兄たちが弟を可愛がりすぎです

騎士学校への訪問者③

ジル王子とブラン騎士は渡り廊下の途中で足を止め生徒達の木刀の素振りの練習を見ていると何人かの男子生徒が騎士が居る事に気付き素振りをしながら声を出していた。
「なあ、さっきの騎士の人が戻って来たのかな？」
「えっ！？何処だ……あっ、ほんとだ騎士が二人に成ってる…けど何か違う人みたいだけど気のせいか？」
「なに、なに？騎士の人戻って来たのか？」
「……なあ、俺達なんかあの青い髪の騎士から睨まれて居ないか？」
「……ほんとだ…もう一人の騎士の人笑顔なのになんであの青い髪の毛の騎士の人は笑って居ないんだろう……」
生徒達から見るとジル王子は笑って居ないように見え、じっと見ているから睨んで居るように見えるようだ。
実際はジル王子は口元が笑って居るためべつに生徒達を睨んでいる訳でもなかった。
「こらっ、お前達何を騒いで居るんだ！」
「先生…騎士の人がまた来ています……今度は違う人みたいで僕達睨まれてます……僕達来年城へ騎士として行けるのかが心配です」
「お前達何を言って居るんだ？騎士が見ているだけだろう今度は誰だ？クライムでは無いのか？」
くるっと渡り廊下の方へと身体を向けたリアム先生は驚いた顔で身体が固まって居るのが分かった。
軽く頭を下げるジル王子にダラダラと汗が流れて来るような口をポカーンと開けて固まり動かないリアム先生を見ていた生徒達は城の監視役が来たのでは？と生徒達はお互い声を掛けて自分達のアピールを始め「城から俺達を見に来たんだ」「俺達の勇姿を見て貰うんだ」生徒達は真剣な顔を見せ素振りをしていた。
生徒達の真剣な表情で素振りをする姿を見ていたリアム先生は「お前達…やれば出来るじゃないか……」
リアム先生は感動して生徒達の素振りの姿を見ていた。
その様子を渡り廊下で足を止めて見ていたジル王子とブラン騎士は再び歩き出し医務室へと向かっていた。
「あれ、騎士の二人居なくなったぞ」
「はあ～っ、疲れた腕が痛い」
「なぁ、俺達の勇姿見てくれたかな？またこっち戻って来るかな？」
生徒達数名は素振りの手を止めリアム先生の元へ駆け寄っていた。
「先生、さっきの騎士の人城からの監視役の人ですか？」
「は？監視役？」
「青い髪の毛の騎士の人先生に頭下げて居たけど教え子だったんですか？」
「青い髪の毛の騎士の人すっごく睨んで俺怖かった」
「……お前達さきほどの騎士の方を知らないのか？！」
「方？！って先生あの騎士の人凄い人何ですか？俺達に紹介してください」
「誰何ですか？あの人」
ワイワイ……とまた質問責めに合うリアム先生は今日は厄日なのかと、ジル王子の事を話せないで居る先生は生徒を落ち着かせるのに必死だった。
離れで何人かの生徒は手を休めて休憩を取る生徒も何人か居るようで一番後ろにいるルグランも先生と生徒達が落ち着くのを待っていた。
「リアム先生も大変だね」
ルグランの側に寄っていたのはフランソワだった。
「……そうだな今日は騎士がくる日だったのかと思うほどだな」
「メルシエを医務室へ連れて行ってくれて有り難う、僕が行けば良かったけど保健員では無かったからね」
「迎えはフランソワが行ってくれ、メルシエにも言っている」
スッ……と木刀の先がルグランの顔に向けていた。
「今度僕と剣稽古をしてくれないかルグラン……」
「……気が向けばな……」
クスッ、と笑みを見せるフランソワはルグランに向けていた木刀を下ろし「メルシエの迎えはルグランに任せるよ」
フランソワはルグランにメルシエの迎えもお願いすると自分の持ち場に戻っていた。
「……」
二人のやり取りを見ていた同級生は小声で話しをしていた。
「なぁ、フランソワとルグラン喧嘩でもしていたのか？」
「さぁ……なんか近寄り難い雰囲気だったな二人とも…」
運動場がまた騒がしく成っていた頃、学校の門にはレオン騎士とメイドのマリアが騎士学校の門の前に立っていた。
「……レオン様、私は学校へ入っても宜しいのですか？」
「大丈夫と思います。そのまま医務室へ向かいましょう」
レオン騎士とメイドのマリアは先にジル王子と護衛騎士のブラン騎士が校舎に入り医務室に向かっている事を知らないでいた。
もう一人、シェル王子の命で一人騎士学校に向かっているシェル王子の護衛騎士エリック騎士が、もう少しで騎士学校の門へと近付いていた。