兄たちが弟を可愛がりすぎです

深い眠りからの夢

見習い騎士二人が緊張しての護衛をする中、王様はウィル王子と一緒に寝る事にドキドキしていた。
「何故私が息子であるウィルに心臓がドキドキと鼓動が高くなるのだ？初めてウィルと一緒に就寝するからなのか」
王様は「ふぅ」と息を吐き暫くウィル王子の寝顔を見ていた。
「……初めてかもしれないな寝顔をゆっくり見たのは、マリーネが亡くなり乳母にメイド達にウィルの世話を任せ、余りウィルと会う時間が無かった」
王様はベッドの上に座っていた腰を上げ、ベッドの中に潜り込みギシギシと動く度に聞こえるベッドの軋む音に、未だに目を覚まさないウィル王子を見てクスッと笑ってしまった。
「息子達の中で一緒に就寝したのはウィルだけかもしれないな…フィン王子は母親にべったりだったのは覚えている」
王様はウィル王子の隣で横向きになり自分の腕を枕がわりにして頭を支えウィル王子の横顔をじっと眺めていた。
「……先ほど私はウィルに何をするつもりだったのだ、妃にメイド達と同じようにウィルに口付けをするつもりでいた……」
王様は横に成っていた身体を起こし、ウィル王子の身体を自分の側に抱き寄せ胸に顔を埋めさせ、王様はギュッと背中に腕を回しサラサラとした髪の毛が王様の顔を埋めそのまま王様は眠りに着いていた。
王様と一緒に眠っているとは知らないウィルこと春人は深い眠りで夢を見ていた。
『春人、ちょっと下りて来て！』
『何ーっ？母さん！？』
二階の部屋にいる俺に母さんが下の方から俺を呼ぶ声が聞こえ俺は階段をおり母さんがいる場所へ行った。
『呼んだ？』
『春人、今お友達何人来ているの？ジュースとお菓子を用意してるから』
『やった！えっと……俺まで入れて五人かな！？』
『女の子も来てたでしょう？！』
『えっ、ああ、女子は三人かな……』
『女の子が三人も来ているのか！？』
俺と母さんの会話の途中でソファーで新聞を読んでいた父さんが声を掛け今日は珍しく家族が揃った日曜日だった。
『ああっ、同じクラスの女子三人と雅也が来ているんだ』
雅也は中学からの同級で良く俺の家に遊びに来ていた。
『あら、あの子雅也君だったの？身長が伸びて顔もカッコ良く成って誰かしらと母さん思ったわ』
笑顔でジュースとお菓子を用意している母さんに父さんは「こほん」とわざとのような咳をして俺に聞いていた。
『春人、今来ている女の子達の中にお前の彼女も居るのか？』
『えっ、俺は居ないけど雅也の彼女なら今一緒に居るよ』
『……』
『まあ、雅也君彼女が居たの？！三人の内のどの子かしらね』
『皆帰った後教えるよ』
俺は母さんの側でポテトチップスをつまみ食いをしている時父さんは読んでいた新聞を閉じ俺を側に来るように呼ばれた。
『何？父さん、早く皆の所へ行きたいけど』
『隣に座れ春人…』
『？』
俺はソファーに座る父さんの隣に座りいきなり父さんは俺の頭をガシガシと触りだした。
『なっ？ちょっ父さん何やってんだよ？』
『お前は勉強は余り良くないがスポーツは万能だ、身長はそこそこ高い顔は普通だと思うが、女の子の友達が多い事は知って居るが何故彼女が出来ないのかが不思議だ……男であるお前に女の子が遊びに来るのも不思議だが、今度家に連れて来るのはお前の彼女を連れて来い、良いな！』
父さんは俺の頭をガシガシとまた触り俺を誉めて居るのか居ないのか良く分からない父さんに俺が彼女を連れて来る事を待っているように聞こえ『今の俺に彼女は無理だと思う』と父さんに言った後『何故だ？』と言われ『女子から春人君は彼氏の様な感じでないからと言われた』『……』と、父さんに言うとポンポンと肩を叩き閉じていた新聞を開いたのを覚えている。
何故今懐かしい夢を見たのだろうと……俺は眠りから意識が目覚め、誰かが俺のウィルの身体を抱き締めている事に気付きさっきまでお風呂に入っていたかのような石鹸の香りがして、目を薄く開けると目の前には寝服の隙間から見える胸の肌に俺は驚き、今自分の目の前には誰なのか知らない男性が抱き締めている事だけが分かった。