兄たちが弟を可愛がりすぎです

噂話しは何処から？

***ニック・ライナス護衛騎士見習い⑦***

俺は午後の、シェル騎士団長との試合に備え、自室で仮眠を取っていた。
「ぐう～～っ」
俺は自分の腹時計で目が覚めた。
「朝からなにも食ってなかったな…」
今日は色んな事があり過ぎて、朝食を取るのを忘れていたほどだ
もうすぐ昼だな…と、俺は騎士食堂へ向かうことにした。
食堂へ向かう途中騎士達が、ざわざわと話す声が聞こえた。
何かあったのだろうか？と思い、数人で話している騎士達に声をかけた。
「なんの騒ぎなんだ？」
「ああ、何でも午後から闘技場で試合があると、皆騒いでいたところだ、何でも第五ウィル王子の護衛試験だと聞いたが、本当かは分からない」
「もう、噂になっているのか……」
俺は噂話しの早さに呆れていた…どこから漏れたんだ？
余り公にはしたくなかったが…俺が考え事をしていると騎士の一人が話した。
「何でも噂話はメイドから流れてきたと聞いたぞ」
「は？！」
俺は思わず声を出してしまった。
「何でもウィル王子が闘技場に試合観に行くから、昼食を早めてくださいと、料理長に頼んでいたそうだ。」
殿下の所のメイドだったのか、この噂話は……ん？さっきの話だと殿下が試合見に来るのか！？身体の方は大丈夫なのか…殿下は俺を見に来てくれるのか？それとも、シェル騎士団長なのか？何故かモヤモヤするが…
よく分からないモヤモヤ感に、俺はとにかく腹ごしらえと食堂に入った。

昼食を済ませ俺は自室に戻り新たな護衛騎士服に着替えた。
俺達見習いの服は青色で飾りはなく護衛騎士見習いの服だと分かるように作られている、今日行われる試合は真剣勝負になり、騎士服も少しは違う。服は見習いと余り代わらないが青色に白の線が入っている。
この護衛騎士服を着るといまから剣技試験試合があるのだと身が引き締まる感じだ。
腰には剣を…まだ時間には早いが腕試しに剣稽古をするかと、部屋を出た…数人の騎士が俺のいっもの見習い服でないため首を傾げながら俺の方へ近づいて聞いてきた。
「なぁ何故騎士服が違うんだ？」
俺は後からバレるだろうと思い試合の話しをした。
「午後からの闘技場の試合、俺とシェル騎士団長の剣技試験があるんだ」
「「「「ええええ！？」」」」
騎士達の騒ぎを後にして俺は、外で剣稽古をしていた。

そろそろ闘技場に行くか…と俺は闘技場に歩いていると、見知った顔の騎士が俺を見つけ出し話し掛けた。
「おい、ニックお前シェル騎士団長との試合は本当の事なのか？」
「あぁ、ウィル王子の専属護衛騎士の話しが出て剣技試験を受けることになったんだ。」
「……凄いな専属護衛騎士の話しは数年ぶりじゃないかな、簡単に受けられる事ではないからな…本気で試合受けるのか！？
相手はあのシェル騎士団長だぞ。」
「俺は本気だ、必ず剣技試験受かって見せるさ」
俺はニッと笑った。
「さすが騎士の息子だな、頑張れよ応援しているぞ！」
「ああ」

俺達は拳を合わせ闘技場へ向かった。