兄たちが弟を可愛がりすぎです

シェル騎士団長も大変です

「遅くなりましたね、急遽ウィル王子の護衛騎士決めを行いましてすみませんでした。ウィル王子の明日からの護衛の挨拶が終わりましたら御二人共食事を行って下さい」
木に火を灯し先頭を歩く護衛騎士のトーマスとその後ろを歩く護衛騎士レオンそしてこの国の第一王子でもあり騎士の団長でもあるシェル騎士団長がウィル王子の一週間の護衛騎士として決まった騎士二人と一緒に闘技場から城内に入りもうすぐ外から見えるウィル王子の部屋に近付いて居る所だった。
（ウィルは着替えをしたのでしょうか…闘技場に行く前にカイがまだ着替えもしては居ない女性の姿のウィルを抱き抱えた時は驚きカイを叩きましたが、まさかベランダから見送りをするとは思いもしませんでした。
カイは武術に関しては優秀なのですが、少しズレていますと言いますか……子供っぽいと言いますか…まぁ…それもカイの良い所でも在りますね、ウィルに対しても弟として可愛がって居ると思っては居るのですが……）
シェル団長はウィル王子と一緒に居るカイザックが時々何を考えているのか分からない時があり大人の仕草だったり子供のように無邪気に大笑いをしたり……
「ガハハハハ！」
「そう、こんな風に……！？……えっ？」
シェル団長は外まで聞こえて来る聞き慣れた笑い声がする方へ顔を向けた。
「……今の声は…」
レオン騎士も聞き慣れた笑い声に外からその窓を見てウィル王子の部屋からしている事が分かり今ウィル王子の部屋では何が行われて居るのだろうと羨ましく思っていた。
（今の笑い声はカイザック副団長の笑い声だった、今ウィル王子の部屋の中ではカイザック副団長が居るんだ。楽しそうだな…今夜がウィル王子の護衛だったら良かったのに……またあの天使のような寝顔を見る事が出来たら良かったのに……昼間でもウィル王子は御休みする事があるのだろうか？ああっ、早く明日が来ないかな…）
レオン騎士は胸に手を当て明日護衛騎士が出来る事に胸が高鳴った。
「今の笑い声はカイザック副団長で御座いますか？シェル騎士団長！」
「……ああっ、そのようだね……はぁ……」
トーマス騎士がシェル団長に訪ねると話し出していた。
「自分はカイザック副団長がわたくしが目指しています騎士の一人でも在ります」
「副団長をですか！？そうですか、副団長は剣技の達人でもあります、いちど剣稽古をすると良いでしょう」
シェル団長はトーマス騎士からカイザック副団長が目標と告げられ嬉しく思いそしてトーマス騎士は言った。
「カイザック副団長は大声の達人としてもわたくし騎士は副団長のように大声を出せる事を目指しています」
「……えっ？」
シェル団長はトーマス騎士が剣技を目指していると思い実は大声で出す事をシェル団長に伝え彼の後ろ姿を驚いた顔で見ていた。
「わたくしが騎士入団致しました頃に、剣の指導を行って下さいましたのがカイザック副団長でした。
そして大声で笑う事も教わりました！わたくしはカイザック副団長の強さは大きな声を出す事だと思いましたが、自分はまだ大声で笑う事が出来てはおりません、願う事であればいちどカイザック副団長と剣を交えて大声で競いたいと思っておりますがシェル騎士団長に許可を頂きたいと思っております」
「……却下致します、大きな声を出すと言う事は悪いとは言いませんがウィル王子の護衛をするこの一週間は普通で御願い致します。それに副団長の大声で笑う事は生まれつきですので、どうしても大声で剣を交えたいと言うのでしたら副団長と二人で山へ行って下さい！」
シェル団長は自棄になり山へ行けと思わず言ってしまった。
「山……ですか…分かりましたシェル騎士団長、ウィル王子のこの護衛一週間では大人しくしております、日を改めましてカイザック副団長にお話しをしたいと思っております」
「……はぁ…」
シェル団長はここにもおかしな騎士が居ると思いため息を吐きウィル王子の護衛に決めて良かったのだろうかと…最近は決めた後に後悔をする自分が増えて来たと思いウィル王子の部屋に向かっていた。