兄たちが弟を可愛がりすぎです

花畑での再会

（草の匂いかな花の匂いかな…）
俺は今、寝転がって居るのが分かり目を開けてみた。
青空のような空を見ている……俺は今何処に居るんだ？と足が動くのに気付き手や足に見慣れた体格そして顔と髪の毛を触り俺は今、坂田春人の姿で居る事が分かった。
そして俺の周りは草花が広がりその場所で俺は仰向けで寝転がっている状態だ。
そして隣に誰か居る気配を感じ隣の方へ顔を向けた。
金と銀色の髪が混ざったような髪の毛に目を閉じまつ毛が長く白い肌に、貴族が着る洋風の服にズボンそして靴を履いた外国の男の子が俺が寝る隣に一緒に眠る姿があった。
見覚えのある顔…初めて見た時から笑顔が眩しく鼻血が出そうに成った男の子……ウィル王子が俺の隣で眠っている。
何度顔を見たいと思った男の子が、俺の隣で眠り俺は声を掛けようと顔をウィルの方へ向け口を開く時パチッとウィルが目を開け隣で寝ていた俺と目があった。
（天使だ、天使だ！可愛いな～～ちくしょう、俺の今のウィルでも黙っているだけで天使に見えるかな）
俺は隣どうしで一緒に寝ているウィルに声を掛けた。
『……ぁ……』
（！？声が出ない何で声が出ないんだ？やっとウィルに会えたんだぞ俺に会いに来てくれたのに……）俺は必死で口をパクパクして声を出そうとした。
声が出ない俺をじっと青い澄んだ瞳でウィルはニコッと微笑み、そしてウィルは上半身からだを起こすと、ウィルの方へ仰向けに成ったままで見ていた俺の方へ顔を近付け頬にキスをしてくれた。
俺は真っ赤に顔が熱くなるのが分かり無意識に『へへっ……』と声が出た。
ウィルは俺の顔を見下ろしニコッと笑顔を見せ立ち上がり歩いて行くのが分かった……俺は草花の上で横に成っていた身体を起こし後ろ姿が見えるウィルに声を掛けた。
『ウィル！！』
俺は草花の上に立ち後ろ姿のウィルに声を掛け俺はもう一人ウィルの側に居る人を見た。
銀色の髪の毛がキラキラと輝いて青い瞳に笑顔を見せる若い女性がウィルが歩く道に立っていた。
俺と余り変わらない歳の女の子がウィルに両手を差しのべている姿に俺はただ黙って二人の姿を見るだけで、そしてウィルはくるっと後ろを振り向き満面の笑顔を俺に見せていた。
俺は咄嗟に鼻を押さえ『鼻血が……』と、声を出したのが聞こえたのか二人とも笑顔で笑い、そしてウィルは俺に手を振り側にいた女性は俺に頭を下げその時俺は分かった……
『ウィルの母さん？！』
ウィルと一緒にいた女性はまるで霧がかかったように二人は姿が消えていった。
一人花畑のような場所で取り残された俺はウィルにお願いすれば良かったと肩を落とした……
「ウィル……せめて俺に字が読めるようにして貰いたかった」
と一言声に出した俺は今度はうつぶせになりそのまま眠ってしまった。