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お~きな虫が~っ

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『春人先輩次何しましょう?』
俺は部活には入ってはいないがバスケの助っ人をするうちに何故かバスケ部の後輩から役割を聞いてくる奴がいた。
『えっと、そうだなボール磨き頼もうかな』
『はい、分かりました』
『俺も一緒に手伝うよ』
『いいですよ、春人先輩はしなくても俺達の仕事ですから』
バスケ部は結構人気がある部活の一つで一年の入部者は数えてはいないが結構な部員数で雑用と声掛けが多く試合に出る奴は限られていた。
試合に出たいのに出ることが出来ない部員からすると俺が助っ人で試合に出る事に良く思わない奴も結構いた。
俺も好きで助っ人している訳でもなく、教室に三年と二年が押し掛けてくると断れなく成るからな……だから俺も助っ人をしていた時は一年と一緒に雑用をしていた記憶があった。
「ウィル王子次は何を致しましょう」
「ぷっ……!」
「えっ?」
「あっ、ごめんなさいコリンさんが僕が知っている人に似ていましたのでつい思い出して……」
「お知り合いの方にですか?」
「はい」
ニコッと俺は笑顔で答えコリンさんに次の仕事を与えた。
「コリンさん、僕用の食事が厨房で用意していると思いますのでこのワゴン車に乗せて持って来てくれますか?」
「はい、分かりました。御待ちください」
ガラガラガラとワゴン車を引きコリンさんは笑顔で部屋を出ると廊下から響くワゴン車の音が急いでいるように響き煩かった…
ガラガラガラガラガラガラガラガラガラ……
「うあっ?うるさ……」
「耳痛っ!」
ジョン騎士とダリル騎士がワゴン車の音で耳を塞いでいる姿がメイドのコリンさんが扉を開けたまま部屋を出たようだ。
そしてニックが扉を静かに閉める姿を見て、くるっと振り向き満面の笑顔を俺に何故か向けていた。
「?ニックの笑顔怖いんですけど…どうしたんだ?」
「えっ?ハハハ殿下に笑顔を見せているのに何故怖いと思うんですか?」
コッコッコッとゆっくりと歩く姿は、何か聞きたい事があるのかそれとも何かを企んでいる時かである。
「殿下御聞きしても宜しいですか?」
ニコッと紳士的な笑顔を俺に見せ俺は「うっあ~っ」と思わず声を出してニックの顔を見ていた。
「……な、何を聞くの?」
「先ほどコリンさんと話しをしている中で殿下がコリンさんを誰かと似ていると聞こえ気になったものですから」
「えっ?あ……何だそんな事、春人だった俺の知っている奴がコリンさんに似ていたというか後輩たちと言った方が早いかな」
「後輩ですか?春人の住んでいます場所でも騎士達が居たのですか?」
「騎士じゃないけど、運動をするって言うか走ったりボールを投げたり身体を動かして、まぁ…騎士で言えば見習い騎士に教えていた先輩みたいな感じかな?俺、結構運動神経良かったんだ」
「えっ、そうなんですか?初めて聞きました……春人が運動神経が良かったとは…騎士には欲しい人材ですね……」
「コリンさんが「次何をしましょう」と言った言葉が良く後輩が俺に言っていた言葉でそれで思い出していたんだ」
「……」
コッコッ…とニックがベッドの側に来てギシッとベッドの上に手を乗せニックの顔が近付き俺は「へ……?」と言うとニックの柔らかい唇が俺の唇と重なり俺は目を見開いてニックの閉じた瞼を見ていた。
コンコン!
「ウィル王子コリンです御食事を御持ちしました」
カチャ…と扉が開いた時「うあ~~っ!」バチン!!「ブッ!?」「えっ?」俺は唇を重ねたニックの頬を叩いてしまいニックはその場でベッドから身体がヨロッとなりその光景を見ていたメイドのコリンさんが「えっ?」と驚いた顔を見せていた。
「うわ~っ、ごめんニック大きな虫が顔に止まっていたから叩いちゃってごめんね」
「……っ、殿下……虫って……」
「む、虫ですか?ニック様大丈夫ですか?」
パタパタとメイドのコリンがベッドの側で跪いているニックの側に駆け寄り心配そうに見ていた。
「……大丈夫ですコリンさん、殿下有り難う御座います。おーきな虫を見付けて頂いて……」
「……ハハ…」
ニックはニコッと満面な笑顔で不敵に笑い左頬が少し赤くなるのが分かり俺は顔が強張り今度二人になった時が怖いな…と心臓がドキドキと煩かった……













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