464 / 484
マッサージ再開⑤
しおりを挟む
ジル王子は、部屋の中へ入ると見物するかのように壁に背凭れマッサージの治療をする医師と笑顔が天使とは別の呻き声を上げてマッサージを受けるウィル王子を離れで見ていた。
「ククク…」
(本当にあの病弱なウィルだとは疑ってしまうな…庭園に行った時も騎士学校に行った時も…私の心を縛るとは思いもしなかった…)
クスッと笑みを見せるジル王子は、マッサージの治療をするウィル王子を声もかけず見ていた。
「あははは、ちょっ…医師さ…ひやっははっ…なんでまたそのフワフワを~はははっ」
「ウィル様、身体の硬さが解れて来ましたな。私の手作りが役に立ちまして良かったですな!ほっほっほっ」
「…い、医師様…休憩を…お水が飲みたいです~っ…」
「分かりました。休憩をいたしましょう、治療中声を出し続けていましたから喉も乾きましたでしょう」
「はい…はぁ~やっと休憩が出来る~っ」
「ほっほっほっ、水をお持ち致しましょう」
「お願いします…」
俺は両手両足を広げ目を閉じていた。
「ほっ!?」
「ほらっ、水だ」
「あ、ありがとうございます。医師さ……」
「ふっ、寝たままでは水は飲めないだろう?私が身体を起こしてやろう」
「……は?」
「兄に向かって『は?』は、ないだろう?」
クスクスと手を口にやり見下ろすジル王子に固まっていた…
(いやいや、『は?』は言いたくなるよ、居ない人がいきなり『ほら、水だ』って笑顔で言うと驚くだろう!?)
「…ジ…ジル兄様?!いつの間に部屋に…」
「その前に身体を起こすぞ」
「え、は、はい…お願いします…」
ベッドの上に横になっていた身体をジル王子が抱き上げて起こしてくれた…顔が近い為、馬車の中でキスした事が頭の中にボンと思い出してしまうから…顔を上げる事が出来ないのもあるんだけど…ジル王子からハーブのような良い匂いがしてくる…
「…あ、ありがとうございます…ジル兄様…」
「ああ…」
笑顔が少し見えたジル王子に、この人も笑うとイケメン顔が更にイケメンなんだと思った。
「どうした?」
「いえ…ジル兄様の笑顔が素敵だなって見てました」
「…ふっ、そうか?自分では分からないが…笑顔が良いとその様に話をするのはお前を入れて二人目だな…」
「えっ!ジル兄様の笑顔を見た人がいるのですか?」
「私が笑わないような話をするな…」
「……僕は目覚めてから、ジル兄様とお話をして笑ってくれたのを初めて見ましたから…もっと前からこんな風に打ち解けていたらな…って思いました」
「……」
俺とウィルが替わる前だったら少しは違っていたかな…
「ククク…」
(本当にあの病弱なウィルだとは疑ってしまうな…庭園に行った時も騎士学校に行った時も…私の心を縛るとは思いもしなかった…)
クスッと笑みを見せるジル王子は、マッサージの治療をするウィル王子を声もかけず見ていた。
「あははは、ちょっ…医師さ…ひやっははっ…なんでまたそのフワフワを~はははっ」
「ウィル様、身体の硬さが解れて来ましたな。私の手作りが役に立ちまして良かったですな!ほっほっほっ」
「…い、医師様…休憩を…お水が飲みたいです~っ…」
「分かりました。休憩をいたしましょう、治療中声を出し続けていましたから喉も乾きましたでしょう」
「はい…はぁ~やっと休憩が出来る~っ」
「ほっほっほっ、水をお持ち致しましょう」
「お願いします…」
俺は両手両足を広げ目を閉じていた。
「ほっ!?」
「ほらっ、水だ」
「あ、ありがとうございます。医師さ……」
「ふっ、寝たままでは水は飲めないだろう?私が身体を起こしてやろう」
「……は?」
「兄に向かって『は?』は、ないだろう?」
クスクスと手を口にやり見下ろすジル王子に固まっていた…
(いやいや、『は?』は言いたくなるよ、居ない人がいきなり『ほら、水だ』って笑顔で言うと驚くだろう!?)
「…ジ…ジル兄様?!いつの間に部屋に…」
「その前に身体を起こすぞ」
「え、は、はい…お願いします…」
ベッドの上に横になっていた身体をジル王子が抱き上げて起こしてくれた…顔が近い為、馬車の中でキスした事が頭の中にボンと思い出してしまうから…顔を上げる事が出来ないのもあるんだけど…ジル王子からハーブのような良い匂いがしてくる…
「…あ、ありがとうございます…ジル兄様…」
「ああ…」
笑顔が少し見えたジル王子に、この人も笑うとイケメン顔が更にイケメンなんだと思った。
「どうした?」
「いえ…ジル兄様の笑顔が素敵だなって見てました」
「…ふっ、そうか?自分では分からないが…笑顔が良いとその様に話をするのはお前を入れて二人目だな…」
「えっ!ジル兄様の笑顔を見た人がいるのですか?」
「私が笑わないような話をするな…」
「……僕は目覚めてから、ジル兄様とお話をして笑ってくれたのを初めて見ましたから…もっと前からこんな風に打ち解けていたらな…って思いました」
「……」
俺とウィルが替わる前だったら少しは違っていたかな…
0
お気に入りに追加
869
あなたにおすすめの小説
転生したら侯爵令嬢だった~メイベル・ラッシュはかたじけない~
おてんば松尾
恋愛
侯爵令嬢のメイベル・ラッシュは、跡継ぎとして幼少期から厳しい教育を受けて育てられた。
婚約者のレイン・ウィスパーは伯爵家の次男騎士科にいる同級生だ。見目麗しく、学業の成績も良いことから、メイベルの婚約者となる。
しかし、妹のサーシャとレインは互いに愛し合っているようだった。
二人が会っているところを何度もメイベルは見かけていた。
彼は婚約者として自分を大切にしてくれているが、それ以上に妹との仲が良い。
恋人同士のように振舞う彼らとの関係にメイベルは悩まされていた。
ある日、メイベルは窓から落ちる事故に遭い、自分の中の過去の記憶がよみがえった。
それは、この世界ではない別の世界に生きていた時の記憶だった。
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。
私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。
しかし、イレギュラーが起きた。
何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。
【完結】幼馴染に婚約破棄されたので、別の人と結婚することにしました
鹿乃目めの
恋愛
セヴィリエ伯爵令嬢クララは、幼馴染であるノランサス伯爵子息アランと婚約していたが、アランの女遊びに悩まされてきた。
ある日、アランの浮気相手から「アランは私と結婚したいと言っている」と言われ、アランからの手紙を渡される。そこには婚約を破棄すると書かれていた。
失意のクララは、国一番の変わり者と言われているドラヴァレン辺境伯ロイドからの求婚を受けることにした。
主人公が本当の愛を手に入れる話。
独自設定のファンタジーです。実際の歴史や常識とは異なります。
さくっと読める短編です。
※完結しました。ありがとうございました。
閲覧・いいね・お気に入り・感想などありがとうございます。
(次作執筆に集中するため、現在感想の受付は停止しております。感想を下さった方々、ありがとうございました)
大事なのは
gacchi
恋愛
幼いころから婚約していた侯爵令息リヒド様は学園に入学してから変わってしまった。いつもそばにいるのは平民のユミール。婚約者である辺境伯令嬢の私との約束はないがしろにされていた。卒業したらさすがに離れるだろうと思っていたのに、リヒド様が向かう砦にユミールも一緒に行くと聞かされ、我慢の限界が来てしまった。リヒド様、あなたが大事なのは誰ですか?
ルーカスと呪われた遊園地(下)
大森かおり
児童書・童話
ルーカスと呪われた遊園地(上)(中)のつづきです。前回のお話をご覧いただく方法は、大森かおりの登録コンテンツから、とんで読むことができます。
かつて日本は、たくさんの遊園地で賑わっていた。だが、バブルが崩壊するとともに、そのたくさんあった遊園地も、次々に潰れていってしまった。平凡に暮らしていた高校二年生の少女、倉本乙葉は、散歩に出かけたある日、そのバブルが崩壊した後の、ある廃墟の遊園地に迷い込んでしまう。そこで突然、気を失った乙葉は、目を覚ました後、現実の世界の廃墟ではなく、なんと別世界の、本当の遊園地に来てしまっていた! この呪われた遊園地から出るために、乙葉は園内で鍵を探そうと、あとからやってきた仲間達と、日々奮闘する。
(完)お姉様の婚約者をもらいましたーだって、彼の家族が私を選ぶのですものぉ
青空一夏
恋愛
前編・後編のショートショート。こちら、ゆるふわ設定の気分転換作品です。姉妹対決のざまぁで、ありがちな設定です。
妹が姉の彼氏を奪い取る。結果は・・・・・・。
いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。
悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる