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騎士学校への訪問者⑲

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「レオンさん、大丈夫ですか!?」
「……」
床に尻餅を着いたまま何も言えずにぼ~っとしているレオンさんに、俺は身体を傾けレオンさんに声をかけた。
(驚いて声が出ないようだけど大丈夫かな…)
「レオンさん……?」
「あっ…は、はいウィル王子…」
ササササ…と慌てたように起き上がるレオンさんは顔が真っ赤に成って俺の方に頭を下げた。
「申し訳御座いません、ウィル王子…お恥ずかしい所をお見せ致しました……」
「僕の方こそごめんなさい…」
「い、いえ、ウィル王子のせいではありません」
俺とレオンさんはお互いペコペコと謝り、レオンさんは落ち着きを取り戻していたようだった。
「大丈夫ですか?レオン様」
「は、はい、すみませんお騒がせいたしました」
マリアさんが俺とレオンさんの側に寄り声をかけていた。
「ウィル様、お城へお戻りの時間ですわ」
「あっ、うん、分かったマリアさん」
俺達が城へ戻ると聞いたアンドレ先生が、俺が座っているベッドの側に来ると手提げ袋を俺に渡して、俺は匂いでお茶の葉が入っていると気がついた。
「アンドレ先生、ありがとうございます」
「……まだ何をお渡ししているのかお話しをしていませんのに分かるのですか?」
「はい、匂いで分かりました。」
クスッと笑った顔を見せるアンドレ先生に俺は満面の笑顔を見せた。
「ウィル王子とお茶仲間に成りましたのに寂しくなります」
「僕も、アンドレ先生にお会い出来てとても嬉しいです。今度お城に来て下さい。また、一緒にお茶が飲みたいです」
「有り難う御座いますウィル王子、伺います時はベルナール先生にお伝え致します」
「はい」
「ほっ、ほっ、ほっ、アンドレ先生はお茶仲間に恵まれましたな」
「光栄な事です」
俺はアンドレ先生にお礼を言うとレオンさんに抱っこではなくおんぶで医務室を出る事に成った。
「レオンさん、ごめんなさい。重たいと思って抱き抱えて貰うのを断ってしまって……」
(抱っこよりこっちが良いし、また運動場を通るから生徒がいたら嫌だし…)
「……いえ、私でしたら大丈夫です」
(はぁ…ウィル王子に嘘を言ってしまいました…本当はウィル王子を抱き抱えて歩きたいと思っていましたが……)
俺はレオンさんの後ろを見てクンクンと思わず匂いを嗅いでいた
(決して変態では有りません、レオンさんの髪の毛が花の香りで良い匂いだから嗅いだだけです…)
俺は心の中で懺悔していた所を後ろから歩くマリアさんの目がバチッと合い、声が出ない苦笑いを見せた。
「……ウィル様はその様なお顔は致しませんわ」
「ぅ……」
「マリアさん?何か言いましたか?」
「いえ、何も言っていませんわレオン様」
「そうですか…?」
俺はマリアさんから笑顔を指摘され俺達は運動場へと近付いていた。
「あれ?先生と生徒は…」
「授業が終わったようです。もうすぐ昼食だと思いますので」
(そっか、もう一度ルグランとメルシエに会いたかったけどな…医務室を出る前は普通にしていたけど、俺の気のせいかな?)
帰りは誰も会う事もなく俺達は騎士学校の校舎を出た。
「ウィル様、学校はどうでしたかな?」
「はい、校舎が綺麗で先生と生徒の皆さんに会えて良かったです」
「ほっ、ほっ、そうですか喜んで下さいまして良かったです。」
「それにアンドレ先生とお茶仲間が出来たのがとても嬉しいです」
「……それは良かったです…」
「医師様はお茶が苦手だと聞きましたが本当ですか?」
「…そうですな…あの匂いと色もありますが、口の中へ入れました後味がなんとも……」
「そうですか?こんなに美味しいのに」
「……」
『信じられない』って顔をしていた医師じぃさんは、お茶が入っている手提げ袋に目を向けていたようで、マリアさんに声をかけていた。
「…マリア様、手提げ袋を持ちまして匂いなど気には成りませんかな?」
俺は、レオンさんにおんぶして貰って手提げが邪魔だと思いマリアさんに持って貰っている。
「とても良い香りですわ」
「そうですか…」
(お、マリアさんお茶の匂いが好きかな!?もしかしたらお茶も飲めるかもしれない)
「お城へ戻ってお茶を飲みませんか!?」
「えっ、宜しいのですか?ウィル王子」
「うん、マリアさんも一緒にどうですか?」
「はい、頂きますわウィル様」
「医師様は……」
「有難い御誘いではありますが私はご遠慮していいですかな?」
「ははは、分かりました。医師様もお茶が飲めるようになると良いですね」
「ほっ、ほっ、ほっ、」
医師じぃさんは笑って誤魔化して、俺はレオンさんとマリアさんにお茶を飲む約束をした。
(ついでにお茶の良さを兄王子達にも分かって貰おう!)









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