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マッサージ再開⑤

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ジル王子は、部屋の中へ入ると見物するかのように壁に背凭れマッサージの治療をする医師と笑顔が天使とは別の呻き声を上げてマッサージを受けるウィル王子を離れで見ていた。
「ククク…」
(本当にあの病弱なウィルだとは疑ってしまうな…庭園に行った時も騎士学校に行った時も…私の心を縛るとは思いもしなかった…)
クスッと笑みを見せるジル王子は、マッサージの治療をするウィル王子を声もかけず見ていた。
「あははは、ちょっ…医師さ…ひやっははっ…なんでまたそのフワフワを~はははっ」
「ウィル様、身体の硬さが解れて来ましたな。私の手作りが役に立ちまして良かったですな!ほっほっほっ」
「…い、医師様…休憩を…お水が飲みたいです~っ…」
「分かりました。休憩をいたしましょう、治療中声を出し続けていましたから喉も乾きましたでしょう」
「はい…はぁ~やっと休憩が出来る~っ」
「ほっほっほっ、水をお持ち致しましょう」
「お願いします…」
俺は両手両足を広げ目を閉じていた。
「ほっ!?」
「ほらっ、水だ」
「あ、ありがとうございます。医師さ……」
「ふっ、寝たままでは水は飲めないだろう?私が身体を起こしてやろう」
「……は?」
「兄に向かって『は?』は、ないだろう?」
クスクスと手を口にやり見下ろすジル王子に固まっていた…
(いやいや、『は?』は言いたくなるよ、居ない人がいきなり『ほら、水だ』って笑顔で言うと驚くだろう!?)
「…ジ…ジル兄様?!いつの間に部屋に…」
「その前に身体を起こすぞ」
「え、は、はい…お願いします…」
ベッドの上に横になっていた身体をジル王子が抱き上げて起こしてくれた…顔が近い為、馬車の中でキスした事が頭の中にボンと思い出してしまうから…顔を上げる事が出来ないのもあるんだけど…ジル王子からハーブのような良い匂いがしてくる…
「…あ、ありがとうございます…ジル兄様…」
「ああ…」
笑顔が少し見えたジル王子に、この人も笑うとイケメン顔が更にイケメンなんだと思った。
「どうした?」
「いえ…ジル兄様の笑顔が素敵だなって見てました」
「…ふっ、そうか?自分では分からないが…笑顔が良いとその様に話をするのはお前を入れて二人目だな…」
「えっ!ジル兄様の笑顔を見た人がいるのですか?」
「私が笑わないような話をするな…」
「……僕は目覚めてから、ジル兄様とお話をして笑ってくれたのを初めて見ましたから…もっと前からこんな風に打ち解けていたらな…って思いました」
「……」
俺とウィルが替わる前だったら少しは違っていたかな…







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