兄たちが弟を可愛がりすぎです

城の騎士学校⑨

「……ねぇ、ルグランあの子が持って居るカップの飲み物ってまさかアンドレ先生のお茶って飲み物じゃないかな……」
「……」
俺は二人の生徒が医務室に入って来た事に気ずかずお茶を満喫していた。
（はぁ、良いな……お茶って此処に饅頭があれば良いのに先生がお茶っ葉をあげるって言っていたからシェル王子達にも飲ませて上げよう……ジル王子も食卓では機嫌悪かったみたいけどお茶を飲んだらスッキリとすると思うけどな……）
俺はカップの中にまだ入っているお茶を眺めそしてアンドレ先生の声が聞こえた。
「保健員のルグランかどうしたんだ？隣に居る生徒が具合い悪いのか！？」
俺はパッと扉の方へ顔を向けると身長の高いアンドレ先生と変わらない高さの男子と１６０cm位の男子生徒が何故かボーっと俺の方を見て立っている姿を見掛けた。
俺は二人にペコッと頭を下げ二人の生徒も俺につられてかペコッと頭を下げていた。
「ほっ、ほっ、ほっ、この子は私の知り合いの子で足が弱いのでベッドに座って貰って居たのですぞ」
「……ベルナール先生の知り合いですか？僕達が運動場で走っていた時騎士の方に抱き抱えて貰って居ました子ですよね」
「えっ、そうだったの？僕は走るのに夢中で途中具合い悪くなったから知らなかった」
「立ち話しも此処までにして、こっちのベッドに身体を休めると良い」
アンドレ先生が一人の男子に、俺が座っている隣のベッドに横に成るようにと一緒に付いてきた保健員と言っていた男子生徒が側に一緒にいた。
シヤ～～ッ！とベッドを今まで隠していたカーテンをアンドレ先生が全開に開けた為、俺は隣で横に成っている男子生徒達の前に座っている状態で俺は落ち着かない感じだった。
ウィルより年上だと体育の先生が言っていた事を思い出しこうやって間近で見る男子生徒は懐かしさもあった。
「大丈夫ですか？」
俺がベッドで身体を横にしている男子生徒に声を掛け俺が声を掛けた事に驚いたのか二人の生徒は俺を見てベッドで寝ている男子生徒が少し笑顔を見せ俺に声を掛けてくれた。
「……有り難う大丈夫だよ、君は此処の生徒では無いよね」
「あっ、僕まだ学校には行った事が無いんです。最近まで病気だったので学校も初めて何です」
ニコッと俺は微笑み生徒と話せるのが嬉しく成ってニコニコと笑顔を二人に向けていた。
「笑顔が可愛いね君良く言われない？」
「えっ！えへへへ有り難う御座います。」
俺はウィルの顔を褒めてくれたのが嬉しくてマグカップを右手に持ち左の手でウィルの顔を撫でていた。
「……」
「……」
俺は笑顔が止まらずニコニコとウィルの顔を撫で、その様子を見ていた男子生徒二人は『大丈夫だろうかコイツ』みたいな目で俺を見ているのが分かり、俺はウィルを変な奴だと思われては駄目だと思いニコッと笑顔を見せた。
「……さっきから気に成っていた事があるがいいか？」
「えっ、あ、はい」
俺に声を掛けてきたのは保健員の男子で顔も良いからモテそう……此処の学校は男子だけだったかな？
「その手に持って居るカップはもしかしてお茶が入っているのか？」
眉間にシワを寄せ嫌な顔をしている保健員はお茶の事を知って居たらしく飲んだ事が在るのか？とアンドレ先生の方へ顔を向けた
「ハハ、彼はクラスの保健員だからねお近づきにお茶を飲ませた事があったんだが、一口飲んで嫌な顔を見せていたからね」
「……っ」
立ったまま目を逸らし顔が少し赤く成る保健員の彼に「プッ」と笑うベッドの上で眠る男子生徒がクスッと笑っていた。
「ふふっ、ルグランにも苦手な物があったんだね」
「お前も飲めば分かる」
「ええっ、僕は遠慮しておくよ」
クスクスと笑うベッドの中の彼を見た保健員の男子は、顔色が変わりスッと男子生徒の側を離れ俺は何かあったのか？と首を傾げて見ると、ベッドの中での男子生徒が「えっ？」と身体を動かし保健員の彼に声を掛けていた。
「ルグラン？」
「俺は戻らないと…後で委員長を医務室に迎えに寄越す。お前は身体を休めていろ」
「……」
「アンドレ先生彼をお願いします。僕は戻ります……後からクラス委員長が迎えに来ますので」
「ああっ、分かった。」
保健員の男子生徒はアンドレ先生と医師じいさんに頭を下げそして何故か俺の方へと歩いてきた。
「まだ君が此処に居るなら彼の話し相手に成ってくれ……」
コソッと話すように俺に言った後頭を撫でられ彼は医務室を後にした。
俺はチラッと隣のベッドで上半身身体を起こし扉の方をじっと見る男子生徒に（この二人は喧嘩でもしたのか？でもさっき迄普通に話して居たよな……）
俺は冷めてしまったお茶を飲み、また新しいお茶をアンドレ先生からいれて貰い、まだ医務室にいた医師じいさんが「ほっ、ほっ、ほっ、若いとは良いですな」と意味不明な事を呟き医務室を出て行った。