兄たちが弟を可愛がりすぎです

騎士学校への訪問者⑬

コッコッと廊下を歩く足音が複数聞こえその先には医務室へと向かっていた。
「あ！」
「ほっ！」
「え…！」
「……」
ばったりと、廊下の角で鉢合わせに成った一緒に歩いていたウィル王子の医師と学校の医師アンドレ先生、そしてシェル王子からウィル王子の様子を見て欲しいと頼まれたシェル王子の護衛騎士エリック騎士、そして騎士学校の生徒であるルグランはエリック騎士とは兄弟で、まさか兄が学校の廊下をウロウロとしているとは思わず、兄ともばったりと会った為一緒に医務室へと向かっていた。
「ほっ、ほっ、ほっ、エリック様でしたか！」
「医師様、廊下でお会いするとは思いませんでした」
「おっ、ルグラン！メルシエを迎えに来たのか？」
「はい、あの…メルシエの様子は…」
「ああっ、ウィ……お、男の子と一緒に話し相手に成って暮れている。教室に連れて行っても大丈夫だろう」
「……はい」
ルグランはメルシエの体調が良いと言われホッと息を吐いた。
四人は医務室へと廊下を歩き出した。
「……それにしても驚きました…シェル王子の護衛騎士の方に会えるとは…それにルグランとご兄弟だったとは…今日の学校は驚く事ばかりです」
「エリック様、学校へはご兄弟にお会いに来られましたかな？」
「いえ…シェル様の用事で……」
「ほっほっほっ、そうですか」
ウィル王子の医師はシェル王子の用で来たエリック騎士にそれ以上の事は尋ねる事はなかった。
（シェル様にウィル様の事を話していませんでしたな、勝手に連れて行きましたのでシェル様も捜されたのだろう…エリック様が来られましたのはシェル様にレオン様がお知らせしたのでしょうな…ただ、ジル様が何故騎士学校へ居ますのかな？医務室へいらっしゃいますと言っていましたな……具合いでも悪く成り私が騎士学校に居ます事を知り学校へ…しかし、城内にも医師は居ますから私でなくとも……）
「おほっ！？」
「ベルナール先生大丈夫ですか？」
「ほっほっほっ、考え事をしていました…」
隣を歩くアンドレ先生に躓きそうに成った。
「お疲れの所を私が呼び出してすみません」
「いえいえ、私の仕事でもありましたから、さぁ、医務室に着きましたぞ」
「…医師様、私は此処でお待ち致します」
医務室の扉の前でエリック騎士はウィル王子の医師に医務室へ入らず廊下で待っ事を話し出した。
「何を遠慮しているのですかな？エリック様らしくありませんなさあさあ一緒に入りましょう」
「え、あの……」
「ほっほっ、エリック様が扉を開けて下さい」
「えっ！？私がですか？」
「では、ノックは私がしますから」
「は？それでしたら医師様が先にお入り下さい！私はシェル様からウィル王子の様子だけを見てくるようにと言われただけで……」
カチャ！と中から扉が開きジル王子の護衛騎士ブラン騎士が顔を見せた。
「……エリック護衛騎士？！」
「あ……お、お疲れ様です…」
ゾロゾロと医務室に入る人達を見て俺は目が豆鉄砲のようになっていると思う……