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謎多き騎士

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ジル王子の部屋にシェル王子とカイザック王子が訪ねる前に、シェル王子の部屋で挨拶の為訪れていたレオン騎士と、いつもの朝の挨拶に来たカイザック王子が一緒にシェル王子の部屋の中にいた。
「御早う御座います、シェル騎士団長、本日よりウィル王子の護衛として任務を任されましたレオン・クライムと申します」
レオン騎士は騎士礼をシェル王子に向け今日からウィル王子の護衛の挨拶をしていた。
「御早う御座いますレオン騎士、ウィル王子の護衛を宜しく御願い致します」
「はっ!」
レオン騎士は騎士礼が終わった後軽くシェル王子に頭を下げ、その様子をカイザック王子が笑みを見せていた。
「まさか、レオン騎士がウィルの護衛騎士になるとは思わなかったなウィルもレオン騎士を気に入っていたようだったから、良かった、良かった!ガハハハ……あ……」
ジロッとカイザック王子を睨むシェル王子に気付き気まずそうに目を逸らすカイザック王子……レオン騎士はカイザック王子の会話を聞き顔を赤く染めていた。
(えっ?えっ?!ウィル王子が私の事を気に掛けて居るのか?もしそれがどんなに嬉しい事か……ああっ、早くあの方の御側へ行きたい……)
レオン騎士はいつもの癖のある両手を重ね手を腹部辺りに構え御祈りをするように目を閉じていた。
カイザック王子が言った事はシェル王子も気付いていた。ウィル王子がレオン騎士と一緒に会話をする姿に笑顔があった事を……
ふぅ……と気を落ち着かせるシェル王子はレオン騎士に声を掛けた。
「先ほどまでトーマス騎士が居ました。貴方がウィル王子の元へ行くのが遅くなると思い彼に伝えましたが、何かありましたのか
私に教えてくれますか?」
「は、はい……」
レオン騎士は食堂から一緒にいたメイドのマリアに起こった出来事をシェル王子にその側で聞いているカイザック王子も話しを聞いていた。
「……マリアにそんな事があったのですか…レオン騎士もお疲れ様です」
「い、いえ……わたくしは何もしておりませんが……」
「……メイドの争いも凄いな…」
「では、今ウィル王子の世話をしていますのはそのコリン嬢と言う事ですね」
「はい、マリアさんはジル総隊長に御用があり先ほど向かわれました」
「……ジルにですか……今日はジルの元へ行きます訪問者が多いですね……」
「俺も朝の挨拶にジル兄の元へ行かないとな、シェル兄も早くウィルの部屋へ行かないと見習いの騎士達が待ってるぞ」
「そうでしたね……私もジルの朝の挨拶が終わり次第ウィルの部屋へ向かうとしましょう、レオン騎士トーマス騎士を探しまして先にウィル王子の部屋に向かって下さい、私の護衛騎士も一緒にトーマス騎士を探す事を頼みますので宜しいですか?」
「は、はい、分かりましたシェル騎士団長……」
(……シェル団長の護衛騎士は今護衛をしている騎士達の事ですか?ああっ、どうしょう先ほどウィル王子の事でカッとなり色々と言ってしまいました~っ!)
「じゃあ、俺とシェル兄はジル兄の部屋へ向かう事でまたウィルの部屋で会おうレオン騎士」
「は、はい、カイザック副団長……」
会話が終わり部屋からシェル王子とカイザック王子そしてレオン騎士が部屋の中から出るとシェル王子が護衛騎士の二人ロベール騎士とエリック騎士の前に立ちロベール騎士がドキッと真っ青な顔でシェル王子を見ていた。
(ああっ、あの騎士は私の事を話したのだな…私が悪いのは分かっている、私もシェル様の事を余り思わない者がいれば私も彼と同じ事を言ったであろう……)
ロベール騎士はシェル王子の護衛を外される覚悟で目を閉じていた。
「護衛お疲れ様です、私は今からカイと一緒にジルの部屋へ行きます。先ほどのウィル王子の護衛となりましたトーマス騎士は覚えていますか?」
「えっ?!あ、はい覚えておりますシェル様……」
「……」コクンと無言でエリック騎士は頷いた。
「私の隣にいますレオン騎士は、本日からウィル王子の護衛騎士に成りました。貴方がたと余り御会いする事は無いと思いますが彼等を宜しく御願い致します」
「えっ?……あ、はい、分かりましたシェル様……」
「……」コクンと無言でエリック騎士は頷いた。
「本日よりウィル王子の護衛騎士に成りますレオン・クライムと申します。宜しく御願い致します……」
レオン騎士はロベール騎士とエリック騎士に頭を下げ挨拶を交わしていた。
「……ロ、ロベール・ドルバック……シェル様の護衛騎士を任されている……」
「エリック・スタールと言います。シェル様の護衛騎士を務めています」
お互いに挨拶を終えシェル王子がエリック騎士に声を掛けた。
「エリック、早朝ですみませんレオン騎士と一緒にトーマス騎士を探してくれますか?」
「はい、シェル様」
「御願いします。私はカイと一緒にジルの部屋へ向かいますレオン騎士後程ウィル王子の部屋で待機してください。」
「はい、分かりました」
シェル王子はカイザック王子と一緒にジル王子の部屋へと向かい廊下ではロベール騎士とエリック騎士そしてレオン騎士が残された。
「あ、あの…宜しく御願いします」
「……」コクンと頷きレオン騎士と一緒に歩こうとした。
「ま、待ってくれ!」
レオン騎士とエリック騎士はロベール騎士の声に振り向いた。
「……さ…先ほどは申し訳無かった……ウィル王子を悪く言うつもりはなかった……私の事をシェル様に言わなかったのか?」
「……わたくしも先輩方であります方々に失礼な態度を取りまして申し訳御座いません、ウィル王子の件でシェル団長に御話しを致しましても、御互い辛くなると思い御話しはしておりません……シェル団長もウィル王子の護衛決めは先の事をお考えと思い護衛騎士を御決めに成っていると思います」
「……先の事…か、ウィル王子はまだ歩く事が出来ないと聞いている、今の内に護衛騎士を決めていると言う事なのか?」
「……わたくしも正式な護衛騎士ではありません、ニック・ライナス騎士の替わりのようなものです…それでもわたくしはウィル王子の護衛騎士に成りました事に嬉しく思います……」
「……お慕いしているのだな…」
「はい、天使のような御方です」
「……確かに天使ですね」
「「!?」」
エリック騎士がボソッと呟いた声を聞いたロベール騎士とレオン騎士はエリック騎士の顔を見ていた。
「……エリックお前いつウィル王子に御会いしたのだ?シェル様は、私達護衛騎士にもウィル王子を会わせようとしないのだが……」
「えっ?そうなのですか?」
レオン騎士はロベール騎士から、まだウィル王子に会った事が無いと聞き、では何故エリック騎士があんな事を言ったのかレオン騎士は気になっていた。
「トーマス騎士を探しに行きましょう」
「え!?あっ、ちょっ……」
「エリックまだ、私から聞いていないぞ」
スタスタと先を歩くエリック騎士に、この人もまた謎多い騎士だとレオン騎士は後ろから付いていた。










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