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近衛騎士とイリス嬢

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王様がエリーゼ妃との時間を過ごしていた頃王様の近衛騎士はまだ部屋には戻っては居なかった。
その近衛騎士はぐるぐると城内の見回りをして、「まだ戻るのは早いかな」とエリーゼ妃の部屋に続く廊下を見て「もう少し別の場所へ行くか」とボソッと独り言を言った後、静かな廊下をコッコッと足音だけが響き近衛騎士は時間を潰す為廊下を歩き回っていた。
近衛騎士はランプを手に持ち廊下を歩きそして渡り廊下を歩いていた。
途中草花や木の庭が見え昼間と違った庭は暗く、花は夜になると開いていた花びらは閉じ、夜の景色は草と木があるのが分かるくらいで異様な雰囲気を見せ一人では居たくない場所のようだった。
「…この場所だけ別世界に見えるな、夜には通いたくない場所だ」
近衛騎士は暗い庭を見て声に出した後、チラッと庭の奥を見て目を見開き歩いていた足を止めてしまった。
「……灯り?……」
近衛騎士は庭の暗い奥でその場から動かない灯りを見つけ身体が固まり、暫く動けずその灯りが見える方をただ見つめ動けずにいた。
落ち着いて良く見ると木の側にあるテーブルの椅子に誰かが座る姿が見え近衛騎士はゴクン!と生唾を呑み込み震える身体を抑え腰に掛けていた剣の鞘を掴みゆっくりと庭の中を歩いていた。
木の側に置かれたテーブルの上にランプが置かれその側で椅子に座る人物が見え、近衛騎士は驚き声を掛けた…
「……イリス…様!?」
庭の奥に置かれたテーブルの椅子に座っていたのは王様の側室の一人イリス嬢だった。
「えっ…あ……王様の近衛騎士の方……」
「イリス様?こんな夜中にここで何をされているのですか?一人ですか!?メイドはどうしたのですか?大事な御体なのです何かありましたらどうするのですか?」
質問ぜめの多い近衛騎士にイリス嬢は思わず笑ってしまった。
「クスッ…そんなに一度に言われましたら答えられませんわ」
「あっ…申し訳御座いません……イリス様、真夜中でそれも御一人で…イリス様御一人の御体では無いのですこの事が王様が御知りに成りましたらどんなに御心配なさいますか……」
「近衛の貴方が御話しをせず王様に黙っていて下されば宜しいのでは?……側室一人の為に大騒ぎして欲しく在りません……」
「そう思いでしたら何故この庭で…それも真夜中に御一人で、例え城内でも何か在りましたらどうなさるおつもりだったのですか……」
近衛騎士は真剣な顔でイリス嬢に話しをするとイリス嬢は先ほどまでの笑顔が消え近衛騎士に謝罪をしていた。
「……ごめんなさい…あの後眠れなくて…部屋の中に居ましたら色々と考えてしまい、メイドに外の空気を吸いたくて呼んだのですが、気持ち良い顔で眠っていましたのでそのままメイドを起こさずに部屋を出て近くまでと歩いていたら、いつの間にかこの庭に足を運んでいたの……」
「……あの後と申されますと王様がイリス様の御部屋に訪ねて来られました時ですか?」
「……」
イリス嬢は近衛騎士の問いかけに黙りテーブルの上に置いているランプの灯火を見つめていた。
「……久しぶりに王様に会いましてまさかわたくしの御部屋に来られますとは思っておりませんでした」
「…イリス様の御部屋に御伺いなさいましたのは一週間に成りますでしょうか?」
「いえ、一ヶ月は御見えに成って居ないと思います」
「……」
近衛騎士はまさかイリス嬢の部屋に一ヶ月も王様が足を運んで居ないことを知りイリス嬢の顔が見れない思いで、王様に愚痴を言いたい程だが、近衛騎士仲間の中では新米の為王様に言えないだろう
「お、王様がイリス様の元へお越し出来ないのは、イリス様の御体の事を考え王様も御忙しい時でもありましたので通う事が出来なかったと思います。」
「……ロラ様とヤスミン様とはこの一ヶ月の間この庭で良くお見掛け致しましたわ」
「!?」
近衛騎士はイリス嬢から一ヶ月部屋に来る事が無いのにロラ嬢とヤスミン嬢と王様が会っていたと聞き、近衛騎士は血の気が引く思いがしてこの先イリス嬢からの話しを聞きたく無いと思っていた。
「王様は御忙しい方だと存じています…ですがわたくしの部屋から続きます御部屋はロラ様とヤスミン様の御部屋に繋がっております……通り道でも在りますのでお顔を御見せする事が出来たのでは無いでしょうか?そう思いませんか騎士様?」
「……はい、イリス様の言われますとおりで御座います…」
イリス嬢は近衛騎士と話しをしている内に、いつの間にか表に出せなかった事が近衛騎士を通して王様を見ているようで、今まで溜め込んでいた気持ちを近衛騎士に吐き出していた。
「本当はこの庭にも行きたくは在りませんでした……わたくしはこの庭で王様とロラ様ヤスミン様が身体を寄せ合い口付けをしている所を何度もお見掛け致しました…時には淫らなお姿も見掛けた事もあります……この場所は人が通る道でも在りますのに…わたくしにはして下さった事が無いロラ様とヤスミン様にしています王様の姿を見て、御恨みした事も御座います」
「イ、イリス様!!」
近衛騎士はイリス嬢が王様に恨みを持っと聞き慌ててイリス嬢を宥めた
「イリス様王様は別にイリス様にその……出来ませんとは…も、申し訳御座いません……わたくしは何をどう御話しをすれば……」
近衛騎士は顔が真っ赤になるのと冷や汗を感じ王様の代わりに自分がイリス嬢から叱りを受けているように思えどっと肩の重荷を受けた感じがした。











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