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シェル王子の部屋⑩
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俺はマリアさんに、一緒にお茶を飲まないか?と誘うとマリアさんの目がシェル王子に向けた後、俺の方へ目を向けるのが分かった。
「…有り難う御座いますウィル様、この後メイド仲間と食堂で会うことに成っていますのでご一緒する事は出来ませんわ~」
「そっか、明日はどうですか?」
「明日でしたら大丈夫ですわ」
「良かった。明日はレオンさんとトーマスさんと一緒だね」
「……」
「騎士達にも誘っていたんですね、ウィル…」
「はい、父様と兄様達にも飲んで貰うつもりです」
「ふふふ…そうですか楽しみですね~その時は私も呼んでください」
「え!?シェル兄様また飲みますか?」
「ふふふふ…未定です…ふふ」
「……」
シェル王子は『未定です』と笑顔で答えていた。
「シェル兄様、焼き菓子食べても良いですか?」
「良いですよ。貴方に食して貰う為に頼みましたお菓子ですから」
「ウィル様、お茶を入れますわ」
「あっ、お願いします。まだお茶の葉は出ると思いますのでそのままポットにお湯を入れてください」
「分かりました…シェル様はカップにお茶が残っていますのでお入れしなくて良いですわね」
マリアさんが、もう一つのカップを見てまだお茶が残っているのを見た後シェル王子に尋ねていた。
「私のカップだと分かりましたね。マリア」
「分かりやすいと思いますわシェル様」
「クスッ、そうですね」
コポコポ…とお湯をポットの中に入れるマリアさんを見て、俺は籠の中にあるクッキーだろうかビスケットかな~と思うお菓子を一枚食べた。
「ん、ん、美味しい!」
「ふふっ」
「マリアさんもシェル兄様も食べてください」
お茶を入れたカップを俺が座っているテーブルの前に置いたマリアさんが「私も良いのですか?」と声を出し俺は一枚マリアさんに向けた。
「マリアさん、はい、あ~ん!」
「え!?あ~?」
手を伸ばした俺はお菓子をマリアさんに向け少し驚いたような顔をしているマリアさんの口に入れた。
「ねっ、美味しいよね!」
「…モグモグ…ふぁ…い…」
マリアさんは声にならない声を出し頷いて、手を口に押さえて食べていた。
トントン!
「え?」
肩を叩く横からシェル王子の満面の笑顔を見てしまった…
「ウィル、私も良いですか?」
「良いですよ。はい、どうぞ」
俺は籠ごとシェル王子に向けた。
「…ウィル、私も貴方の手から食したいのですが…籠を渡されましても」
「はは、冗談ですシェル兄様」
俺は籠の中から一枚取りシェル王子に向けた。
「はい、どうぞ……ひゃっ!?」
カプッとクッキーを口に入れたシェル王子は、俺の指まで一緒にパクッと咥え、俺はヌルッとした感触に驚き声を上げた。
「ふふっ…すみません貴方の指まで咥えてしまいました」
「う…」
「美味しいですね」
と言ったシェル王子の不敵な笑みを見せる姿に、もしマリアさんが居なかったらどうなっていたんだろうと思っていると「失礼しますわウィル様」と俺に声をかけるマリアさんが、シェル王子が舐めた指を布巾で拭いてくれた。
「えっ、あ、ありがとうマリアさん…」
「いいえ~っ」
「クスクス」
隣で笑うシェル王子に俺はため息を吐き、(今更だけど…ウィルの時もこんな事をしていたのだろうか?)と俺はマリアさんの入れたお茶を隣でじっと見て笑みを見せるシェル王子の視線を感じて飲んでいた。
「…有り難う御座いますウィル様、この後メイド仲間と食堂で会うことに成っていますのでご一緒する事は出来ませんわ~」
「そっか、明日はどうですか?」
「明日でしたら大丈夫ですわ」
「良かった。明日はレオンさんとトーマスさんと一緒だね」
「……」
「騎士達にも誘っていたんですね、ウィル…」
「はい、父様と兄様達にも飲んで貰うつもりです」
「ふふふ…そうですか楽しみですね~その時は私も呼んでください」
「え!?シェル兄様また飲みますか?」
「ふふふふ…未定です…ふふ」
「……」
シェル王子は『未定です』と笑顔で答えていた。
「シェル兄様、焼き菓子食べても良いですか?」
「良いですよ。貴方に食して貰う為に頼みましたお菓子ですから」
「ウィル様、お茶を入れますわ」
「あっ、お願いします。まだお茶の葉は出ると思いますのでそのままポットにお湯を入れてください」
「分かりました…シェル様はカップにお茶が残っていますのでお入れしなくて良いですわね」
マリアさんが、もう一つのカップを見てまだお茶が残っているのを見た後シェル王子に尋ねていた。
「私のカップだと分かりましたね。マリア」
「分かりやすいと思いますわシェル様」
「クスッ、そうですね」
コポコポ…とお湯をポットの中に入れるマリアさんを見て、俺は籠の中にあるクッキーだろうかビスケットかな~と思うお菓子を一枚食べた。
「ん、ん、美味しい!」
「ふふっ」
「マリアさんもシェル兄様も食べてください」
お茶を入れたカップを俺が座っているテーブルの前に置いたマリアさんが「私も良いのですか?」と声を出し俺は一枚マリアさんに向けた。
「マリアさん、はい、あ~ん!」
「え!?あ~?」
手を伸ばした俺はお菓子をマリアさんに向け少し驚いたような顔をしているマリアさんの口に入れた。
「ねっ、美味しいよね!」
「…モグモグ…ふぁ…い…」
マリアさんは声にならない声を出し頷いて、手を口に押さえて食べていた。
トントン!
「え?」
肩を叩く横からシェル王子の満面の笑顔を見てしまった…
「ウィル、私も良いですか?」
「良いですよ。はい、どうぞ」
俺は籠ごとシェル王子に向けた。
「…ウィル、私も貴方の手から食したいのですが…籠を渡されましても」
「はは、冗談ですシェル兄様」
俺は籠の中から一枚取りシェル王子に向けた。
「はい、どうぞ……ひゃっ!?」
カプッとクッキーを口に入れたシェル王子は、俺の指まで一緒にパクッと咥え、俺はヌルッとした感触に驚き声を上げた。
「ふふっ…すみません貴方の指まで咥えてしまいました」
「う…」
「美味しいですね」
と言ったシェル王子の不敵な笑みを見せる姿に、もしマリアさんが居なかったらどうなっていたんだろうと思っていると「失礼しますわウィル様」と俺に声をかけるマリアさんが、シェル王子が舐めた指を布巾で拭いてくれた。
「えっ、あ、ありがとうマリアさん…」
「いいえ~っ」
「クスクス」
隣で笑うシェル王子に俺はため息を吐き、(今更だけど…ウィルの時もこんな事をしていたのだろうか?)と俺はマリアさんの入れたお茶を隣でじっと見て笑みを見せるシェル王子の視線を感じて飲んでいた。
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