捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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初めての庭園へ③

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私は十六~七年ぶりに自分の肖像画を見て泣いていた。
私は、男性と話がするのが苦手で妹のエミリーが好きな人が出来たと十五歳で彼氏がいるエミリーが羨ましかった。でも、彼氏が出来ても長続きしない事が多かったけれど、また新しい彼氏が直ぐに見つかるエミリーが不思議に思った事が何回もあった。
私は、二十歳になるまで男性と付き合う事もなく旦那様との縁談の話があった時は嬉しくて日記までも書くほどだった…
初めて旦那様の顔を見て『本当にこの人と結婚していいの?』と思うほど旦那様の顔は整っていて、真面目な人だと…この人の側で働き子供は何人欲しいのか聞くのは恥ずかしいけれど旦那様と何処までも付いて行くはずだった…
「ソフィー、どうしたんだ…急に…」
「う…」
ソフィアの流す涙を手で拭うアルフォンス皇子の姿を見ていたアレックは複雑な感じを受けていた。
(…兄妹なのに何故こうもイライラとするのか…皇女が亡き妻だと知った時から二人で一緒にいる姿にモヤモヤとしていた。
朝、ソフィアの部屋に行きいない事に気づき探して回った…自分が焦っている事に気がついた。
数時間離れていただけなのに部屋にいない事に慌てた…もしかしてと思い外を探した時、彼女の姿を見て安堵した。
だが、アルフォンス皇子と手を繋いでいるのを見て嫌な気分だった…)
アレックは、ソフィアが泣いている姿を見て結婚してからの辛かった生活を思い出しているのだろうかと…肖像画を見せなかったほうがよかったのだろうかと思った。
「…あの…皇女様…」
アレックの声を聞いてソフィアは涙を拭い笑顔を見せていた。
「…な…亡くなった奥様は喜んでいると思います…奥様の為に温室を造って貰って好きな花を飾って貰って…亡くなったと聞きまして奥様も心残りがあったと思います…」
「……」
ビクッとアレックの体が動き顔を下に向けた。
「…子供さんがいないと聞きました…奥様の心残りがあるならお子様がいて欲しかったと思います…その事を考えていたら奥様の肖像画を見て、同じ女性として心残りだったんだろうと思ったのです……」
「……」
ソフィアは結婚して振り向いてくれなくても、子供がいたら死ぬ事を考えていなかっただろうと、肖像画をじっと見ていた。







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