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ジル王子の部屋を出た後

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メイド四人がジル王子の部屋を出た後メイド達が掃除道具を持ち護衛騎士二人に挨拶を交わしていた。
「お疲れ様です騎士様護衛御苦労様です」
「騎士様お疲れ様です」
「「……」」ペコッと頭を下げるメイド二人は無言で護衛騎士二人の顔を見ていた。
「お疲れ様です……」
「……お疲れ様です……」
ジル王子の護衛騎士二人は一言声を掛けるだけで、メイド二人には最後まで何も話さないつまらない騎士と思われたようだ。
「なあに、あの騎士達お疲れ様しか言えないのかしら、まぁ、騎士には興味無いけど…でも王子様方素敵だったわ……メイドが邪魔で何も話せ無かったわ」
「そうよね、あのメイドがいなかったら話せたかしら私達……心臓ドキドキで話せて無いかも」
カチャカチャと掃除道具を持ち、シェル王子の護衛騎士ロベール騎士が一人護衛をしていた。
「お疲れ様です騎士様お一人ですか?」
「ああっ、お疲れ様、今は一人だ掃除御苦労だった」
「いえ、わたくし達メイドの仕事ですわ、では、失礼致します」
「「……」」ペコッとメイド二人も頭を下げロベール騎士の前を通り過ぎた。
シェル王子の護衛騎士ロベール騎士が見えなくなると周りにメイドと騎士が居ない事を確認した後歩いていた足をメイド二人は止め掃除道具を地面に置いた。
カタカタ、バサバサ……「ふぅ、疲れた貴女これ全部御願いね」
「えっ?ぜ、全部ですか?」
「そうよ、ここまで持ってあげたのだから最後は貴女達の仕事でしょ」
「……で、でも……」
「何?一度で持てないならまた取りに来れば良いじゃない」
「「……」」
「宜しくね」
二人のメイドは先に廊下を歩き、掃除道具と汚れ物が増えたメイド達二人は困っていた。
「どうする?一度には持てないと思うけど……」
「……うん、近くにメイドの姿も無いし、持てる分先に持って後から残りの分持って行く?」
「そうね」
後輩のメイド二人は先に汚れ物を持ち、残りの掃除道具は後から取りに来る事にしてメイド達が歩く時だった。
「俺が持ってやるここに置いてある道具を持てば良いのか?」
「え!?」
「えっ?あっ!?」
メイド二人の側にいたのは、さっきまでジル王子の部屋にいたカイザック王子がメイド二人に声を掛けていた。
「……まさかこの荷物を貴女達二人に持たせるとは…はぁ、メイド長に報告しなくてはいけませんね」
「シェル様もこちらの道具をお持ち下さい、紳士的に見えますわよ」
「……マリアが言いますと遊ばれて居るように聞こえますが」
メイド二人の側にシェル王子とカイザック王子そしてメイドのマリアが掃除道具を持ち運びして、メイド二人は呆然とその場を立っていた。
「ほら、重いものはカイ様が持って下さるから渡しなさい」
「えっ、でもこれはわたくし達の仕事です……王子様に荷物を持たせる事には……あっ!」
「かたいことは無しださあ行くぞ」
重い物はカイザック王子が持ち、シェル王子も掃除道具をメイドのマリアから渡され、メイド二人とマリアは汚れ物を持ち歩く事になった。
「あ……あの、どうして……」
メイドの一人が困った顔と真っ赤に頬を染め隣を歩くシェル王子に訪ねていた。
「ジルの護衛騎士が君たちの事が気になり、私達が部屋を出る時に話しをしてくれてね、二人のメイドが帰りは君たちに持たせると言った事を私達に話しをしてくれて……」
「まさかと思ったが、お前達が掃除道具の前で立ち止まっているのを見掛け思わず「ええ~っ」と叫びそうだったぞ」
ニカッと笑顔を見せる前を歩くカイザック王子に、メイド二人は頬を赤く染め、まさか王子達が掃除道具を持って貰えるとは思わず、隣で歩くシェル王子の穂のかな香水の香りにただ頬を染め、歩いて行くのがやっとだった。
「君たちの名前を聞いても良いかな?」
「あ、あの、わたくしはカロルと言います」
「わたくしはオレリアと言います」
「カロル嬢とオレリア嬢か良い名前ですね」
「え!?あ……有り難う御座います……シェル様」
「名前を褒めて頂いたのは初めてです……有り難う御座います」
クスッと微笑むシェル王子にメイドの二人は何も言えず誰もが羨むシェル王子が自分達の側を歩くだけでも幸せな気分だった。
「……シェル様浮気はいけませんわウィル様に言いますわよ」
「……何故彼女達に名前を聞いて、浮気になるんだい?それに何故ウィルに報告を?」
「何でもありませんわ……シェル様、良く考えますとシェル様は言葉で責めまして、ウィル様は笑顔で責めますので御二人は似た者同士ですわ」
「?マリア分かるように話してくれないか?」
「何でもありませんわ、早く道具を置きましてウィル様の御部屋に参りましょう」
「マリア俺は浮気はしないぞ、ウィル一筋だ」
ワイワイと騒ぎ歩く王子二人とその会話の中に入るメイドに二人のメイド達はマリアが気になっていた。
「あ、あの、シェル様お尋ねしても宜しいですか?」
メイドのカロル嬢はシェル王子が側で声を掛けてくれた事もあり自分からも声を掛けるようになった。
「ああっ、何かな?」
「あの、シェル様の御側にいますマリア様ですが、王様のメイド付きなのですか?」
「えっ?私が王様のメイド付き?」
「……はい、先輩方が話していましたので……」
「ハハハ、父上のメイド付きかマリアなら大丈夫じゃないのか」
「私は、王様のメイド付きでは無いわ、ウィル様のメイド付きですわ~」
「……ウィル様ですか?あの庭園で女性のお姿で行かれました」
「庭園の事は知っていたの?」
「はい、噂で……」
「ウィル様も有名に成りましたわね……別の意味でですが…」
「ウィルが聞いたら真っ青な顔に成るのが目に見えるな……」
「そうですね……」
廊下を掃除道具を持った王子二人と、その側で会話が弾むメイドの三人達の姿を、騎士にメイド達が驚いた顔で見る者が多くメイド長に耳に入るのに時間は掛からなかった。







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