の帰りかい?制服姿を見るのは久しぶりだな学校は楽しいかい?」
「はい、勉強がなければもっと楽しいです」
「はははは、そうか、そうか…」
「…あの、おじ様。兄様は?」
今まで笑っていたフランシスの父親の顔が、一瞬ピクッと真顔になりまた笑顔をフォスティヌに見せていた。
「今騎士寮だが……」
「さっき、騎士学校へ行きました。兄様と同期の人が兄様は体調不良でお休みと言っていました…おじ様、何故隠すのですか?」
フォスティヌは少し怒った顔でフランシスの父親に問いかけていた。
「……すまないフォスティヌ、嘘を君に言って…フランシスは部屋にいるよ…」
申し訳ないと顔を曇らせた父親に、何故自分に嘘をつくのか不安な感じを受けていた。
「……おじ様、どうして私に嘘を言ったのですか?……私は、兄様の婚約者にふさわしくないから…?」
フォスティヌは騎士学校で『婚約者がフランシスを迎えに来ている』と言っていた騎士生徒を思い出してしまい目に涙を浮かべていた。
「ああ、悪かったフォスティヌ…じ、実はフランシスは流行り病にかかってしまって…君に移るといけないと思い嘘を言ってしまったんだ…」
「流行り病?!兄様は大丈夫ですか?」
フォスティヌはフランシスの父親を見上げていた。
「…ああ、風邪のような症状なんだ…ゆっくり休めばいつものフランシスに会える…」
フランシスの父親はフォスティヌの頭を触りフランシスは大丈夫だと話していた。
(…悪いおじさんだな…フォスティヌ…)
フォスティヌはフランシスが風邪だと聞きホッとした笑顔を見せていた。
「おじ様、兄様のお部屋に行ってはダメですか?」
「…フランシスは今休んでいるんだ…」
「部屋には入りません、部屋の外で兄様に挨拶をして帰ります」
「…そうか…わかった…行って来なさい……」
「!ありがとうおじ様」
フォスティヌは笑顔で礼を言うと走るように階段をかけ上がった
階段を上がる側にはフランシスの部屋がありフォスティヌは部屋の前に立ち止まった。
「……兄様」
「!?」
ビクッとフランシスは驚いた顔で扉を見てフォスティヌの名前を言いたいが声が出ずにいた。
「……」
「…兄様…早く元気になって、また街へ兄様と行きたい…約束したんだから…」
「……」
フランシスは扉の前でじっと下を向き手をギュッと握りしめていた。
タタタタと階段を下りる音を聞ききながらフランシスはじっと下を向いたまま動かずにいた。
「おじ様」
フォスティヌは下で待っているフランシスの父親に声をかけた。
「……もう、いいのか?」
「うん、今度会った時でいいの」
「……そうか…」
フランシスの父親は、フォスティヌを馬車の所まで一緒に歩き
「あ!」と何かを思い出したようだった。
「ん?」
「お父様が、おじ様と今度チェスをしましょうと言っていたの。「次は勝つ!」と言っていたけれど、もしかして父様弱いとか…?」
「ははは、そのまさかだよ…父様によろしく言ってくれ…フランシスに会わせる事ができず悪かった…」
「突然来た私が悪いんです。おじ様、ありがとう」
「……気をつけて…」
馬車に乗ったフォスティヌは屋敷へと帰りフランシスの父親は馬車が見えなくなるまで見送り、フランシスは部屋の窓のカーテンの隙間からフォスティヌが乗った馬車を見ていた。
パティを送りフォスティヌはフランシスの屋敷へ来ていた。
屋敷の中に入ったフォスティヌは、久しぶりに来た屋敷の中をキョロキョロと見回し、階段から下りる足音が聞こえると「兄様?」と声を出そうとすると階段を下りて来たのはフランシスの父親だった。
「やあ、フォスティヌ久しぶりだね。元気にしていたかな?」
「こんにちは、おじ様。」
フォスティヌは笑顔を見せフランシスの父親も笑顔を向けていた。
「会わないうちにまた、可愛くなったな」
「ふふっありがとう、おじ様。」
「学校の帰りかい?制服姿を見るのは久しぶりだな学校は楽しいかい?」
「はい、勉強がなければもっと楽しいです」
「はははは、そうか、そうか…」
「…あの、おじ様。兄様は?」
今まで笑っていたフランシスの父親の顔が、一瞬ピクッと真顔になりまた笑顔をフォスティヌに見せていた。
「今騎士寮だが……」
「さっき、騎士学校へ行きました。兄様と同期の人が兄様は体調不良でお休みと言っていました…おじ様、何故隠すのですか?」
フォスティヌは少し怒った顔でフランシスの父親に問いかけていた。
「……すまないフォスティヌ、嘘を君に言って…フランシスは部屋にいるよ…」
申し訳ないと顔を曇らせた父親に、何故自分に嘘をつくのか不安な感じを受けていた。
「……おじ様、どうして私に嘘を言ったのですか?……私は、兄様の婚約者にふさわしくないから…?」
フォスティヌは騎士学校で『婚約者がフランシスを迎えに来ている』と言っていた騎士生徒を思い出してしまい目に涙を浮かべていた。
「ああ、悪かったフォスティヌ…じ、実はフランシスは流行り病にかかってしまって…君に移るといけないと思い嘘を言ってしまったんだ…」
「流行り病?!兄様は大丈夫ですか?」
フォスティヌはフランシスの父親を見上げていた。
「…ああ、風邪のような症状なんだ…ゆっくり休めばいつものフランシスに会える…」
フランシスの父親はフォスティヌの頭を触りフランシスは大丈夫だと話していた。
(…悪いおじさんだな…フォスティヌ…)
フォスティヌはフランシスが風邪だと聞きホッとした笑顔を見せていた。
「おじ様、兄様のお部屋に行ってはダメですか?」
「…フランシスは今休んでいるんだ…」
「部屋には入りません、部屋の外で兄様に挨拶をして帰ります」
「…そうか…わかった…行って来なさい……」
「!ありがとうおじ様」
フォスティヌは笑顔で礼を言うと走るように階段をかけ上がった
階段を上がる側にはフランシスの部屋がありフォスティヌは部屋の前に立ち止まった。
「……兄様」
「!?」
ビクッとフランシスは驚いた顔で扉を見てフォスティヌの名前を言いたいが声が出ずにいた。
「……」
「…兄様…早く元気になって、また街へ兄様と行きたい…約束したんだから…」
「……」
フランシスは扉の前でじっと下を向き手をギュッと握りしめていた。
タタタタと階段を下りる音を聞ききながらフランシスはじっと下を向いたまま動かずにいた。
「おじ様」
フォスティヌは下で待っているフランシスの父親に声をかけた。
「……もう、いいのか?」
「うん、今度会った時でいいの」
「……そうか…」
フランシスの父親は、フォスティヌを馬車の所まで一緒に歩き
「あ!」と何かを思い出したようだった。
「ん?」
「お父様が、おじ様と今度チェスをしましょうと言っていたの。「次は勝つ!」と言っていたけれど、もしかして父様弱いとか…?」
「ははは、そのまさかだよ…父様によろしく言ってくれ…フランシスに会わせる事ができず悪かった…」
「突然来た私が悪いんです。おじ様、ありがとう」
「……気をつけて…」
馬車に乗ったフォスティヌは屋敷へと帰りフランシスの父親は馬車が見えなくなるまで見送り、フランシスは部屋の窓のカーテンの隙間からフォスティヌが乗った馬車を見ていた。
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